電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩。時々は実際に散歩を楽しみます。

万年筆の寿命〜祖父の記憶

2019年05月09日 06時02分41秒 | 手帳文具書斎
物には寿命があり、壊れないものはないと言って良いでしょうから、当然のことながら万年筆にも寿命があることになります。イリドスミンという高硬度合金でできたペンポイントが摩耗によって使えなくなるのは、ネットで調べた限りでは、距離にして60〜70km、文字数にして500〜600万字に相当するとのことです。もちろん、これは耐久試験機での連続筆記試験の結果でしょうから、摩擦熱のために局部的に高温になり、寿命が早く来る結果になっているでしょう。私たちの日常用途のように断続的に使用する場合、この何杯も書き続けることが可能となるはずです。仮に四倍とすると、単純計算で240〜300km、2000〜2400万字ということになります。1日あたり1,000字を書き続けたとすると2万〜2万4000字、1年は365日ですから、55年〜66年に相当します。適切に使っていればほぼ一生使い続けられるというのは、間違いないでしょう。

このような計算とは別に、私の手元に古い万年筆があります。祖父と父と二代にわたり使い続けた万年筆で、昭和20〜30年代に発売されたものらしい、セーラーの万年筆です。ペン先は一応14金で、当初はフィラー式だったのですが、ゴムの劣化で使えなくなったために外してしまい、たまたまちょうと適合したセーラーのカートリッジをつけて使っていたものらしい。祖父も父も膨大な日記・記録を残しましたので、昭和30年代から当方が亡父に万年筆をあげた平成のはじめ頃まで、ほぼ50年くらい使ったことになるでしょうか。ルーペで拡大してみると、ペンポイントが摩耗したか外れてしまったかしたらしく、姿が見えません。寿命まで使った万年筆ということになります。私が長く愛用するパイロット・カスタム・グランディは1979年からほぼ40年。ペンポイントを拡大鏡で眺めてみても、まだまだ大丈夫のようです。



このセーラーの万年筆は、都会に出て会社員となった祖父の弟(大叔父)だったか父の弟(叔父)が、全盲の妻を支えながら田畑を守る長兄(父)のために、土産に買ってきてくれたものらしい。おぼろげな記憶ながら、後に「まだ使っているのか。もっと良いやつを買ってこようか」という大叔父に、「いや、書きやすくなっているから、これで良い」と言っていたのを覚えています。私が中学生のころだったでしょうか。古き良き時代の、兄弟の会話です。
今、万年筆を何本も使い、あーだこーだと贅沢なことを言っている孫を見たら、祖父は何と言うのでしょうか(^o^;)>poripori


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