電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

病院の情報化の追求が医師の多忙化に

2006年07月19日 20時28分19秒 | コンピュータ
先日の同窓生の会で、病院の情報化の影響について聞くことができました。かつては、三時間待って三分診療、会計までさらに三時間、と悪口を言われましたが、今は違うのだそうです。大きな病院では、順番待ちは相変わらずですが、診察が終わると後ははやくて、「電子カルテに記入した時点で」すべての検査や診断の点数が計算され、会計ができる状態になっているのだそうです。

問題は電子カルテに誰が記入するのか、というところ。カルテに記入するのはあくまでも医師の責任で、患者の主訴を聞き、問診しながら、診察の結果や必要な検査をマウスでチェックしていくのだそうです。体はディスプレイを向き、患者の方は向いていないことが多く、評判が悪いのだとか。昔はカルテになぐり書きをしても、看護婦さんが判読し、検査等の指示もてきぱきとしてくれたので、必要な患者には正対してゆっくり対応できたのだそうです。今は事前に説明する内容も増え、マウスで指示をチェックする時間も一日でトータルするとばかにならず、時間に追われて診察しているのが現実だと嘆いていました。

定型的業務を電子化し自動化することで、様々な業務の効率を向上させることができますが、問題は誰が入力するか、ということ。入力と点検という業務は、最もしんどい部分です。そこさえクリアしてしまえば、あとはプログラムしだい。いくらでも計算し、加工し、保存し、出力してくれます。では、入力と点検の業務を医師に負わせていいのか。大きな病院なら、二人の医師につき一人くらいの割合で、電子カルテに入力し点検する業務を専門にする人を配置し、医師の専門的能力は患者と対面しての診療に専念させるほうがいいのではないか。

先進的な病院はすでにそうなっているのだそうですが、経営が困難な地方病院などでは、情報化の負担が医師に(そして結果的には患者に)しわよせされているのが実態のようです。
コメント    この記事についてブログを書く
« インターネットで「プロムス2... | トップ | 避けられない酒席のあとは »

コメントを投稿

コンピュータ」カテゴリの最新記事