電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形弦楽四重奏団第49回定期演奏会でハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンを聴く

2013年10月20日 08時47分32秒 | -室内楽
週末の土曜日、勤務を終えてから県立図書館で調べものを済ませ、某店で夕食をとって文翔館議場ホールに急ぎました。ちょうど渡邊奈菜さん(Vn)と田中知子(Vla)さんのデュオによるプレコンサートの途中でしたので、足音を立てないように遠慮して入口のところで拝聴。モーツァルトだったようですが、曲目の紹介は残念ながら後ろの席までは聞こえませんでした。



本日のプレトークは、2nd-Vnの今井東子(はるこ)さん。先日まで風邪気味だったそうですが、「意地でも治してみせます」と宣言(*1)しての登場です。本日の曲目の解説も、幸いにグスグス鼻声ではありませんで、大丈夫そうです。まずは良かった良かった(^o^)/
で、曲目は:

ハイドン 弦楽四重奏曲 ト短調 Op.20-3
ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第2番 ト長調 Op.18-2
モーツァルト 弦楽四重奏曲第18番 イ長調 K.464


ステージ上には、左からダークグレーのシャツに黒い上着の中島光之さん(1st-Vn)、そのお隣が今井さん、黒っぽいシャツに赤いネクタイの茂木明人さん(Vc)、そして同じく黒っぽいシャツに上着なしで倉田譲さん(Vla)の4人が並びます。

1曲目は、ハイドンの「太陽四重奏曲」Op.20の中から、ト短調をややゆっくりめのテンポで。出だしは少々心配しましたが、すぐに持ち直しました。4つの楽章中ではとくに第3楽章で、チェロがしっかりと土台を支えながら、おだやかな楽想を丹念に表現しようとしているのが感じられました。
「ひばり」や「皇帝」のような有名曲の場合は、何度も演奏する機会があるでしょうが、こういうマイナーな曲の場合は、滅多に演奏する機会はないのではと思います。そういう意味でも、ハイドンの弦楽四重奏曲の全曲演奏という目標は実現してほしいところです。

2曲めは、若いベートーヴェンの第2番。安定感のある出だしです。まじめでロマンティックな山Qに合っている曲想なのか、左手を後ろに回し、少し身を屈めてハンカチを振るような「挨拶」の身振りもすごくいいです(^o^)/
第2楽章で、Adagio cantabile なのに、まるでアタッカで次のスケルツォに入ってしまったかと一瞬思わせて、およよ、まだ2楽章だよとフェイントをかますところも(^o^)ばっちり決まります。第3楽章、若いベートーヴェンの軽やかさをよく表しつつ、第4楽章ではチェロの「挨拶」に応えて他の三人もそれぞれに挨拶をするところから始まり、最後は四人の没頭が感じられる、しっかりとしたアンサンブルの手応えでした。



15分の休憩の後、3曲目はモーツァルトの弦楽四重奏曲の中でも充実した「ハイドンセット」の最後から二番目の曲です。第1楽章:アレグロは柔らかに、ふくよかに。第2楽章:メヌエットは、舞曲由来とは思えない、かなり抽象的・前衛的な音楽です。第3楽章:アンダンテ。演奏者は楽しいだろうなと思わせる、技巧と情緒のバランスの取れた音楽です。VnとVlaの2人のかけあいも柔らかで、四人が交互に対話します。アンサンブルの妙味ですが、これが不思議に現代的です。第4楽章:アレグロ・ノン・トロッポ。この音楽を、是非にももう一度聴きたい!と思ってしまいます。

アンコールは、同じく若いベートーヴェンのOp.18から、第5番のメヌエット。途中のヴィオラが奏する旋律が、とても魅力的に響きます。
最後は、中島さんのトークで、第50回定期演奏会の予告がありました。すでにチラシも出来上がっており、新春1月13日(月)の成人の日、18:30~、文翔館議場ホール、入場料は、前売1,500円、当日2,000円です。当方は、すでにしっかりと確保してまいりました。

(*1):風邪にご用心~「東の散歩道」
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