電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

万年筆の実用性と趣味性について~プレッピー万年筆に思う

2016年08月31日 06時02分41秒 | 手帳文具書斎
プラチナ社のプレッピー(Preppy)万年筆を使うようになり、同社の古典ブルーブラック・インクの、裏抜けしにくく幅広い紙を使えるという長所を知りました。また、一年後でもインクが乾燥していないというスリップシール機構の本質的な美点を感じます。

実用性という観点だけから見たら、プレッピー万年筆は、充分に実用的な製品です。中字に細字に極細まで用意され、インクカートリッジとインクコンバータの両方が使え、どこにでも気軽に持ち出せます。ふだんの実用の道具として、汎用性の高いインクを充填し、あちこちに置いておくと、使いたいときにすぐに使えます。ほんとに気軽で便利な製品だと高く評価し、使っています。



一方で、趣味性という観点から見た時、あまりにも実用一点張りのチープな外観と質感で、いささか寂しいものがあります。もう少し上質な道具を使いたいものだという思いは、無理もないと同感してしまいます。

プレッピー万年筆なみの実用性を持ち、趣味性をも満足させる製品と言えば同社の#3776シリーズなのかもしれませんが、同社のコンバータは0.6ml程度のようで、どうも大量筆記に適したインク容量とはいえません。叔父の遺品のマイスターシュテュック149は、この1本で実に大量の筆記ができることを確認しておりますが、原稿用紙に大きな文字を書くには便利でも、当方の備忘録ノート(A5,7mm罫)にはいささか太字に過ぎるようです。また、長年愛用しているパイロットのカスタム・グランディの中字も、同社の青インクの裏抜け・滲み傾向の甚だしさから、様々な場面で使えるものとはなりません。いろいろな万年筆の長所をすべて満たした製品というのは、なかなかなさそうです。おそらくはそんなふうなことから、万年筆道楽が成り立っているのでしょう。


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