電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形交響楽団第264回定期演奏会でコダーイ、ニーノ・ロータ、ブラームスを聴く

2017年11月20日 06時02分52秒 | -オーケストラ
雪まじりの雨が降る日曜日、山形市の山形テルサホールで、山形交響楽団第264回定期演奏会を聴きました。本日のプログラムは、「秘された名曲との出会い~山響首席 太田凉平が奏でるニーノ・ロータ」と題して、

  1. コダーイ 「ガランタ組曲」
  2. ニーノ・ロータ 「トロンボーン協奏曲 ハ長調」 太田 凉平(Tb)
  3. ブラームス 「交響曲第2番 ニ長調 Op.73」

というものです。例によって駐車場を探してうろうろするうちに時間は容赦なく過ぎていき、テルサホールに到着したのはプレトークが終わる頃でした。なんとか滑り込んで「セーフ」かな?

1曲め:コダーイの「ガランタ舞曲」の楽器編成は、次のようになっています。
ステージ左から、第1ヴァイオリン(8)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)、第2ヴァイオリン(7)、正面後方にフルート(2)、オーボエ(2)、その奥にクラリネット(2)、ファゴット(2)、さらにその奥にホルン(4)、トランペット(2)、最奥部にコントラバス(3)、その右側にティンパニ、手前にパーカッションとなっています。Flはピッコロ持ち替えで、パーカッションはスネアドラムにトライアングル、グロッケンシュピール。二管編成の山響で演奏可能でなおかつ演奏効果の上がる曲として選ばれたのでしょうか、活気があるけれどどこか物悲しさも感じさせる、付点リズムを多用したジプシー風の音楽ですが、1933年に作曲されただけあって、リストやブラームスの同様の曲よりもぐっと現代風です。オーボエとクラリネットがとてもいい味を出していました。

2曲め:ニーノ・ロータの「トロンボーン協奏曲 ハ長調」(1966年作曲)。楽器編成は、Fl(1), Ob(1), Cl(2), Fg(2), Hrn(2), Timp., 弦5部です。ソリストの太田涼平さんが登場すると、いつも後方に座っているので感じなかったのですが、長身でイケメンで、実にかっこいいですね。背が高いだけに手も長そうで、いくらでもスライドできそうです(^o^)/
第1楽章:アレグロ・ジュスト。速く正確なテンポで、という意味でしょうか。冒頭からトロンボーンのソロがかっこ良く、これは若い人たちに人気が出そうな曲だと感じます(^o^)/
第2楽章:レント、ベン・リトマート。ゆるやかに、十分リズムをとって。オーケストラの純度の高さがよくわかる始まりに、トロンボーンが息の長いミステリアスな旋律を静かに奏でていきます。この楽章は実に魅力的な音楽で、若いソリストの堂々たる演奏姿が実にかっこいい。それと同時に、弦と木管が主体となり金管はホルンだけというオーケストラの響きもまた、若いトロンボーン奏者を支えて見事なものだと感じました。
第3楽章:アレグロ・モデラート。ほどよく速く。明るく軽やかな始まりですが、途中には技巧的な中にも哀感を感じさせる面もあり、曲調は単純なものではありません。フィナーレはスパッと思い切り良く終わります。

ここで休憩です。休憩後の後半は、ブラームスの交響曲第2番。楽器編成は、1st-Vn(8), 2nd-Vn(7), Vla(5), Vc(5), Cb(3) の弦楽5部が対向配置で、正面奥に Fl(2), Ob(2) その奥にCl(2), Fg(2) と木管が並び、その奥には Hrn(4), Tp(2), 正面最奥部には Cb(3) の右側に Tb(3:うち1はBass-Tb) と Tuba その右に Timp. という二管編成・配置です。
第1楽章:アレグロ・ノン・トロッポ。やわらかい、ふっくらとしたブラームスの始まりですが、今回はオリジナルは使っていないらしく、すぐに力強く金管が飛び出すように鳴ります。いつもの古楽のバランスとはやや異なり、金管が強く前に出る印象です。でも、正攻法で折り目正しいブラームス、分厚いサウンドではなく見通しの良い響きです。
第2楽章:アダージョ・ノン・トロッポ〜L'istesso tempo(拍子が変わっても同じテンポで), ma grazzioso(しかし優雅に)。ホルンがいいですね〜。テンション高く集中力に富んだ緩徐楽章です。
第3楽章:アレグレット・グラツィオーソ(クヮジ・アンダンティーノ)-プレスト・マ・ノン・アッサイ。のどかな雰囲気がいいですね〜。低弦のピツィカートをバックにHrnと木管が奏でる雰囲気は実に貴重です。
第4楽章:アレグロ・コン・スピリト。速く元気に。はじめはTbやTubaは加わりませんが、よく耳に馴染んだ音が自然に流れていくようです。インテンポの心地よさもあります。TbやTubaも加わってのトゥッティは刺激も迫力もあります。ブラヴォーの声も飛んで、いい音楽を聴いたな〜と実感しました。

終演後にはしばらくぶりにファン交流会に参加しました。本日のソリスト太田涼平さんは、クリスティアン・リンドベルイ(Tb)のファンなのだそうです。その演奏などを、ずいぶん研究のために聞きこんだのだそうですが、伴奏の山響の響きが、レベルの高さに感動する、と言っていました。たしかに、音楽監督・飯森範親さんの言葉を借りれば、編成の規模を活かして、室内楽的なアプローチをしてみたとのこと。あまり大きくない山形テルサホールの容量からみても、四管編成のオーケストラとは違った特性を示すはずですね〜。

今回の演奏会は、後にNHK-FMで放送される予定なのだとか。マイクが立っていたのはそのせいか。後に山響事務局からアナウンスがあるでしょうが、具体的な発表を楽しみに待つことにいたしましょう。

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