電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

佐伯泰英『尾張の夏~居眠り磐音江戸双紙(34)』を読む

2011年06月08日 06時03分12秒 | -佐伯泰英
久しぶりに再開した佐伯泰英『居眠り磐音江戸双紙』シリーズ、佐々木玲圓の殉死の理由はサッパリ理解できず、妻おえいも一緒だなんてどういう思考かと、理系の石頭では解釈不能(^o^;)でした。まあ、扇の収集旅行で一巻を費やしたり(*1)、人の夢の中に入り込んで敵と戦ってしまったり(*2)できるお話だからと、とりあえず疑問は脇に置いといて(^o^;)、第34巻『尾張の夏』を読みました。「終わりの夏」との掛詞じゃなかろうな、との心配は杞憂でした(^o^)/

第1章:「おそめの夢」。江戸では、縫箔修行中のおそめに初潮が来た祝いということで自宅に戻り、声変わりした幸吉とも顔を合わせます。この二人、もっと年齢が上かと思っていましたが、なんとローティーンだったのですね。おそめの遠い夢は、どうも京都で修行すること、みたい。すると、磐音とおこんは京都へ?たぶん、ずっと先に。でも、今は尾張名古屋です。二人は、尾州茶屋という大店をのぞいていて、三郎清定という実力者の目にとまります。なんのことはない、乱暴者退治で用心棒稼業が復活しただけの話(^o^)/

第2章:「尾州茶屋家」。名古屋滞在中の磐音クンは、尾州茶屋家の紹介で、清水平四郎として藩道場で練習できることになります。でも、強すぎるものだから、たちまち注目されてしまうのですね。尾州茶屋家の情報網の中でも、磐音主従の正体はまだ不明ですが、雹田平の一味はなぜ嗅ぎつけることができたのか。本人は、系図屋は過去を探る、と言っていましたが、透視能力があるとは言わなかったはず。このあたり、典型的な作者のご都合主義の発露でしょうか(^o^)/

第3章:「拝領の陣羽織」。尾張名古屋の中部家には、家康公から拝領の陣羽織があり、ドラ息子が用人と組んで、これを質草にしたあげく、偽物で尾州茶屋を騙そうとします。でも、尾州茶屋さんは立派です。磐音の用心棒稼業が役立ちました。それにしても、昔々の有名人の遺品がそんなに貴重なものでしょうか。いやいや、他人のことは言えません。私も山響音楽監督の飯森範親さんや、先のシュロモ・ミンツさんなど、山響に客演したソリストのサインを集めていたりします。似たようなものか(^o^)/

第4章:「美林横流し」。尾州茶屋家にとって、屋台骨の一つが木曽の木材だそうです。それを横流しする一味がいるとの情報に基づき、探索に当たっていた者が捕らえられてしまった模様。定番お約束のシチュエーションではありますが、ここはやっぱり磐音・弥助・霧子の出番でしょう。

第5章:「雲燿と間」。薩摩示現流というのは、一撃必殺の技なのでしょうか。外れるとか手元が狂うとか、「想定外」の事態への備えはないのでしょうか(^o^)/
それにしてもこの物語では、田沼意次本人はまだ一度も出てきていないのではないかと思います。悪役は、飯盛女あがりのおすなとか、虎の威を借る手下の家来とか、金に目が眩んで一服盛る悪徳医者とか、そんな連中ばかりです。何か、大人の事情でもあるのでしょうか。田沼意次の地元への政治的配慮とか(^o^)/



いずれにせよ、第34巻まで到達しました。現代の大人向け紙芝居か立川文庫か、エンターテインメント性にいよいよ磨きがかかっております。

(*1):佐伯泰英『雪華ノ宿~居眠り磐音江戸双紙(4)』を読む~「電網郊外散歩道」2008年10月
(*2):佐伯泰英『冬桜ノ雀~居眠り磐音江戸双紙(29)』を読む~「電網郊外散歩道」2009年11月
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