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電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

古いLPでモーツァルト「クラリネット五重奏曲」を聴く

2016年11月20日 06時03分44秒 | -室内楽
雨が降り続く休日の午後、リビングで古いLPレコードを聴きました。私がまだ若い頃、学生時代に好んで聴いていたレコードで、モーツァルトの「クラリネット五重奏曲イ長調K.581」です。



昔懐かしい東芝音楽工業(株)が発売した廉価盤「セラフィム」シリーズ中の1枚で、AA-5069という型番のステレオ録音。LPのジャケットの裏面に記載された、クラリネットの松代晃明氏による解説によれば、

ウィーンのモーツァルト・ゲマインデが主宰するオーストリア唯一のレコード賞Die Wiener Floetennuhr(ウィーンの笛時計)の1970年の受賞レコード

だそうです。



演奏は、同じくジャケット裏面の解説によれば、

  • ジェルヴァーズ・ド・ペイエ(Cl) ロンドン響主席クラリネット奏者
  • エマヌエル・ハーウィッツ(1st-Vn) ニューフィルハーモニア管コンサートマスター
  • アイヴィー・マクマホーン(2nd-Vn) ジャックス・オーケストラのコンサートマスター
  • セシル・アロノヴィッツ(Vla) イギリス室内管の首席奏者、アマデウス四重奏団員
  • テレンス・ワイル(Vc) 多くの室内楽団で活躍した有名な教師

というメンバーだそうで、LPでは「メロス・アンサンブル」と表記しています。1960年代にイギリスを中心に活躍した室内楽の合奏団のメンバーみたいです。

1960年代末~70年頃の演奏スタイルは、現代の古楽奏法の影響を受けた活気あるものと比較すると、ずいぶん穏やかで、とがったところの少ない、まろやかな響きに感じます。たしかに、若い頃にはこういう温和な表情がモーツァルトだとイメージしておりました。後に、映画「アマデウス」におけるヴォルフガング君のけたたましい笑い声に象徴されるような、活力にあふれた行動は、まったく「想定外」で、「ときどき眠くなるのがモーツァルトだ」と思っていました(^o^)/

今ならば、速いテンポで活気ある演奏を繰り広げる現代風モーツァルトの方を好んで聴いていますし、最低音までしっかりと表現できるバセットホルンを用いた演奏が大好物です。でも、たまにはこういう昔ながらの演奏が懐かしく感じられ、手を伸ばすこともあるのです。たいていは、モーツァルトの響きの向こうに、過ぎた日々のあれこれを思い出しながら。

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山形弦楽四重奏団第61回定期演奏会でハイドン、シューベルト、モーツァルトを聴く

2016年10月31日 06時01分30秒 | -室内楽
10月最後の日曜日の夜、山形弦楽四重奏団の第61回定期演奏会を聴きました。日が短くなり、16時を過ぎると薄暗くなります。良い席を確保しようと早めに家を出て、軽く食事をしてから文翔館議場ホールに到着しました。入り口には、開場前に熱心なお客さんが列を作って並んでおりました。今回は曲目がモーツァルトの晩年の名曲「クラリネット五重奏曲」を含むプログラムで、山響首席クラリネット奏者の川上一道さんが加わります。さらに、先の山響定期のロビーコンサートで山形弦楽四重奏団として演奏し、定期演奏会の宣伝をしたのも効果的にはたらいて、お客さんを惹きつけたものと思われます。

プレコンサートは、小松崎恭子(Fl)、田中知子(Vla)の2人による二重奏で、モーツァルトの「魔笛」の中から、パパゲーノや夜の女王のアリアなどを取り上げたものです。曲名や編曲者は不明。
続いて川上一道さんが登場、クラリネットのソロで、スイスの作曲家ズーターマイスターの「カプリッチョ」を演奏します。現代の音楽ですが、けっこう楽しい。それにしても、見事な演奏ですね~。

開演前のお話は、ヴィオラの倉田譲さんです。川上さんは、今回はふつうのA管のクラリネットではなくて、バセットクラリネットを使用するとのことです。普通のクラリネットは、最低音がミの音までだそうですが、バセットクラリネットはだいぶ管の長さが長いので、ドの音まで出せるために、モーツァルトが楽譜に書いたとおりに演奏できる、とのことでした。楽器の種類の多様性は、演奏家でも驚くほどあるのだそうですが、結局は作曲家が使ってくれないとすたれてしまうのだそうです。モーツァルトは、晩年にシュタットラーという名演奏家と出会い、クラリネット五重奏曲を書いたのは有名な話だけれど、実はバセットクラリネットのための曲だった、ということなのでしょう。

本日の曲目は、

  1. F.J.ハイドン 弦楽四重奏曲 イ長調 Op.55-1
  2. F.シューベルト 弦楽四重奏曲第4番 ハ長調 D.46
  3. W.A.モーツァルト クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581(Cl:川上一道)

というものです。

最初の曲は、ハイドンの弦楽四重奏曲、Op.55-1 というのは、第二トスト四重奏曲という曲集の最初の曲らしい。基本的には軽やかな明るい曲想で、いかにもハイドンらしいです。1st-Vnの中島さんが一生懸命に奏いてるのに他の3人は楽しく合わせているという風情で、第1ヴァイオリン主導型という当時のスタイルがしのばれる雰囲気です。これは何度も聴けるように、CDがほしいです。

二曲目は、シューベルトの弦楽四重奏曲第4番。第1楽章:アダージョ。チェロから始まり、ヴィオラが加わり、次に第2ヴァイオリン、最後に第1ヴァイオリンという具合に次々に加わって、四人の楽しいアンサンブルを聴かせる、という始まり方です。第2楽章:アンダンテ・コン・モト、第3楽章:メヌエット、アレグロ、第4楽章:フィナーレ、アレグロ。家庭音楽という範疇に入るのでしょうが、シューベルトらしい、親しみ深い音楽でした。

ここで15分の休憩があり、最後の曲目は、お待ちかねのモーツァルト「クラリネット五重奏曲」です。この曲は、LPやCDでは充分に親しんだつもりの音楽ですが、実は実演では初めて聴くのかもしれない。クラリネットとバセットクラリネットの音色の違いについては、以前、N響アワーでザビーネ・マイヤーがモーツァルトの「クラリネット協奏曲」を演奏した時に、たしかバセットクラリネットを使っていたはずですし、山響定期でも何度かお目見得しています。ですから、全く初体験というわけでもありませんが、これだけ間近で、しかも「クラ五」で聴けるというのはうれしい限りです。

第1楽章:アレグロ。フワッとやさしい弦の響きで始まり、クラリネットが加わって活発になってきます。ソナタ形式で書かれているようで、主題が様々に形を変え、変奏される様子が、良いですね~。チェロの合いの手がぴったりで、気持ちが良いです。
第2楽章:ラルゲット、三部形式。そっと優しく、弱音器を付けたヴァイオリンの音が、なんともチャーミング。ああ、なるほど、あんなふうにして弱音器を付けて、こんなふうに音色が変わるんだ~と興味津々です。それに加えて、明るく陽気な高音から、深く沈み込むような低音まで、表情と音色を変えるクラリネットが実に魅力的です。
第3楽章:二つのトリオ部を持つメヌエット。クラリネットの高音とヴァイオリンとのやりとりに注意が向きがちですが、バセット・クラリネットの低音と、チェロやヴィオラとの応答の親和性も注目です。とくに、トリオ部での迫力あるボウーッという最低音から上昇する高音まで、音色の変化がいかにもバセットクラリネットらしい。
第4楽章:フィナーレ、アレグロ。飛び跳ねるように意識して活気あるリズムとしているらしいヴァイオリンの表現や、ヴィオラの嘆きの表情もすばらしい。アレグロのコーダまで、実に名曲らしい充実感、モーツァルトが考えた通りの音の手応えを感じる時間でした。

アンコールは、武満の編曲によるチャイコフスキー「秋の歌」というクラリネット五重奏の曲です。ストルツマンと東京カルテットのために書かれた曲だそうで、実にいい雰囲気で、ステキな音楽を知ることができました!



いつもよりも聴衆の人数がぐっと多いと感じます。今回は、ほとんど空席がないくらいで、たぶん百人を超えていたかもしれません。おそるべし、モーツァルト「クラ5」の人気!

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アイアランド「幻想三重奏曲」を聴く

2016年10月06日 06時02分52秒 | -室内楽
ずっと通勤の音楽で聴いていた、アイアランドのピアノ三重奏曲集のCDを、ようやく自宅で聴きました。まだ暗い夜明け頃、グールド・トリオの演奏を簡易なPC-audioを経由してヘッドホンで聴くとき、ロードノイズに隠れがちな弱音部もずっとよく聴くことができます。



ジョン・アイアランド(1879-1962,*1)はイギリスの作曲家で、これまでもピアノ協奏曲を取り上げたことがあります(*2)。CDの冒頭に置かれた「幻想三重奏曲」は "Phantasie Trio in A minor(1908)" のことで、「ピアノ三重奏曲第1番」と明記されてはいませんが、それに相当するようです。作曲されたのは、Walter Willson Cobett という実業家が主催した室内楽作品のコンペティションがきっかけのようで、このへんの事情は、CD添付のリーフレットによれば、こんなふうだそうです。

The first competition, in 1905, was for string quartet and attracted 67 entries. It was won by Hurlstone, with Frank Bridge's Phantasie in F minor placed second. Frank Bridge, born the same year as Ireland, won the 1907 competition for piano trio, and Ireland's Phantasie in A minor was placed equal second with James Friskin's Phantasie, also in A minor. The Third competition was announced in 1909 and was for a sonata, not a Phantasie. It attracted 134 submissions, and the first prize was awarded to Ireland in 1910 for his Violin Sonata (no.1) in D minor.

ふむふむ、フランク・ブリッジの曲は何度か聴いたことがあります(*3)。彼らは全く同時代の人なのですね。アイアランドの「幻想三重奏曲」は、ピアノ・トリオを募集した年の同点二位にあたり、アイアランドが優勝したのは1910年のヴァイオリン・ソナタのようです。

YouTube に、この曲の動画がありました。
John Ireland - Phantasie Trio in A minor (1906)


(*1):ジョン・アイアランド~Wikipediaの解説
(*2):アイアランド「ピアノ協奏曲」を聴く~「電網郊外散歩道」2015年10月
(*3):ヤンネ舘野ヴァイオリン・リサイタルでモーツァルト、ガーシュイン、フランク等を聴く~「電網郊外散歩道」2014年4月

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「ハンガリー田園幻想曲」など器楽名曲集を聴く

2016年08月29日 06時01分38秒 | -室内楽
ほぼ半世紀近く、クラシック音楽を好んで聴いてきましたが、あまり聴いてこなかった曲というか、ジャンルがあります。それが、器楽の小曲からなる名曲集のようなものです。部分的には、何かの「ソナタ集」や「愛奏曲集」などにフィルアップされたような形で耳にしてはいるものの、どちらかといえば大曲中心の志向が強く、いわゆる器楽名曲集でしか耳にしないような曲は、接する機会が少なかったのでしょう。

そのような曲の代表的な例が、たとえばドップラーの「ハンガリー田園幻想曲」です。この曲は、実は某中古書店で入手した全集分売もののCD(The Great Collection of Classical Musicシリーズ中の一枚、FCCC-50118)しか持っていませんで、私にとっては唯一の在庫(^o^;)となります。その内容は、

  1. ドップラー:ハンガリー田園幻想曲 ラルデ(Fl)、ジャメ(Hrp)
  2. グルック:精霊の踊り 同上
  3. ドビュッシー:シランクス ラルデ(Fl)
  4. オネゲル:牝山羊の踊り 同上
  5. サン=サーンス:白鳥 堤剛(Vc)、木村茉莉(Hrp)
  6. フォーレ:夢のあとに 同上
  7. フォーレ:子守歌 ジャメ(Hrp)、篠崎史子(Hrp)
  8. ドビュッシー:小舟にて 同上
  9. J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 松居直美(Org)
  10. チャイコフスキー:ただ憧れを知る者のみが デイヴィッド・パウエル指揮東京フィルハーモニー交響楽団
  11. ドリゴ:セレナード 同上
  12. マルティーニ:愛の歓び 同上
  13. ルノアール:聞かせてよ 愛の言葉を 同上
  14. グリーグ:君を愛す 同上

というものです。本CDの副題にあるとおり、「美しき器楽の調べ&クラシカル・エレガンスの魅力」にあふれた内容です。

ここに含まれるほとんどの曲は、いずれも何らかの形で耳なじみのものであり、歌曲をもとにした編曲ものなどは、オリジナルの歌曲のほうでも好んで聴いていますが、はじめの四曲は残念ながらこのCDだけ。解説リーフレットなどはもちろんありませんが、たまにこのCDを取り出して聴くときは、フルートやハープなど、器楽の名曲をじっくり楽しむことができ、ありがたいかぎりです。



いくつかのLPやCDの中の数曲ずつを組み合わせたアルバムで、首尾一貫したテーマは「器楽の有名小品」というだけのようにも思いますが、どうやら「国内録音」という隠れたテーマもあるようです。たぶん、某中古書店ではかなりよく見かける種類のもののようですが、私の場合、実は保管場所の節約のためにCDケースを捨ててしまい、類似のシリーズものをCDアルバムファイルの中にまとめて保管しています。これも、案外、便利です。


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メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第1番」を聴く

2016年05月27日 06時05分42秒 | -室内楽
「初夏はメンデルスゾーン」ということで、このところメンデルスゾーンづいています。チェロ・ソナタに続いて、通勤の音楽に選んでいるのが、弦楽四重奏曲第1番。以前、実演でも聴く機会に恵まれました(*1)。
このときは、まだWikipediaにも解説はなかったのですが、最近はちゃんとページが作られており、譜例もついた解説となっています(*2)。

それによれば、メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第1番変ホ長調Op.12」は、1829年にベルリンで書きはじめられ、同年9月14日にロンドンで完成された曲で、第1番として出版されましたが、実際には変ホ長調の番号なしの曲と、第2番イ短調の次に書かれたものだそうです。

第1楽章:アダージョ・ノン・トロッポ~アレグロ・ノン・タルダンテ、4分の4拍子、変ホ長調、ソナタ形式。穏やかな序奏は、いかにも室内楽の始まりの雰囲気ですが、主題はメンデルスゾーンらしい、歌のような旋律です。
第2楽章:カンツォネッタ、アレグレット、4分の2拍子、ト短調、三部形式。スタッカートで奏でられる軽やかさと、終わりのほうで出てくるピツィカートが印象的。
第3楽章:アンダンテ・エスプレッシーヴォ、4分の3拍子、変ロ長調。ほんとにエスプレッシーヴォな音楽。若いメンデルスゾーンは、何を訴えたかったのだろう?
第4楽章:モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ、8分の12拍子、ハ短調~変ホ長調。前の楽章からほとんど切れ目なく演奏されるけれど、表情はがらりと一変します。それだけに、激しい嵐のように急速に演奏される音楽と、その合間にちらりとのぞく憂鬱な表情が印象的。



通勤の音楽としては、愛車デミオ・ディーゼルXDのスピーカの能力もあって、不足がちな低音域がロードノイズに邪魔されて、隠れてしまいがちです。このあたり、昔から聴きなじんだ曲の場合は脳内で補正してしまうので大丈夫なのですが、まだおなじみとは言えない曲の場合には不満を感じてしまうところです。
でも、田舎の静けさを保つ自宅で、簡易なPC-audioやステレオ装置で聴く時には、そんな不満もなくなります。

演奏は、メロス弦楽四重奏団によるもので、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲全集としてCD化されたグラモフォン盤(UCCG-4333/5)です。

YouTube にもありました。第1楽章です。

Mendelssohn, String Quartet E-flat-major, Op 12, I. Adagio non troppo - Allegro non tardante


(*1):山形弦楽四重奏団第48回定期演奏会でハイドン、清瀬保二、メンデルスゾーンを聴く~「電網郊外散歩道」2013年7月
(*2):弦楽四重奏曲第1番(メンデルスゾーン)~Wikipediaの解説

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メンデルスゾーン「チェロソナタ第2番」をシュタルケルとシェベック等で聴く

2016年05月14日 06時05分52秒 | -室内楽
メンデルスゾーンのチェロ・ソナタ第2番を、引き続き聴いております。先に鈴木秀美さんのチェロと平林千絵さんのフォルテピアノで、透明感のある繊細な響きと生き生きとしたリズムで楽しみましたが、この曲の別の演奏を探してみました。残念ながら、当方の小規模なライブラリには、他にCDもLPも該当するものはありません。そこで、おのずとネット上で探してみることに。

まずは、「クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label」に、ヤーノシュ・シュタルケル(Vc)とジェルジ・シェベック(Pf)のコンビで1962年の7月に録音された演奏(*1)を見つけました。まさに、パブリック・ドメインの恩恵です。

(*1):メンデルスゾーン「チェロソナタ第2番」ニ長調Op.58~「クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label」より

また、YouTube でも、この曲のデータを見つけました。どうやら、アントニオ・メネセスの演奏らしいです。

F. Mendelssohn - Cello Sonata No. 2 in D major, Op. 58 By Antonio Meneses


なるほど、ピアノが現代のものになるだけで、ずいぶん印象が変わるものです。音楽が鋭く迫力が増してくるようで、とくにピアノの低音の迫力に負けまいと、チェロも頑張って張り合っているような印象を受けてしまいます。

それにしても、こんなふうに多様な演奏表現を簡単に楽しめてしまうことを喜んでいいのか、苦労して入手した高価なLPを宝物のように聴いていた昔を嘆いたらいいのか(^o^;)>poripori

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ヤンネ舘野ヴァイオリン・リサイタルでシベリウス「ヴァイオリン協奏曲」(ピアノ伴奏版)等を聴く

2016年05月06日 21時40分24秒 | -室内楽
ゴールデンウィークも後半の5月5日、子供の日の休日は、時おり小雨がパラつきますが、なんとか曇りのお天気です。朝から午前中いっぱいかかって、少し離れたところにある果樹園の草刈りを敢行、半日かかってようやくきれいになりました。昼食後は、お米を搗いて家庭サービス。午後からは、山形市の文翔館議場ホールに出かけました。本日は、ヤンネ舘野さんのヴァイオリン・リサイタルで、作曲者シベリウス自らが編曲したピアノ伴奏版のヴァイオリン協奏曲が聴けるということで、ずいぶん前から注目していた演奏会です。



文翔館の無料駐車場に着くと、さすがはゴールデンウィーク! 満車で入れません。時間に余裕がありましたので、そのまま順番待ちに並ぶと、先の車が次々にあきらめて別の駐車場に移動したようで、ほどなく駐車できました。



文翔館議場ホールの設営は、ホールの北側に音響反射板が四枚、その前(南側)にグランドピアノを据え、低めのマイクロホンが二本立っています。ピアニストの右手側に、ヴァイオリン独奏者が立つ場所に譜面台がセットされ、その斜め上方の高い位置から二人の奏者をねらうのは、もしかして映像用の小型カメラでしょうか。



聴衆は、反射板の前のステージ区画を半円形に囲む形で座ります。今日はいつになく華やいだ雰囲気で、妙齢のご婦人方がやけに多いように感じます。座席の数はおよそ二百席くらいとみましたが、ほぼ満席に近い状態で、すごいですね~。開演前に、実行委員長の大内勝利さんがご挨拶と諸注意を行いました。本日のプログラムは、

  1. シベリウス ノヴェレッテ Op.102
  2. シベリウス 夜想曲 Op.51-3
  3. シベリウス ヴァルス・オーバード・メヌエット Op.81
  4. モーツァルト アダージョ K.261
  5. モーツァルト ロンド K.373
  6. ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲 (ハイフェッツ編)
      以上、ヴァイオリン:ヤンネ舘野、ピアノ:白田佳子
     ~休憩~
  7. シベリウス 即興曲 Op.5-5   ピアノ:白田佳子
  8. シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47
      ヴァイオリン:ヤンネ舘野、ピアノ:白田佳子

というものです。シベリウスは1865年12月8日生まれですので、生誕150年がわずか23日で終わるのはおかしいと、引き続きシベリウスのアニバーサリー・イヤーを継続しての、シベリウス特集でしょうか。

素人音楽愛好家ですので、ノヴェレッテや夜想曲、即興曲などのシベリウスの曲は、初めて聴きます。でも、ステキな音楽ですね!
モーツァルトのアダージョとロンドは、チャーミングな音楽ですし、ハイフェッツ編曲の「牧神の午後」は、ドビュッシーの雰囲気がたっぷり出ています。



そしてシベリウスのヴァイオリン協奏曲。シベリウスは北欧のひんやりした雰囲気だなんて誰が言った(^o^)/
ピアノ伴奏で聴くヴァイオリン・ソロは、ヴァイオリニストを目指したというシベリウスが目一杯つめこんだみたいな技巧が満載。オーケストラで聴いていたときは、オーケストラの大きなうねりに惑わされていたんだろうな、と感じます。ピアノ伴奏も、オーケストラ部の構造というか、骨格というか、むき出しの状態で受けとめることができます。

聴衆の拍手に応えて、アンコールは:
ハチャトリアン「ガイーヌ」より、「アイシャとナントカ(^o^;)のダンス」
ガーシュイン「サマータイム」(ハイフェッツ編)
デイブ・ブルーベック「テイク・ファイブ」
ディズニー映画「アナと雪の女王」より「Let it go」
最後は、「端午の節句なのでタンゴを」というヤンネさんの駄洒落に笑ったものの、曲名はわかりませんでした(^o^)/

いや~、今回も良い演奏会でした。

オマケ画像追加:摘花前のリンゴの花です。これから、中心花を残し、周囲を囲む花を摘まなければいけません。まだまだ仕事は続きます(^o^;)>poripori



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メンデルスゾーン「チェロ・ソナタ第2番」を聴く

2016年05月02日 06時04分51秒 | -室内楽
春からもうすぐ初夏に移ろうという季節には、気分的にメンデルスゾーンの音楽がしっくり来ることから、最近の通勤の音楽には、鈴木秀美さんのチェロ、平林千絵さんのフォルテピアノで、メンデルスゾーンの「チェロとピアノのための音楽全集」と銘打ったCD(独ハルモニアムンディ、BMG)を聴いております。この中から今回は、とくにお気に入りで、車中なんども繰り返し聴き、休日には自宅の簡易なPC-audioで再生して楽しんでいる「チェロ・ソナタ第2番」を取り上げます。



添付の解説リーフレットによれば、この曲は1843年秋に出版され、ロシアの外交官ウィルホルスキー伯爵に献呈されているとのことです。1843年といえば、1809年生まれの作曲者は34歳、シューマン夫妻は新婚三年目、ブラームスはまだ10歳。メンデルスゾーンは、ヨーロッパの音楽界の中でも中心的な存在の一人であり、「プロイセンの音楽総監督を兼任し、ベルリンとライプツィヒを列車で頻繁に往復する生活」に「ライプツィヒ音楽院の創設」が重なるという多忙さの中にあったようです。添付のリーフレットの解説(星野宏美さん)では、母の死もあって体力的・精神的な疲労が重なり、「公の活動を退き、ひとり作曲に没頭したい」という発言がみられることから、「音楽の純粋な喜び」を再確認するような趣き」を指摘しています。これはたいへんよくわかり、納得できます。

第1楽章:アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ、8分の6拍子、ソナタ形式。まるで声域の広いバリトン歌手が堂々と歌い始めるような印象を持つ、歌曲のような始まりです。こういう明るい響きと躍動的な音楽は、まさしくワタクシの音楽的な好みのツボにあてはまります(^o^)/
第2楽章:アレグレット・スケルツァンド、スケルツォ風の味わいを持った楽章。なるほど、こういうような音楽であれば、豊かな音量を持つ現代のグランドピアノではなく、響きの丸いフォルテピアノのほうが、チェロの音と良くバランスが取れます。1759年のグァダーニというチェロと、1844年のイルムラーというフォルテピアノを組み合わせた演奏家の意図がよくわかる気がします。
第3楽章:アダージョ。ハープのようなフォルテピアノの分散和音が印象的で、全くチェロが出てこない時間を過ごした後に、チェロが登場してきます。しかも、バッハ風の旋律で。この後の、アルペジオを奏でるピアノと思索にふけるようなチェロの対話は、急速な終楽章へと転換して行きます。
第4楽章:モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ。つむじ風が巻き起こるような終楽章は、輝かしく華麗なロンドによりffで曲が終結し、充実した音楽を聴いたぞ~! という印象が残ります。

2015年7月19日 という日付のある、鈴木秀美さん自筆のサインの入ったCD(*1)は、BMG:BVCD-31013という型番のもので、お気に入りディスクの仲間入りをしております。

(*1):山形交響楽団第246回定期演奏会で「イタリア」「田園」交響曲を聴く~「電網郊外散歩道」2015年7月

余談を少々。
ライプツィヒのメンデルスゾーン・ハウスのサイト(*2)に、興味深い写真がありました。メンデルスゾーンの書斎というか、私室らしいです。トップページのメニューから「Felix Mendelssohn Bartholdy」を選び、次に「Bildersammlung」(図譜という意味か)を選びます。この中の「Arbeitszimmer des Komponisten Felix Mendelssohn Bartholdy」というのがそれです。本CDの解説リーフレットの中にも、同じ部屋の写真が掲載されていますが、なるほど、王侯貴族の部屋とは違い、近代の要素を感じます。こういう部屋でメンデルスゾーンは考えを巡らしていたんだなと思うと、親しみを感じます。

(*2):Felix Mendelssohn Bartholdy-Portal

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山形弦楽四重奏団第59回定期演奏会でハイドン、池内友次郎、ベートーヴェンを聴く

2016年04月25日 20時58分35秒 | -室内楽
昨日の日曜日、早朝からサクランボの満開期の防除作業に従事した後に、某会の総会&宴席におよばれしてご馳走をいただき、ご機嫌なままに図書館で本を借りて、夕方から文翔館議場ホールで山形弦楽四重奏団の第59回定期演奏会を聴きました。開場は18時でしたが、到着して当日券で入場した時にはすでにプレコンサートが始まっておりました。今回は、渡邊奈菜さんと田中知子さんのデュオで、ミヒャエル・ハイドンの「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲」という曲だそうです。もちろん(^o^;)当方は初めて聴く曲ですが、こういうステキな音楽が、まだまだたくさんあるんだな~と思うと、ワタシの人生もまだまだ長くあってほしいと思います(^o^)/
演奏の最後に、「キルシェ弦楽四重奏団の第2回定期演奏会が5月31日にありますので、皆さんぜひおいでください」としっかり宣伝して、これも西濱効果なのでしょうか(^o^)/

演奏会の前のお話は、セカンド・ヴァイオリンの今井東子さんです。はじめは入場するお客さんもいてざわついた雰囲気でしたが、ハイドンがイギリス定住を誘われたけれどウィーンにとどまることを決めた、その頃の曲です、というあたりから静かに聞こえるようになりました。もしかして、解説に思わず力が入り、声も大きくなったのかな?(^o^)

今回は、早朝からの農作業とおよばれの緊張感などから、いささかくたびれてメモを取らずに(取れずに)いてしまったので、ごくあっさりと曲にふれるくらいしかできませんが、本日のプログラムは次のとおり。

  1. F.J.ハイドン 弦楽四重奏曲 変ホ長調 Op.76-6
  2. 池内友次郎 絃四重奏曲(前奏曲と追走曲)
  3. L.V.ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第12番 変ホ長調 Op.127

ここで、ファースト・ヴァイオリンの中島光之さんは、ダークグレーのシャツにたぶんライトグレーのネクタイといういでたちで、セカンド・ヴァイオリンの今井東子さんは黒のノースリーブ、ヴィオラの倉田譲さんは黒のシャツで、チェロの茂木さんは白のシャツに赤いネクタイだったように記憶していますが、さてどうだったろう? なんだか別の回の記憶とごっちゃになっているような気もします(^o^)/

ハイドンのOp.76-6は、Op.76-3「皇帝」のような知名度はありませんが、晩年の曲だけあって、充実した伸びやかさ、自由さがあります。演奏も、実に気持ちよく聴くことができました。
池内友次郎の絃四重奏曲は、印象的なチェロで始まる音楽ですが、どことなく日本的な要素もあり、不思議な雰囲気を持った曲です。一回聴いただけでは、なかなかパッとはつかめません。これは、また聴いてみたい音楽です。



ここで休憩があり、後半はベートーヴェンの第12番。冒頭の、ジャーっという音で始まるあの音楽が目の前で展開されるのは、なかなか得がたい体験です。晩年の渋さは増していますが、やっぱりベートーヴェンらしい明るさや力強さが感じられます。

聴衆の拍手を受けて、アンコールは同じくベートーヴェンで、「カヴァティーナ」。たぶん、過日のベートーヴェン抜粋・集中演奏会の成果を披露していただいたのかなと思います。



最後に、次回担当となるらしい中島光之さんが、第60回定期演奏会の予告をしました。次回は、7月23日(土)、文翔館議場ホールと決まり、ドビュッシー、武満徹、ハイドンはOp.64-2というプログラムのようです。ええっ! また重なっている! 問題は、開演時刻だな(^o^)/

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久良木夏海チェロリサイタルvol.2を聴く

2016年04月04日 06時23分49秒 | -室内楽
四月最初の日曜日、山形市の文翔館議場ホールにて、山形交響楽団のチェリスト、久良木夏海さんのチェロリサイタルを聴きました。前回、第1回(*1)では、プロコフィエフのチェロ・ソナタ等を初めて生で聴き、すっかり久良木さんのファンになりました。今回、第2回のプログラムは、いわゆる三大Bの作品で、

  1. J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲第1番 BWV1007 ト長調
  2. L.v.ベートーヴェン ピアノとチェロのためのソナタ第1番Op.5-1
  3. J.ブラームス ピアノとチェロのためのソナタ第2番Op.99

というものです。



議場ホールの前方中央にあまり高くないステージを置き、背の高いついたて状の音響板を立てて、その手前にグランドピアノがあります。ピアノは、前回と同じ大伏啓太さんで、久良木さんは黒を基調とし肩ひもや胸周りと裾に花模様を配したシック&チャーミングなドレスです。会場は座席がおおむね埋まり、約百名ほどのお客さんの入りと見ました。アマオケの山形フィルの方々も来られているようで、チェロ関係者の比率がけっこう高いのではと感じました。



最初の曲目、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番ですが、1曲目の「プレリュード」から、楽器が堂々たる鳴りっぷりです。ふだん、簡易なPC-audioをミニコンポに接続し、小型スピーカを鳴らして音楽を聴いていることが多いものですから、生のチェロの迫力に、そうそう、こうでなくっちゃ!と嬉しくなります。

第2曲目は、ベートーヴェンのソナタ第1番。第1楽章:アダージョ・ソステヌート~アレグロ。少し前の時代までは、通奏低音など脇役だったチェロが、主役として登場するようなご挨拶。そしてアレグロ~生き生きとしたリズム、よく歌う伸びやかな音色が、若いベートーヴェンの音楽の魅力を伝えます。第2楽章:ロンド、アレグロ・ヴィヴァーチェ。若々しく、前向きな推進力が感じられます。ピアノも実に良かった~。

ここで、15分の休憩です。



3曲目は、ブラームスのソナタ第2番です。ヴァイオリンのソナタ集は、CDでも好んで聴いておりますが、チェロソナタのほうは、それほど頻繁に聴く曲ではありませんでした。交響曲第4番やヴァイオリンソナタ第2番、あるいはヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲など、充実した音楽を書いていた時期の作品とのことですから、実演を聴く機会を楽しみにしていたところです。第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ。第2楽章:アダージョ・アフェットゥオーソ。第3楽章:アレグロ・パッショナート。第4楽章:アレグロ・モルト。ピアノがブラームスらしく、地味渋で華麗(^o^)。そして沈潜するチェロが雄弁(^o^)。そういう矛盾したところが、いかにもブラームスらしいところでしょうか。3楽章の最後で「終わった感」を見せておいて、4楽章で活力ある音楽が始まるところあたりは、ブラームスのいたずら心?(^o^)
やっぱりいい曲ですね~。

聴衆の拍手を受けて、久良木さんがマイクを手にご挨拶。前回は、若さにまかせて選曲をしたところがあった。今回は音を並べるだけならわりに容易だけれど、音に意味を持たせ、曲の表現を作ることに努力したとのことです。ピアノの大伏啓太さんもマイクを取り、この三年の成長を讃えます。

そして、アンコールは、シューベルトの「セレナード」とメンデルスゾーンの「歌の翼に」。とりわけ、メンデルスゾーンの「歌の翼に」は大好きな曲だけに、と~っても嬉しい。

そうそう、こうしたリサイタルで、山響はじめ直近の各種演奏会の予定を紹介宣伝したのは良いことだと思います。そうして山形県内で開かれる様々な演奏会が大いに盛り上がるといいなあと願っています。

先の山響「オーケストラの日」の演奏会を聴けなかった残念さを解消する、久々のリサイタルとなりました。良い日曜日でした。

(*1):久良木夏海ファーストチェロリサイタルを聴く~「電網郊外散歩道」2013年5月

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山形弦楽四重奏団第58回定期演奏会でハイドン、シューベルト、バルトークを聴く

2016年01月29日 20時35分36秒 | -室内楽
久々に平日の開催となった山形弦楽四重奏団の第58回定期演奏会には、仕事でちょいと残務整理をしてから食事を済ませて行きましたので、18時50分頃に、いつもの会場である文翔館議場ホールに到着しました。ヴィオラの倉田譲さんの解説が佳境に入っており、笑い声もして、なんだかだいぶウケているようでした。シューベルトの弦楽四重奏曲は、第11番あたりまでは家庭音楽として書かれており、お父さんのチェロがあまりうまくないようで、ヴィオラが補助する形になっていること、バルトークの弦楽四重奏曲は、若い頃はあまり好きでなかったのだけれど、年齢とともに共感できるようになったこと、その意味では年をとるのも良いことかも、というようなお話でした。



そっと席について聴衆の入りを見ましたが、おおよそ50いや60人くらいでしょうか、さすがにいつもよりは少ないようです。それでも、真冬の平日という条件と

  1. ハイドン 弦楽四重奏曲 ハ長調 Op.54-2
  2. シューベルト 弦楽四重奏曲第10番 変ホ長調 D.87
  3. バルトーク 弦楽四重奏曲第2番 ハ短調 Op.17 Sz.67

という、およそポピュラリティからは遠い曲目を思えば、よくぞこれだけの人数が集まるものだということも言えるかも(^o^)/

さて、演奏が始まります。第1曲目は、ハイドンの作品54-2です。第1楽章は、いかにもハイドンらしい闊達な印象。第2楽章:アダージョは、ラプソディックと言うのかジプシー風というのか、第1ヴァイオリンがかなり自由に歌います。第3楽章:メヌエットは、アレグレットで続けて演奏されます。第4楽章:フィナーレ、アダージョ~プレスト。始まりはゆっくりと、2nd-Vn、Vla、Vcの響きの上で展開される1st-Vnの旋律が魅力的です。一転して速いテンポで演奏されます。

2曲目は、シューベルトの第10番。第1楽章:アレグロ・モデラート。なるほど、言われてみればヴィオラとチェロの動きが重なるところが多いようです。第2楽章:プレスティッシモ。いかにも家庭音楽らしいユーモアでしょうか。第3楽章:アダージョ、柔和で優しい音楽です。第4楽章:アレグロ。残念、このあたりで気持ちよくなってしまい、意識と記憶が飛びました(^o^;)>poripori

ここで10分間の休憩です。

休憩の後は、バルトークの第2番です。この曲は1917年に完成されたそうで、三つの楽章からなり、緩ー急ー緩のスタイルに属すると言ってよいのでしょうか。
第1楽章:モデラート。チェロの音に注目して聴きました。ヴァイオリンの不協和な響きにとらわれがちになりますが、チェロの動きが音楽のベースを作っている面があるようで、いい音、いいリズム、いい響きです。第2楽章:アレグロ・モルト、カプリチオーソ。なるほど、カプリッチョですね~。ただし、バルトーク風味ですが(^o^)/ リズムといい、響きといい、活力が感じられます。ピチカートの連携プレーもバッチリです。第3楽章:レント。二本のヴァイオリンによって始まります。ゆっくりとしたテンポで、微妙にずれた響きや不協和な響きを楽しみます。でも、バルトークの音楽としては、まだまだ旋律的な聴きやすさがありますね~。

拍手に応えて、アンコールは J.S.バッハの「フーガの技法」から。2nd-Vn、1st-Vn、Vc、Vla の順に始まり、同じ旋律を無限に追いかけているような音楽。弦楽四重奏で聴くのも、良いですね~。

次回の担当の今井東子さんが、第59回定期演奏会のお知らせをアナウンスしてくれました。4月24日(日)、文翔館、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第12番、池内友次郎、ハイドンのOp.76-6というプログラムだそうです。さっそくプログラムにメモしました。



帰路、バルトークの弦楽四重奏曲全集のCDを聴きながら運転している間に、バルトークの音楽についてつらつら考えました。バルトークの音楽を演奏する方も聴く方も、その音楽を受け入れ、理解するには、精神的なスタミナというか強靭さを必要とするのではないか。身も心も疲れ果てていて、「パトラッシュ、僕はもう疲れたよ」状態では、バルトークの音楽の、たたきつけるようなエネルギー、激しいリズムなどを受け入れるのは難しく、生の活力のようなものが必要なのかもしれません。でも、弦楽四重奏曲の第1番や第2番は、意外に聞きやすく、おもしろかったと思います。ただ単に、CDで聴いているだけでは得られない、実演ならではの面白さを感じました。

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ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第2番」を聴く

2016年01月27日 06時03分20秒 | -室内楽
このところ、ヘンリク・シェリングのヴァイオリン、アルトゥール・ルービンシュタインのピアノで、ブラームスの「ヴァイオリン・ソナタ第2番」を聴いております。

ヘンリク・シェリングは、私の若い頃にはレコード会社のドル箱スターの一人であり、廉価盤中心の購入希望リストには登場しないバイオリニストでした。当時のレコード雑誌の新譜評などを読むと、シェリングの演奏は「精神性」が高く、その反面、例えばルッジェーロ・リッチなどの演奏は技巧ばかりで空疎だ、といったような言説がまかり通っておりました。もちろん、今はリッチの演奏が空疎だとは思いませんけれど、たまにFM放送などでJ.S.バッハの無伴奏や、ヴァルヒャとのソナタなどを耳にする機会はあっても、じっくり繰り返し聴く機会には恵まれず、シェリングはいつしか忘れ去ってしまった演奏家でありました。

ところが、時は流れて私自身が還暦を過ぎた頃に、シェリングの録音の一部がパブリック・ドメインになっている(*1)ことを知り、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ全集を入手することができました。これまで主として聴いてきたのは、イツァーク・パールマン(Vn)とウラディミール・アシュケナージ(Pf)によるEMI録音です。やわらかく優しい表情のパールマン盤にくらべて、シェリングとルービンシュタインの演奏の、表情がずいぶん厳しくいかめしいことに驚きます。別の言い方をすれば、愛想のない表情と言ってもよいかもしれない。ルービンシュタインに対して、正々堂々とわたりあっている感じもします。なるほど、当時の評論家氏は、こういうのを「精神性」と評していたのだな、と理解しました。

■シェリング(Vn)、ルービンシュタイン(Pf)盤
I=8'16" II=6'06" III=5'49" total=20'11"
■パールマン(Vn)、アシュケナージ(Pf)盤
I=8'20" II=6'41" III=5'08" total=20'09"



パールマン盤に添付のリーフレットの解説によれば、ブラームスのこのソナタは、トゥーンに滞在中であった1886年の夏に作曲されたもので、この時期の平安と充実を反映するものなのだとか。そうであれば、シェリング盤のほうは、もう少し柔和な表情でも良さそうに思いますが、反面、いかめしい表情の中にチラリと見せる含羞こそブラームスにふさわしいと思ったりもします。おもしろいものです。

(*1):シェリング/ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調Op.100」~クラシック音楽へのおさそい~Blue Sky Label~より

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山形弦楽四重奏団第57回定期演奏会でハイドン、バックス、メンデルスゾーンを聴く

2015年10月18日 09時53分35秒 | -室内楽
この土曜日は連休とはならず、出勤して懸案を片付け、自宅に戻って同窓会から依頼された宛名印刷をしようとしたら妻のインクジェット・プリンターが故障していることを発見、なんだかんだで文翔館議場ホールへの到着が遅くなってしまいました。すでにプレコンサートが始まっておりましたので、足音がしないようにそうっと入らせてもらい、斎藤真美さん(Ob)と田中知子さん(Vla)のデュオを聴きました。2つの楽章だけ聴きましたが、ステキな音楽・演奏でした。残念ながら、曲名は不明。

プログラム&プレトーク担当は、チェロの茂木明人さん。本日の曲目の他、様々な出会いについて、思い出を語りました。プログラムの印刷が無事に出来上がり、ほっとした様子でした。本日のプログラムは、

  1. ハイドン 弦楽四重奏曲ホ長調Op.54-3
  2. バックス オーボエ五重奏曲(1922)
  3. メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲第2番イ短調Op.13

というものです。

カルテットが入場、1st-ヴァイオリンの中島さん、ヴィオラの倉田さん、チェロの茂木さんの男性三人は黒が基調ですが、2nd-ヴァイオリンの今井東子さんは秋色の装い。いい色ですね~(^o^)/

まずは、ハイドンから。作曲年代は1788年だそうです。ハイドンは1732年生まれですから、充実の56歳の作品となります。曲は、第2ヴァイオリンとヴィオラ、チェロの3人のよく響く音から始まり、第1ヴァイオリンの出番を作ります。ハイドンの時代には、というよりも、作曲家が想定した1st-Vnのトスト氏は、きっとオーケストラで言えばコンサートマスターのような名手だったのでしょう。「じゃーん、真打ち登場!」というわけです。第2楽章:ラルゴ・カンタービレ。ゆったりしたテンポの中で、優雅に上品にやりとりをしますが、1st-Vnは音符がいっぱいありそうで、やっぱり忙しそうです。ほかの皆さんはゆったりしていますが、チェロの出番もあり、音色が魅力的です。第3楽章:メヌエット、アレグレットで。なるほど、たしかにメヌエットです。繰り返される旋律は、踊りを思えば当然の効果でしょうか。第4楽章:アダージョ→プレスト→アダージョという、変化の大きい音楽です。中断をうまく生かして、効果をあげています。ハイドンの楽しさと難しさと、両方がある音楽と感じました。

続いて、バックスのオーボエ五重奏曲。作曲者のアーノルド・バックス(Arnold Bax)(*1)は、1883年に生まれ、1953年に没していますので、世紀末の欧州の不穏と二度の大戦を経験した後に、たった一年だけではありますが、ワタクシも同時代の空気を吸っているわけですね(^o^)/

議場ホールの特設ステージ上には、左から1st-Vnの中島さん、2nd-Vnの今井さん、Vlaの倉田さん、Vcの茂木さん、そしてオーボエの斎藤真美さんが白系のドレスで座ります。

第1楽章:弦楽四重奏で始まり、オーボエが低音で入ってくると、独特のバグパイプ風の響きに魅了されます。作曲された年代が1922年ということですので、第一次大戦の欧州の惨禍の影響が大きいのでしょうか、不協和な要素も不安と緊張も感じられる音楽(*2)です。
第2楽章:2nd-Vn,Vla,Vcから始まり、1st-Vnが加わって、レント・エスプレッシーヴォで演奏される始まりは、オーボエがお休みしているせいもあって、田舎風でやや悲しげな弦楽四重奏曲の味わいです。これにオーボエが加わってくると、ケルト風な五音音階? なんだか親しみを感じる民謡みたいです。オーボエとバグパイプの親近性を感じながら、曲は静かに終わります。
第3楽章:アレグロ・ジョコーソ。リュートかマンドリンのような弦の響きの中に、オーボエが入ってきます。始まりの曲調は明るめで、リズミカルでユーモアもあり、楽しいものですが、途中で曲調はガラリと変わります。再び始めの楽しさが戻り、曲が終わります。

ここで休憩です。当記事もここで休憩をいただきまして、ここからは夜の部(^o^)/



最後は、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第2番イ短調Op.13です。
第1楽章、アダージョ~アレグロ・ヴィヴァーチェ。出だしの、そっとささやくような序奏が、いいですね~。そのあと、イ短調の急速な主部が情熱的な歌曲のように奏されます。低音域~中音域~高音域へと受け渡される音型が、なんとなく悲痛な感じを醸し出すところがあります。
第2楽章、アダージョ・ノン・レント。四人が互いに響きを確かめながらゆっくりと語り合うような、穏やかな表情で始まります。静かな緩徐楽章です。同じ主題を追いかけるようにメロディが次の楽器に移っていき、フーガ風の構成になっているところは、むしろ厳しさを感じさせますが、再び穏やかな表情に戻って終わります。
第3楽章、インテルメッツォ:アレグレット・コン・モート~アレグロ・ディ・モルト。三人のピツィカートをバックに、1st-Vnが子守唄かわらべ歌のようなメロディーを素朴に歌った後に、軽快なスケルツォが展開されます。はじめの旋律に戻ったときに、懐かしさを感じながら、ピツィカートでこの楽章を終了します。
第4楽章、プレスト~アダージョ・ノン・レント。切迫した表情の音楽が、悲劇的な緊張感をたたえて始まり、ちょうど嘆き悲しむ人が心の痛みを訴えるように、テンポを変えながら展開されます。やがて、ゆっくりしたアダージョ・ノン・レントと指示された部分が始まり、1st-Vnのモノローグの後に曲の最初の旋律が回想されて静かに印象的に終わります。

わーお!ブラボー!です。メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲は、ほんとにいいですなあ。とりわけこの第2番は、いいですね~。
今回は、とくにバックスのオーボエ五重奏曲という音楽を知りました。還暦を過ぎて、初めて聴く音楽に心を揺さぶられるというのは、貴重な出来事です。その点からも、実に良い機会に恵まれた演奏会でした。

次回の第58回定期演奏会は、来年、2016年1月28日(木)18:45開演、とのお知らせがありました。担当はヴィオラの倉田さん。バルトークの第2番、シューベルトの第10番、ハイドンのOp.54-2という予定だそうです。今から楽しみです。


(*1):アーノルド・バックス~Wikipediaの解説
(*2):参考までに、こんな音楽です~YouTubeより。
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「チェコフィルハーモニー・コレギウム合奏団」演奏会を聴く

2015年10月08日 18時46分51秒 | -室内楽
山響の定期演奏会等の際に配布されるチラシの中に、10月7日(水)午後6時から、天童市民文化会館で開催される「チェコフィルハーモニー・コレギウム合奏団演奏会」の案内がありました。スメタナの「モルダウ」やラフマニノフの「ヴォカリーズ」などの有名作品の他に、ドヴォルザークの「弦楽セレナード」全曲を演奏するというプログラムになっています。これは是非行きたいと願っていましたが、なかなか都合が折り合わず、半ば諦めかけておりました。ところが前日になって、急きょ都合がついて、妻と二人で出かけられることになりました。



演奏会当日にも関わらず、チケットも入手でき、天童市民文化会舘創立40周年記念・大ホールリニューアルオープン記念の演奏会に出かけました。開場前は意外なほどの長蛇の列となり、ホールはかなり満席に近い状態になっておりました。この集客力は、チェコフィルの知名度と「モルダウ」等のプログラムの親しみやすさとの相乗効果でしょうか。



ステージ右側に、花がポツンと飾られたほかは、中央に譜面台が五つと、チェロ奏者とコントラバス奏者用の椅子があるだけです。

第1曲:スメタナ「モルダウ」。ステージ左端から右へ、半円形に、第1ヴァイオリン(2)、ヴィオラ(2)、チェロ(1)、コントラバス(1)、そして右端に第2ヴァイオリン(2)の八人編成です。おなじみの「モルダウ」の旋律が、少数の楽器になったために、なるほどこういうふうにできているのかとよくわかります。あれ、ヴィオラのボウイングが違うなと思いましたが、たぶん実際の譜面ではヴィオラのパートも二つに分かれているのでしょう。

第2曲:ラフマニノフ「ヴォカリーズ」。第1ヴァイオリンの若くて長身のほうがステージ中央に移動し、ソロを奏きます。第3曲:マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲。二つのロマンティックな音楽の表現力にも感心しましたが、8頭身以上、9頭身くらいありそうなスタイルにも感心してしまいました(^o^)/

第4曲:パッヘルベル「カノン」。Vn(2)-Vc-Cb-Vn(2)という編成で、活気のあるカノンです。昔のパイヤール室内管弦楽団などの、荘重で悲しげな「カノン」ではない、テンポも速めな表現に驚きました。近年の古楽演奏の影響が明らかで、なるほど、こういうスタイルが現代の主流なのだなとあらためて感じました。

第5曲:バッハ「G線上のアリア」。再びソロ・ヴァイオリンが中央に。第6曲:シューベルト「アヴェ・マリア」では、コントラバスがソロを奏します。コントラバスの高い音も、いいものですね。

第7曲:マスネ「タイスの瞑想曲」、第8曲:フォーレ「夢のあとに」。いずれもヴァイオリン・ソロが中央に出て、ロマンティックに、でもわりにエレガントに奏します。良かった~。

第8曲:ホルスト「惑星」より「ジュピター(木星)」。管楽器がないのに弦楽器だけで迫力ある「ジュピター」でした。ブラボー!

ここで15分の休憩です。この時間を利用して、ロビーでCDを購入しましたが、けっこう売れていたみたい。



後半は、ドヴォルザークの特集です。第10曲:交響曲第9番「新世界より」から第2楽章。いわゆる「家路」のメロディをソロ・ヴァイオリンが歌います。次の第11曲も独奏ヴァイオリンが、歌曲集「ジプシーの歌」から、大好きな「わが母の教え給いし歌」を歌います。これも良かった~(^o^)/

プログラムの最後は、弦楽セレナードホ長調、Op.22 全5楽章を演奏します。

第1楽章:Moderato
第2楽章:Tempo di valse
第3楽章:Scherzo: Vivace
第4楽章:Larghetto
第5楽章:Finale: Allegro vivace

客席からは、ほぼ楽章毎に拍手が出ていましたが、これは演奏会に慣れていないお客様にも、けっこう素朴な感動が盛り上がっていたためと理解しました。それほど温かい拍手でした。

拍手に応えて、アンコールはやはりドヴォルザークから、「ユーモレスク」でした。これも、チャーミングな演奏で、良かった~(^o^)/
でも、次のワルツが、どう~しても曲名が思い出せないのです(^o^)/
まだボケるのは早いと、実は昨日からヒソカに悶々としておりまする~(^o^)/



ところで、このCDは、ソロ・ヴァイオリンを奏いたあの「九頭身」青年によるもののようですが、名前は Jiri Pospichal といい、読み方はチェコ独特のもので、イージー・ポスピーハルさんというのだそうです。若いけれど、どうやらチェコフィルの副コンサートマスターのようです。うまいわけだ(^o^)/
終演後に、皆さんにサインをしてもらいました。これで、私のミーハー・コレクションがまた増えました(^o^)/

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キルシェ弦楽四重奏団第1回定期演奏会でハイドン、モーツァルト、チャイコフスキーを聴く

2015年08月31日 19時29分37秒 | -室内楽
少し前(2014年)に山形に新しい弦楽四重奏団が誕生して活動しており、このたび記念すべき第一回定期演奏会が開かれることになりました。キルシェ弦楽四重奏団といいます。キルシェ(Kirsche)とはドイツ語でサクランボのことだそうで、むりやり訳せば「さくらんぼ弦楽四重奏団」ということになりましょうか(*1)。



 メンバーは、第1ヴァイオリンが渡邉奈菜さん、第2ヴァイオリンが松田佳奈さん、ヴィオラが田中知子さん、チェロが渡邊研多郎さん。松田さん以外は山響の団員です。文翔館議場ホールの入り口で配布されたパンフレットは、A4判カラー印刷8頁の立派なもので、松田さんが書かれたプログラムノートもたいへんわかりやすいものです。



本日の予定曲目は、

  1. ハイドン 弦楽四重奏曲第67番 ニ長調 Op.64-5 「ひばり」
  2. モーツァルト 弦楽四重奏曲第21番 ニ長調 K.575 「プロシャ王第1番」
  3. チャイコフスキー 弦楽四重奏曲第1番 ニ長調 Op.11 「アンダンテ・カンタービレ」

というものです。有名曲だけ集めたように見えますが、実は晴れやかなニ長調で統一されたプログラムに、主張が聞こえてくるようです。

拍手の中を、黄色のドレスの溝邉さん(1st-Vn)、サーモンピンクの松田さん(2nd-Vn)、黒いシャツ姿の渡邉さん(Vc)、黒の上にベール状の布をふわっとまとう田中さん(Vla)の4人が登場、ステージ右側から順に座ります。

第1曲:ハイドンの「ひばり」。ハイドンの時代の曲は、第1Vnの役割が大きく、他の3人は伴奏に回っているような印象がありますが、この曲では皆さん楽しく溌剌とした演奏でした。

第2曲、モーツァルトの「プロシャ王第1番」。始まりはチェロが休みで、途中からおもむろに始まります。このあたりは、プロシャのフリードリヒ大王がチェロを受け持つという事情を踏まえて、他の三人が前座をつとめたような恰好でしょうか(^o^)/
でも、その後は、大王役のチェロもカルテットの一員として緊密なアンサンブルを繰り広げました。

このあと15分の休憩となりましたが、休憩を告げる松田さんのお声が、アニメの声優みたいで、不謹慎にもくすっと笑ってしまいました(^o^)/kikoenakattayone!



最後はチャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」です。この曲、一部だけが超有名ですが、全曲を通して聴く機会は少ないのではないかと思います。第1楽章:印象が弱いのですが、不思議なリズム感のある楽章です。第2楽章:弱音器を付けて輝かしさを抑制、内声部も低音部も優しい歌の甘さがじわっと感じられるしくみです。ちょうどロシアの童謡か民謡みたいで、終わりは「アーメン」終止。第3楽章:前楽章とは対照的な、三拍子の舞曲風のエネルギッシュな音楽です。第4楽章:晴れやかで勢いのある、鮮明なリズムの民族的な要素を持った音楽です。四つの楽器が音形を受渡しするのを聞きながら、このカルテットはいつ練習したんだろう?と不思議に思ってしまいました(^o^)/

そしてアンコールは、モーツァルトの弦楽四重奏曲第1番「ローディ」。曲の紹介は渡邊研多郎さんです。その後で、なにやら「アイネ・クライネ」ふうな編曲のメドレーが続きました。中に「蛍の光」のメロディが出てきたあたりで、ああ終わりだなと気づきましたが、やっぱり(^o^)/

聴衆の入りは、約80名といったところでしょうか。93名だったそうです。マニアックな山形弦楽四重奏団の定期演奏会でも、ポピュラーな名曲を集めた今回の演奏会でも、聴衆の人数はさほど変わらないところが驚きでもあり、当地の室内楽愛好家の人数を示しているようでもあり。まあ、人口1200万人の東京でも、室内楽演奏会の平均集客数はせいぜい数百人でしょうから、人口規模が約20~30万人の地方都市としてはかなり多い、立派な人数と言えそうです。

良い演奏会でした。そして、ヴィオラの田中さんが終演の挨拶の中で話した「山形をいつも音楽が流れる街にしたい」という言葉が、とても印象深く、共感できるものでした。

(*1):なんだか某市の市長さんが喜んで応援してくれそうな名前です(^o^)/

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