電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ハイドンの交響曲第94番「驚愕」を聴く

2011年06月20日 06時01分08秒 | -オーケストラ
ハイドンの交響曲第94番「驚愕」を聴きました。ハイドンの庶民的なユーモアが発揮されたのが交響曲第93番ならば、次の第94番は、茶目っ気たっぷりの、いたずら好きな一面が現れたものと言えそうです。

Wikipedia によてば、楽器編成は、フルート(2)、オーボエ(2)、ファゴット(2)、ホルン(2)、トランペット(2)、ティンパニと弦5部(第1、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)となっています。典型的な二管編成と言うには、クラリネットがありませんが、当時はむしろこれが標準だったのでしょうか。

第1楽章:アダージョ~ヴィヴァーチェ・アッサイ。序奏部は、実にやさしく木管が呼びかけ、弦楽が応じる形で、そっと始まります。爽やかな第一主題が出てくると、主部はティンパニも加わり、華麗にダイナミックに展開されていきます。
第2楽章:アンダンテ。素朴な民謡風のメロディが主題です。弱く静かに奏され、もう一度繰り返され、さらに弱く耳をすませないと聞こえないくらいに。このあたり、車の中ではほとんど聞こえないのですが、自宅では聞こえるんですよね~。さらに、あのドカーンも盛大にびっくりするほど大きく聞こえまする(^o^)/
第3楽章:メヌエット、アレグロ・モルト。速いテンポのメヌエット。このテンポで踊るのはいささか大変そうですが、若い人ならできるのかな?
第4楽章:フィナーレ、アレグロ・ディ・モルト。楽しく軽快なリズムに乗って、沸き立つような気分が盛り上がる終楽章です。第1主題と第2主題と変奏、転調、展開と再現。実に見事な音楽です。ここにも痛烈なティンパニの強打がありますが、これは作曲家のいたずらではなさそうです。

ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の演奏は、ノン・ヴィヴラート奏法や古楽器による演奏とは違いますが、現代オーケストラによるハイドン演奏の精髄と言ってよさそうな見事さです。これはこれで、一つの達成と言ってよいのではないかと思います。作品も素晴らしいですが、演奏も素晴らしいものです。

CD は SONY の 88697489042 で、プロデューサーはポール・マイヤース。1967年の五月に、オハイオ州クリーヴランドの本拠地、セヴェランス・ホールで収録されたアナログ録音。パブリック・ドメインになるにはまだ少々間がありますので、購入して良かったと思えるディスクです。

■ジョージ・セル指揮クリーヴランド管
I=9'38" II=6'25" III=4'14" IV=3'48" total=24'05"



そうそう、いたずらで思い出しました。教室で、全員が「その時」を待っている。授業では驚くほどの集中力。老教師はいぶかしく思いながらも淡々と授業をすすめ、やがてくる決定的な瞬間。定年退職する老教師に差し出されるとっくりとぐい呑み。中身は本物のお酒で、老教師はほんのりと赤くなって、上機嫌で生徒達に礼を言う。そんな古き良き時代。作曲家ハイドンのいたずらにも、そんな人間味を感じます。昨今の殺伐とした所業とはわけがちがいます。

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