電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

モーツァルトのピアノソナタ第11番K.331「トルコ行進曲」を聴く

2010年03月06日 06時17分18秒 | -独奏曲
映画「のだめカンタービレ最終楽章・前編」で、のだめチャンが進級試験で弾く自由奔放なモーツァルトに魅了されました。今までもこの超有名曲を聴いてはきたものの、中学の音楽の鑑賞曲で、試験で歌わされた階名唱の記憶だけがやけに強かったのですが、どうやらこんどは、のだめチャンの映画の場面が刷り込まれたようです(^o^)/
演奏は、例によって若きマリア・ジョアオ・ピリスのデジタル初期の録音(DENON COCO-6790)で聴いております。

第1楽章:アンダンテ・グラツィオーソ、8分の6拍子、変奏曲。シンプルな主題が、短調変奏や、アダージョ、アレグロなどにテンポを変えるなど、さまざまに変奏されます。なんとなく、ピアノのおけいこを連想してしまうのですが、でもピリスの演奏は見事です。
第2楽章:メヌエット、イ長調、4分の3拍子。CD に添付の解説書によれば、モーツァルトのピアノソナタでメヌエットは珍しいのだそうな。でもなかなかすてきな音楽で、この楽章、私は大のお気に入りです。とくに、調が次々に変わっていくさまは、実に見事。
第3楽章:イ長調、4分の2拍子、トルコ行進曲ふうに、アレグレットで、ロンド形式。「どこがトルコ風なんじゃ!」と思わず叫びたくなりますが、言わずと知れた超有名旋律ですので、「こういうのがトルコ風なんじゃ!」と言い返されそう(^o^)/
「のだめ」の映画では、ランランが演奏していたのだそうですが、実に見事な、自由奔放なモーツァルトになっていました。この曲の場面で、当方、不覚にも思わずうるっとなってしまいました(^o^)/
ピリスの演奏は、あれほど奔放ではありませんで、もっと落ち着いたものです。でも、モーツァルトの音楽の躍動感はちゃんと伝わります。

作曲年代は、近年は1783年とされてきているようです。時期的にみて、たぶん歌劇「後宮からの誘拐」とのメディア・ミックスをねらったものなのでしょう。アマチュア向けに易しく書かれているそうですので、そういった狙いは十分に考えられると思います。でも、そういう意図を超えて、聴き始めるとなんとも素敵な音楽です。

録音は、1974年1月~2月にかけて、イイノ・ホールで行われたのだそうで、ヘンレ版を使用したモーツァルトのピアノソナタ全集の中の一枚です。この全集は、1976年ADFディスク大賞、1977年エディソン賞を受賞しています。1974年といえば、PCM録音機の2号機の頃にあたります。DENONでさえ、アナログをデジタルに変換するA/Dコンバータがまだ手作りだった時代。デジタル技術やコンピュータ・テクノロジーが急速に発達した時代。あれはどなたの発案だったのか、大学では、情報科学特論などといった科目が、単位外で開講されておりました。当方も、計算機科学に興味を持ちながらも、大型計算機センターに一台だけの状況では、学生が自分で触ることはかなわず、パーソナル・コンピュータの出現を待たねばなりませんでした。このあたりの記憶はやけに鮮明です。

■マリア・ジョアオ・ピリス盤
I=14'37" II=6'22" III=4'28" total=25'27"
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