すでにパブリックドメインになったジョージ・セルとクリーヴランド管の録音の中に、ルドルフ・ゼルキン(Pf)とのモーツァルトのピアノ協奏曲があります。カサドシュと共演した一連の録音には含まれていない曲もあり、興味深いものです。例えば、第19番ヘ長調K.459など。
1784年の12月に作曲され、ウィーンで書かれた六曲のピアノ協奏曲のうちの最後の作品にあたるようです。映画「アマデウス」には、大勢の人がピアノとヴォルフガング君を担ぎ上げ、演奏会場へ運ぶシーンがありましたし、カツラを付けて得意満面で協奏曲を弾くシーンもありました。あんなイメージの時期だったのでしょう。
第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ。ヘ長調。オーケストラが、弾むようなリズムの明るい主題を提示して始まります。ピアノが登場すると、映画でヴォルフガング君が「アハーン」とか言いながら演奏するシーンのように、オーケストラと独奏ピアノが見事な対話を展開します。カデンツァもお見事の一言。「コロムビア交響楽団」とクレジットされている、おそらくクリーヴランド管のしなやかな演奏も、実に素晴らしい。
第2楽章:アレグレット。ハ長調。オーボエやフルートが、一瞬のうちに曲調を変えてしまいます。このあたりの、実に細やかな動きが、なんとも魅力的な緩徐楽章です。
第3楽章:アレグロ・アッサイ。ヘ長調。独奏ピアノから始まります。おそらくは自分のピアノの技量を見せるために書いたのであろうピアノ独奏部分はもちろんですが、動き出すオーケストラの見事さ! 特にフガートのところは、後の「ジュピター」交響曲の終楽章を連想してしまいます。最後のところで出てくる、まるで「魔笛」のパパゲーノのアリアみたいなところでは、思わずニヤリとしてしまいます(^o^)/
全体に、最初の主題のリズムが一貫しているところなど、曲の統一性が見事な、キリッと引き締まり、躍動的な音楽です。おそらくはセルの作曲家としてのお眼鏡にかなった音楽なのでしょう。
ゼルキンのものでしょうか、それとも指揮者セルのものでしょうか、ヘッドホンでよく聴くと、なにやら歌声のようなものも聞こえます。1961年の録音としては、かなり良好の部類ではないかと思われます。
ゼルキンとカサドシュと、両方のピアニストと共演した録音を集めると、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管によるモーツァルトのピアノ協奏曲がかなり集まってしまいます。パブリック・ドメインの録音で聴くものとしては、おそらく最も生気に富み、活力に満ちた演奏・録音でしょう。
紙箱全集を購入した、クルト・マズア指揮ドレスデン・フィルとアンネローゼ・シュミット(Pf)との録音は、この曲に関しては少し方向性が違っており、テンポはやや速めですが、やわらかい響きと優しい表情を志向したものと感じます。セルとゼルキン盤がスポーツ選手のような爽やか系モーツァルトだとしたら、アンネローゼ・シュミット盤のモーツァルトはさしずめ草食系?! それはそれで、一つの魅力ですね~(^o^)/
■ゼルキン(Pf)、セル指揮クリーヴランド管(1961/04/28)
I=13'19" II=8'08" III=7'32" total=28'59"
■アンネローゼ・シュミット(Pf)、マズア指揮ドレスデン・フィル(1973)
I=12'20" II=7'50" III=8'00" total=28'10"
1784年の12月に作曲され、ウィーンで書かれた六曲のピアノ協奏曲のうちの最後の作品にあたるようです。映画「アマデウス」には、大勢の人がピアノとヴォルフガング君を担ぎ上げ、演奏会場へ運ぶシーンがありましたし、カツラを付けて得意満面で協奏曲を弾くシーンもありました。あんなイメージの時期だったのでしょう。
第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ。ヘ長調。オーケストラが、弾むようなリズムの明るい主題を提示して始まります。ピアノが登場すると、映画でヴォルフガング君が「アハーン」とか言いながら演奏するシーンのように、オーケストラと独奏ピアノが見事な対話を展開します。カデンツァもお見事の一言。「コロムビア交響楽団」とクレジットされている、おそらくクリーヴランド管のしなやかな演奏も、実に素晴らしい。
第2楽章:アレグレット。ハ長調。オーボエやフルートが、一瞬のうちに曲調を変えてしまいます。このあたりの、実に細やかな動きが、なんとも魅力的な緩徐楽章です。
第3楽章:アレグロ・アッサイ。ヘ長調。独奏ピアノから始まります。おそらくは自分のピアノの技量を見せるために書いたのであろうピアノ独奏部分はもちろんですが、動き出すオーケストラの見事さ! 特にフガートのところは、後の「ジュピター」交響曲の終楽章を連想してしまいます。最後のところで出てくる、まるで「魔笛」のパパゲーノのアリアみたいなところでは、思わずニヤリとしてしまいます(^o^)/
全体に、最初の主題のリズムが一貫しているところなど、曲の統一性が見事な、キリッと引き締まり、躍動的な音楽です。おそらくはセルの作曲家としてのお眼鏡にかなった音楽なのでしょう。
ゼルキンのものでしょうか、それとも指揮者セルのものでしょうか、ヘッドホンでよく聴くと、なにやら歌声のようなものも聞こえます。1961年の録音としては、かなり良好の部類ではないかと思われます。
ゼルキンとカサドシュと、両方のピアニストと共演した録音を集めると、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管によるモーツァルトのピアノ協奏曲がかなり集まってしまいます。パブリック・ドメインの録音で聴くものとしては、おそらく最も生気に富み、活力に満ちた演奏・録音でしょう。
紙箱全集を購入した、クルト・マズア指揮ドレスデン・フィルとアンネローゼ・シュミット(Pf)との録音は、この曲に関しては少し方向性が違っており、テンポはやや速めですが、やわらかい響きと優しい表情を志向したものと感じます。セルとゼルキン盤がスポーツ選手のような爽やか系モーツァルトだとしたら、アンネローゼ・シュミット盤のモーツァルトはさしずめ草食系?! それはそれで、一つの魅力ですね~(^o^)/
■ゼルキン(Pf)、セル指揮クリーヴランド管(1961/04/28)
I=13'19" II=8'08" III=7'32" total=28'59"
■アンネローゼ・シュミット(Pf)、マズア指揮ドレスデン・フィル(1973)
I=12'20" II=7'50" III=8'00" total=28'10"
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