電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響第236回定期演奏会でシューベルト、メンデルスゾーン、ドヴォルザークを聴く

2014年04月21日 06時03分45秒 | -オーケストラ
朝から果樹園の草刈りに精を出し、午後からも伐採した枯れ木をチェーンソーで一定の長さに切りそろえるなど、せっせと働いた後で、お天気にも誘われて、山形交響楽団第236回定期演奏会のマチネに出かけました。
霞城公園は桜がちょうど満開で、周辺の道路はだいぶ渋滞しておりましたが、なんとか開場時刻には間に合いました。

ホワイエでは、なにやらプレコンサートを開催する模様。ヴァイオリンの中島さんやヴィオラの井戸さん、チェロの久良木さん、コントラバスの柳沢さん、ホルンの八木さん、ファゴットの高橋あけみさん、クラリネットの川上さんで、ベートーヴェンの七重奏曲から、第1・第3・第5楽章を演奏します。実は、この4月末で、高橋さんが退団することになっているのだそうで、ああ、それで首席ファゴット奏者の募集が出ていたのだな、と理解できましたが、残念至極です。思えば、パストラーレ室内合奏団の演奏会でこの曲を初めて生で聴いたのでした。その後も、オーケストラでの演奏の他に、シューベルトの八重奏曲や、アフィニス音楽祭での室内楽演奏会、あるいは「室内楽の夕べ」など、たくさんの音楽体験をすることができました。この件は、また後で記すことにします。

さて、本日の曲目は、

1. シューベルト「交響曲第5番」
2. メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲」、木嶋真優(Vn)
3. ドヴォルザーク「交響曲第8番」
 指揮:アジス・ショハキモフ

というものです。



1曲目:シューベルトの交響曲第5番。楽器編成は、ステージ左から、第1ヴァイオリン(8)、第2ヴァイオリン(7)、チェロ(5)、ヴィオラ(5)と並び、右手奥にコントラバス(3)、正面にはフルート(1)、オーボエ(2)、その奥にホルン(2)とファゴット(2)が座ります。コンサートマスターは客演の高橋和貴さん。
指揮者のショハキモフさんが登場、ウズベキスタン出身だそうで、とても大柄ですが、頭の毛が黒色で、ちょっと見ると日本人かと思ってしまうほどです。でも、もじゃもじゃ頭の下の風貌はたしかに中央アジア系。指揮ぶりは動きがとても柔らかく、きっと運動神経も良いのだろうな、と感じます。
第1楽章:アレグロ。弾むようなリズムで、テンポを落としてまた上げる、ワルツのターンのよう。第2楽章:アンダンテ・コン・モート。弦楽合奏がとても柔らかく優しい響きがします。第3楽章:メヌエット、アレグロ・モルト~トリオ。音楽の表情を変えるところは、スパッと鋭角的に、力強く。曲の最後は、弓を離して、澄んだ音が消えていく余韻を味わいました。第4楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ。小編成のオーケストラで聴く当世風シューベルトの交響曲として、ずいぶん変化もあり、ほんとうに楽しみました。

続いて、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲です。
オーケストラの編成は、Fl(2), Ob(2), Cl(2), Fg(2), Hrn(2), Tp(2), Timp., 8-7-5-5-3 の弦楽セクションとなります。このうち、ホルンとトランペットはナチュラル・タイプ、ティンパニはバロック・ティンパニとなります。ふむふむ、なるほど~、などと一人で納得していたら、本日のソリスト、木嶋真優さんが車椅子で登場!なんでも、足を怪我したとかで、エメラルドグリーンのドレスの足元からのぞく白い包帯が痛々しい。どうやら、ギブスで固定しているようです。
それでも、椅子に座って演奏する第1楽章の情熱的なこと!そして、長いファゴットの音から第2楽章の音楽が帰ってくるところなど、山響のバックもすごい!また、ヴァイオリンから、ファンファーレとともに第3楽章の音楽が始まりますが、ここもとってもおもしろい! 情熱的で、この曲を実に新鮮に聴かせてくれます。ほんとに魅力的な演奏でした。

ここで、15分の休憩です。ホワイエでホットコーヒーを頼みましたが、これまでは紙コップだったのに、今回は陶器のカップでした。百円だけ値上げになりましたが、紙コップよりは良かったみたいだなあ(^o^;)>poripori

そして3曲目は、大好きなドヴォルザークの「交響曲第8番」です。楽器編成は、Fl(2:うち1はピッコロ持ち替え), Ob(2:うち1はイングリッシュホルン持ち替え), Cl(2), Fg(2), Hrn(4), Tp(2), Tb(3:うち1はバス・トロンボーン), Tuba, Timp., そして弦楽セクションは 8-7-5-5-3 の通常配置です。
この曲では、ホルンもトランペットもナチュラルタイプではなく、またティンパニもバロック・ティンパニではなく、いずれも現代楽器を採用しています。このあたりも、指揮者演奏家の考えなのでしょう。
第1楽章:アレグロ・コン・ブリオ。チェロの音色が素晴らしいし、斎藤真美さんのイングリッシュホルンがいいなあ! 第2楽章:アダージョ。かなりゆったりとしたテンポで、劇的な対比も。トランペットもいいなあ! 第3楽章:例えば1st-Vnが旋律を奏でるとき、2nd-Vnはピツィカートをしているんですね。同じように、VlaとVcが旋律を奏でるとき、Cbはピツィカートしてる。で、役割が逆になるときもあって、律儀に分担しているみたい。第4楽章:アレグロ・マ・ノン・トロッポ。指揮者は、音が響き合うだけじゃなくて、ここぞという時には主張してほしいという要求でしょうか。ああ、良かった~。

そういえば、ドヴォルザークのこの音楽は、オーケストラのメンバー全員を幸せにするものだと感じます。各パートの聴かせどころとなる出番をちゃんと作っているところなど、作曲に専念する前はプラハ国民劇場のヴィオラ奏者だった経験を生かしているのかもしれません。いわば、下積みの時代の苦労がちゃんと曲に生きているのかも。そしてそれがちゃんと聴衆に届くところが、ドヴォルザークなんだなあ(^o^)/

終演後、ファン交流会が行われました。



木嶋さんは、座っての演奏のため体の軸がずれた形になったため、今まで無意識にしていた(できていた)ことも「あれ?」となることがあったそうな。オーケストラに助けてもらった面もあったそうです。怪我が治ったら、すわって演奏した経験を生かして、さらにレベルアップしたいと語ってくれました。



ショハキモフさんは、山響の印象について、です。音楽家の中には、自分の考えを確固として持ち、指揮者の要求を受け入れない人もいるそうですが、山響では全面的に自分の考えを実現できた。山響は、フレキシブルでオープンな素晴らしいオーケストラだ。もう一度山形に来て、周囲の環境にも接することができたら嬉しい。できれば山に登りたい、とのことでした。
木嶋真優さんのCD「Rise」を購入、ショハキモフさんと木嶋さんにサインをしてもらいました。相変わらずのミーハーです(^o^)/



ところで、先日の午後に山形市内を車で走っていたら、赤いチェロケースを背負ったお嬢さんの姿を見かけていました。あれ、久良木夏海さんじゃなかろうかと思ったのですが、練習終了時刻からはだいぶ過ぎていましたし、あれはたぶん、高橋あけみさんの退団を記念するプレコンサートのために、居残りでベートーヴェンの七重奏曲を合わせた後だったからかも。うーむ、山響って、やっぱりいいオーケストラだわ~!などとビール片手に一人で勝手に盛り上がる日曜の夜でした。



(写真を少し追加しました。)
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