電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

文化の日、鶴岡市の致道博物館等を訪問。

2006年11月03日 22時58分09秒 | 散歩外出ドライブ
晴れの特異日の例にもれず見事に晴れた休日、車で鶴岡市に出かけました。
見事な紅葉を見ながら月山を越えると、鶴岡市です。見慣れた市街地に入り、致道博物館へ。写真は明治初期の洋風建築である旧西田川郡役所(明治14年築)です。ここには、大昔の石器時代や縄文時代の考古学資料のほか、戊辰戦争で温情ある政策を取った西郷隆盛との縁など、鹿児島市との関係を示す資料などが展示されています。
また、庄内藩主の隠居所として使われた御隠殿にも行きました。ここは、大名屋敷の一部だった建物と古い庭園が残っており、旧藩主の鎧や、釣りを趣味とした歴代藩主の愛用の庄内竿や、先代酒井氏の撮影した写真集等が展示されています。庭園を眺める座敷の脇に、小さな茶室がありましたので、ここで抹茶をたてていただきました。映画『蝉しぐれ』で里村左内と牧文四郎が対面した場面を撮影した、まさにその場所だそうです。



静かな茶室で、庭園を眺めながらいただいた抹茶はおいしく、お菓子も甘かった。かつては鳥海山が借景となっていたそうですが、今は都市化の影響で鳥海山も見えなくなってしまったとか。でも書院庭園は心が休まります。

他の収蔵庫に陳列された、見学者も少ない民具の中には、実用的で美しい「ばんどり」や、多くの実用的な大宝寺焼の陶器などが目を引きます。また、田麦俣から移築された多層民家も貴重なものです。

ですが私には、藤沢周平が『義民が駆ける』の中で描いた、藩主酒井公を慕う領民が三方国替えの幕命を撤回させる物語をはじめとする代々の歴史を引き継いだ、先代の酒井忠明さんの平成15年 86歳 での歌会始応制歌、

「今もなほ 殿と呼ばるることありて この城下町に われ老いにけり」

という一首が、いちばん心に残りました。
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