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電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

「ヤンネ・プレイズ・シベリウス」を聴く

2018年06月14日 06時02分38秒 | -室内楽
5月の山形交響楽団第269回定期演奏会で購入してきたCDで、ヤンネ舘野さんの「シベリウス:ヴァイオリン曲集」を聴いています。もっと正確にいえば、「Janne Plays Sibelius」(ZMM-1801)というCDです。収録されている曲目は、

  1. 四つの小品 Op.78
  2. ソナチネ Op.80
  3. 五つの小品 Op.81
  4. 劇付随音楽「クオレマ」より「悲しきワルツ」 Op.44-1
  5. ヴァイオリン協奏曲二長調Op.47より第2楽章、アダージョ・ディ・モルト
  6. ユモレスク Op.87-1
  7. 組曲「ペレアスとメリザンド」より「メリザンド」 Op.46-2
  8. ノヴェレッテ Op.102
  9. 組曲「ベルシャザールの饗宴」より「ノクターン(夜想曲)」 Op.51-3
      ヤンネ舘野(Vn)、マルッティ・ラウティオ(Pf)

というものです。

ヤンネ舘野さんは、今は左手のピアニストとして知られるようになった舘野泉さんの息子さんで、舘野泉さんが病気のために右手が不自由になって落ち込んでいたときに、息子が左手のための曲の楽譜をたくさん集めてきてくれたという、実はそのご本人。私にとっては、山形交響楽団の第二ヴァイオリンの首席奏者として、いつもおなじみの演奏家です。

このCD中のいくつかの曲は、すでに文翔館議場ホールで実演を耳にしております。例えばシベリウスのヴァイオリン協奏曲のピアノ伴奏版は全曲、8と9の2曲も2016年5月に、という具合です。今回のCDで初めて聴いた曲の中で、今回とりわけ心に残ったのが、冒頭の「四つの小品」Op.78でした。

1.即興曲  2.ロマンス  3.レリジオーソ  4.リゴードン

第一次世界大戦と経済的な困窮の時代に書かれたらしいこれらの曲は、親しみやすさとともに情熱と技術を真率に感じさせるものです。良い曲、良い演奏だと思います。
最後の2曲をのぞき、2016年5月に仙台市?青葉区民文化センター・フィリアホールで録音されたもので、リーフレットの解説の日本語訳はお父さんの舘野泉さん。ピアノのマルッティ・ラウティオさんも、シベリウス・アカデミーで舘野泉さんに師事したらしい。親子二代、師弟の縁も感じられます。

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ブリテン「シンプル・シンフォニー」を聴く~お気に入りのきっかけは?

2018年02月10日 06時04分42秒 | -室内楽
ブリテン「シンプル・シンフォニー」を知ったのは、たぶん高校生か大学時代でしょう。いま持っているCD、マッジーニ四重奏団によるナクソス盤を入手するまでは、LPでも購入した記憶はありません。では、何がきっかけでこの曲がお気に入りになったのか? 考えられる理由は、NHK-FMの放送で聞いたことや、県立図書館のLPレコード貸し出しなどで、一定期間借りて聴いたことでしょうか。

ブリテンの音楽としては、中学校の鑑賞曲に「青少年のための管弦楽入門」が指定されていますが、音楽の時間に鑑賞した記憶はありません。「パーセルの主題による変奏曲とフーガ」という題では、もちろん記憶がありませんので、この「Simple Symphony」1曲がブリテン入門となりました。

Wikipedia によれば、曲はブリテンが1923年~26年に書いた習作的なピアノ曲等をもとに作られているのだそうです。楽器編成は、1st-Vn、2nd-Vn、Vla、Vc、Cb となっています。弦楽四重奏の場合は、Cbを省略できるそうで、マッジーニ四重奏団の場合はこの形をとっているようです。
第1楽章:「騒がしいブーレ」、快速にリズミカルに。ソナタ形式。
第2楽章:「おどけたピツィカート」、できる限り急速に、つねにピツィカートで。複合三部形式。ピツィカートで演奏される、とても印象的な音楽です。
第3楽章:「感傷的なサラバンド」、少し遅く、そして重々しく。複合三部形式。
第4楽章:「陽気な終曲」、きわめて急速に、火のように。ソナタ形式。

エルガー、ディーリアス、アイアランド、ブリテン、そして私がまだよく知らないブリッジ。英国音楽も素敵な曲がたくさんあるようで、まだまだ楽しみは尽きないようです。



山響の弦楽セクションが文翔館で開催するコンサートは、残念ながら行けませんでした。実はこの演奏会でも、ブリテンの「シンプル・シンフォニー」が曲目に入っていたのでしたが、残念無念です。仕方がないので、CD や YouTube で聴いています(^o^;)>poripori

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山形弦楽四重奏団第66回定期演奏会でハイドン、佐藤敏直、ラヴェルを聴く

2018年01月21日 20時04分22秒 | -室内楽
厳冬期、大寒の1月20日(土)午後6時45分より、山形市の文翔館議場ホールで、山形弦楽四重奏団第66回定期演奏会を聴きました。早めに出発し、途中のスーパーで日用雑貨の買い物を済ませるなどして文翔館の無料駐車場に到着、ほぼ開場時刻でしたが、熱心なお客さんがすでにホール入りしておりました。



最近は、プレコンサートで学生さんの演奏の機会となっているようで、今回も山形大学のお二人、武田響子さん(Fl)と平山燎さん(Vla)の2人がステージに立ち、ドゥヴィエンヌの「フルートとヴィオラのための二重奏曲第2(?)番」を演奏しました。フルートとヴィオラという組み合わせの、その響きに魅了されましたし、演奏も良かったです。

さて本日のプログラムは、

  1. ハイドン 弦楽四重奏曲 ニ短調 Op.42
  2. 佐藤敏直 弦楽四重奏曲第2番 (1970)
  3. ラヴェル 弦楽四重奏曲 ヘ長調

というものです。演奏の前に、ヴィオラの倉田譲さんが曲目を解説してくれました。ハイドンは、ちょうどその頃に、キリスト教をテーマとした宗教的な曲集を作曲していたためか、敬虔な雰囲気を持つ静かな曲になっている、とのこと。佐藤敏直さんについては、ピカソのゲルニカを見てこの曲の第○楽章が別に改作され、「弦楽四重奏曲のためのモルト・アダージョ」という音楽になっている(*1)とのこと。最後のラヴェルについては、ドビュッシーから「一音たりとも改変するべからず」と言われたけれども、数年後にやっぱり改訂しているとのこと。とにかく精密な音楽で、これを完璧に演奏しきることは難しいのではないかと思わせるほどだそうです。

しばらくして開演となりました。例によって、ステージの左から第1ヴァイオリン:中嶋光之さん、第2ヴァイオリン:今井東子さん、ヴィオラ:倉田譲さん、チェロ:茂木明人さんです。中嶋さんは黒にライトグレーのネクタイ、倉田さんは黒のシャツ、茂木さんは黒に明るい黄系のネクタイですが、今回はショートカットの髪型にした今井さんの衣装がステキでした。古代ギリシャの神殿の巫女さんみたいなひだ付きのドレスで、肩の部分がくすんだゴールド? 紅一点ならぬ黄一点、優雅です。

まず最初は、ハイドンの弦楽四重奏曲。第1楽章:アンダンテ、そして無邪気に、と指示されています。短調らしい「厳粛」というよりもやはり「敬虔な」と言った方があっている、比較的短い楽章です。第2楽章:メヌエット~トリオ、トリオ部は少し活発になります。第3楽章:アダージョ・エ・カンタービレ。静かで叙情的なゆったりとした音楽です。第4楽章:フィナーレ、プレスト。この曲の中では、比較的「短調らしい」感情を表出するところもある音楽のようです。
一聴して地味な音楽ですが、経験的に、こういう音楽は何度も聴いているとじわっと良さが感じられるようになることが多いように思います。もうすぐ全曲演奏が完了するなどということを聞くと、ハイドンの弦楽四重奏曲の全集CDが欲しくなります(^o^)/

二曲目は、佐藤敏直「弦楽四重奏曲第2番」。第1楽章:アダージョ~アレグロ。チェロから始まり、内声部が連続する響きを奏でながら1st-VnとVcのピツィカート。不思議なミステリアスな雰囲気を持った音楽です。どことなく日本民謡調なところも。第2楽章:アレグロ・コン・アニマート(生き生きと)~モデラート。第3楽章:モルト・アダージョ。静かですが、演奏する方も聴く方も、集中力を求められる音楽です。

ここで、15分の休憩です。聴衆の入りは60〜70名くらいでしょうか。中高年が主体ではありますが、かなり世代が多様なところが特徴で、ごく若い人もポツポツと目立ちます。

後半は、お待ちかねのラヴェル。第1楽章:アレグロ・モデラート。おおー!ラヴェルだ!の始まりです。少し速めのテンポで、透明感のある近代の響き。ハイドン等とは異なり、1st-Vnだけが突出していては実現できない響きのバランスです。第2楽章:指示は Assez vif.(十分活発に) Tres rythme(リズムをはっきりと) というような意味でしょうか。ピツィカートで始まるリズミカルな音楽です。気づいてしまいました! 弱音器を付けたり外したりして、音色の変化を生み出しているのですね! おしゃれだなあ、ラヴェル! 第3楽章:Tres lent(とてもゆっくりと)。Vla から Vc へ。あるいは再び弱音器を付けて 1st-Vn へ。いくら録音でなじんでいるとはいえ、目の前で弱音器の有無がわかる音色の変化が、楽しい! そうか、言葉は悪いですが、鼻詰まりのようなくすんだ音というのか、こういう音色の変化は弱音器の効果だったのか! 第4楽章:Vif et agite(いきいきと、そして激しく)。ヘンな言い方ですが、実にクールにエネルギッシュな(^o^)かっこいい音楽です。加えて、何を今さらの「発見」に喜び、勝手に「弱音器無双」という副題をつけたラヴェルの弦楽四重奏曲を堪能しました! これは実演でないとわかりませんね〜。ほんとに来てよかった〜。

アンコールは、ブルックナー?の弦楽四重奏曲第3楽章? へ〜、ブルックナーが弦楽四重奏曲なんて書いているんだ、という程度の認識の素人音楽愛好家には、ブルックナーといえばイメージするのは堂々たるシンフォニー。実に「らしくない」渋い優しい音楽でした(^o^)/ 

当日は、ときどき当ブログにコメントをいただく某さんが関西から来県されており、合間に少しだけお話する機会を得ました。今回、奥様を一人置き去りにしての来県のため、きっと家で「角を研いで」待っていることだろうとのこと。むむ、それなら我が家も事情は同じです(^o^;)、と妙なところで共感してしまいました(^o^)/
まあ、パチンコやギャンブルに夢中になったり、妙な女性のいる店でアルコールに耽溺するわけでもないので、できますれば音楽の道楽は大目に見ていただきたいものと願いながら、「こんど親しみやすい曲目のときに、一緒に行こうよ」と誘ってみましょう(^o^)/



次回は、4月14日(土) 18:45〜、メンデルスゾーンの4番と武満徹の「ランドスケープI〜弦楽四重奏のための」、ハイドンのヘ短調Op.20-5、という予定とのことです。チケットはすでに入手済み。

(*1):山形弦楽四重奏団第23回定期演奏会を聴く〜「電網郊外散歩道」2007年4月



本日は、朝から寺の行事のため外出、午後は来客がありずっと応対、ようやく夜に記事をまとめました。多少ハメを外した文章になっているのは、少しアルコールが残っているせいかもしれません(^o^)/

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山形弦楽四重奏団第65回定期演奏会でハイドン、ベートーヴェン、ヒンデミットを聴く(2)

2017年10月24日 20時53分21秒 | -室内楽
山形弦楽四重奏団第65回定期演奏会の後半は、ヒンデミットのクラリネット五重奏曲です。
楽器配置は、向かって左から1st-Vn(中島光之)、2nd-Vn(今井東子)、Vla(倉田譲)、Vc(茂木明人)、Cl(川上一道)ですが、川上さんは楽器を2本持って登場です。
変ロ調・変ホ調 Op.30という、何というのでしょう、複調とでもいうのでしょうか、前衛的な響きはこのゆえか。
第1楽章:Sehr lebhaft(非常に元気良く)。不協和な始まりですが、弦が騒がしくうごめく中でも、クラリネットの音は不思議に不協和とは感じません。第2楽章:Ruhig(静かに)。Vcの長めのソロに他の弦が加わっていき、不安げな音の展開の中で低音のClが加わり、高音の音色を対比しながら弦と重なっていきます。1st-Vnと2nd-Vnの音色が美しいです。第3楽章:Schneller Laendler(より早いレントラー?)。全5楽章が急緩急緩急という構成になっていますが、真ん中の急にあたる部分のようです。第4楽章:Ariozo, Sehr ruhig.(アリオーゾ、非常に静かに)。2nd-VnとVlaとVcのpizz.の中で、弱音器をつけた1st-Vnが奇怪な音で旋律を。そこに汽笛のようなClの音が高まり、鎮まります。第5楽章:Sehr lebhaft wie im ersten Satz.第1楽章の逆進行だそうです。

演奏後、再び「ブラーヴォ!」の声がかかりました。聴衆の皆さんの大きな拍手に応える山Qの皆さんも川上さんも、やり切ったような表情に見えます。
そしてアンコールは、チャイコフスキー作曲、武満徹編曲の「秋の歌」。こちらはぐっとロマンティックに、でもごく弱い(小さな)音もしっかりと出ているクラリネットに驚き感嘆しながら、静かに充実した音楽を楽しみました。今回も、良い演奏会でした。



いや〜、しかし演奏を終えてもヒンデミットは不思議な緊張感に満ちた音楽です。初めて聴いただけで、強烈な印象を受けましたが、一度聴いたくらいではとても把握できない音楽でもあるようです。実演を聴いたからこそ、もう一度聴いてみたい! 昔ならば、必死でCDを探すところですが、今はネットですぐに探すことができます。いい時代と言ってよいのか……、素人音楽愛好家としては、すごい時代となったと言うべきでしょうか。

HINDEMITH, Clarinet Quintet, Op.30

演奏は、Dmitry Rasul-Kareyev (clarinet), Sergey Ostrovsky (violin), Yumi Kubo (violin), Tsubasa Sakaguchi (alto), Stephan Rieckhoff (cello).

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山形弦楽四重奏団第65回定期演奏会でハイドン、ベートーヴェン、ヒンデミットを聴く(1)

2017年10月23日 18時10分53秒 | -室内楽
前線をともなって大型の台風21号が近づき、すでにかなりの量の雨降りとなっていた日曜日、衆議院議員選挙の投票を済ませて山形市の文翔館に出かけました。大雨にもかかわらずかなりの人数が集まっており、なんだか女子高生らしい制服姿の人たちも混じっています。高校のオーケストラ部か、それともクラリネットの川上一道さんのファンの吹奏楽部員でしょうか、こういう室内楽演奏会に若い人たちの姿が見られるのは、たいへん嬉しく心強く思います。



山形大学の学生(Vn:松井陽菜代)とOG(Vla:三浦奈々)の2人によるデュオで、J.S.バッハの「ヴァイオリンとヴィオラのためのインヴェンション?」から四曲を演奏したプレコンサートも、進歩を感じます。

今回のプレトークはチェロの茂木明人さんで、開演前にヒンデミットについて補足説明をしてくれました。実はヒンデミット自身が演奏者としてかなりの腕前で、自作の第2番の弦楽四重奏曲を初演するために、アマール=ヒンデミット弦楽四重奏団を結成して演奏活動もしていたとのことです。今回のクラリネット五重奏曲は、1923年に作曲されていますので、文翔館議場ホールが建てられた頃とほぼ同時代だそうです。大正時代の雰囲気は、実はかなりモダンだったのかもしれません。

さて、今回のプログラムは、

  1. ハイドン:弦楽四重奏曲 ハ長調 Op.64-1
  2. ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第4番 ハ短調 Op.18-4
  3. ヒンデミット:クラリネット五重奏曲 Cl:川上一道

というものです。例によって、ステージ上は向かって左から、1st-Vn:中島光之さん、2nd-Vn:今井東子さん、Vla:倉田譲さん、Vc:茂木明人さん、という楽器配置です。

最初の曲目、ハイドンの弦楽四重奏曲 ハ長調 Op.64-1 は、いろいろと専門的・技術的な工夫はあるのでしょうが、大雑把に言って、明るくバランスの良い音楽と聴きました。第1楽章:アレグロ・モデラート。第2楽章:メヌエット、アレグレット・マ・ノン・トロッポ~トリオ。第3楽章:アレグレット・スケルツァンド。第4楽章:フィナーレ、プレスト。けっこう長くハイドンのカルテットを聴いていますので、ごく自然に、空気のように(^o^)楽しみました。



続いてベートーヴェンの弦楽四重奏曲第4番、ハ短調のOp.18-4 です。若いベートーヴェンが心血を注いだ6曲からなる曲集で、他の5曲は長調なのに、この曲だけが短調でかかれています。第1楽章:アレグロ・マ・ノン・タント。Wikipediaの解説にはピアノソナタ第8番「悲愴」を連想させるとありますが、そう言われればそんな気もします。第2楽章:アンダンテ・スケルツォーソ・クワジ・アレグレット。オペラで言えばレシタティーフの場面みたいなものでしょうか。第3楽章:メヌエット、アレグロ~トリオ。トリオ部で、始まりの部分を再現するところの曲想の転換が見事です。第4楽章:アレグレット~プレスティッシモ。1st-Vnの嘆きや焦りを受け止める2nd-Vnの主題が、いいなあ。Vc~Vla~2nd-Vn~1st-Vnへと受け渡されるところも、勢いがあって、とてもおもしろい。内的な充実が次第に速度を増して行き、フィナーレに。いいなあ! ブラーヴォ!が出ました。同感です。

ここで、15分の休憩となります。(明日へ続きます。)

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タネーエフ「弦楽四重奏曲第7番」を聴く

2017年10月09日 06時04分17秒 | -室内楽
通勤時に音楽を流すやり方で、未知の作曲家や作品になじむことがよくあります。現在の通勤の音楽は、以前、某書店のワゴンセールで入手したナクソスのCDの中から、タネーエフの弦楽四重奏曲全集第3集(8.573010)で、カルペ・ディエム(Carpe Diem)弦楽四重奏団による第7番と第5番の2曲を収録したものです。とりわけ第7番、変ホ長調を繰り返し聴いております。

作曲者のセルゲイ・タネーエフは、1856年生まれで1915年に没しています。例によってWikipediaで調べて見ると、5歳でピアノを習い始め9歳でモスクワに移住、モスクワ音楽院でピアノをニコライ・ルビンシュテインに、作曲をチャイコフスキーに学んだそうな。1875年に金メダルを得て卒業、ピアニスト、作曲家として活躍したそうで、アウアーと組んで演奏旅行を行ったほか、対位法の理論家として知られ、チャイコフスキーは「消防署のとなりのバッハ」と呼んでいたそうな。1875年11月にはチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番のモスクワ初演や第2番の世界初演のピアノ独奏を受け持ったというのですから、師匠の信頼もあったのでしょう。1878年からモスクワ音楽院の和声等の教授、1881年にはニコライ・ルビンシュテインの後任としてピアノ科教授、1885年からは4年間院長をつとめたとのことで、弟子としてスクリャービン、ラフマニノフ、グラズノフ、プロコフィエフ、メトネルなどの名前が挙げられています。錚々たる顔ぶれです。

この第7番の弦楽四重奏曲は、作曲者が1880年に作った曲とのことですので、24歳ころの作品ということになります。自分としては作品番号を付けるほどの完成度とは考えなかったのでしょうか、作品番号なしの曲をまとめて第7番から第9番に位置づけられているそうで、若い時代の作品としては第7番という番号が付けられているのは、そういう事情のようです。

第1楽章:アレグロ。どことなく田舎風の優しく柔らかな響きで始まり、13分ほどかかる音楽ですが、実際は四声のカノンを含む技巧的な面も持っている音楽で、同じ調のベートーヴェンの第12番の弦楽四重奏曲を思い起こさせると添付の英文のリーフレットでは指摘されています。
第2楽章:美しいアダージョ・カンタービレです。四つの楽器がそれぞれ表現力豊かに旋律を奏し、情感豊かな音の世界を作り出します。
第3楽章:スケルツォ。全体の中でいちばん短い曲です。物憂げなゆっくりとした始まりですが、やがて満たされない情熱とリズミカルなものと優しい穏やかな曲想が対話するように何度か繰り返した後、終わりには穏やかなものに変わっていきます。
第4楽章:フィナーレ、アレグロ・モルト。添付リーフレットの解説によれば、第1楽章と同様に対位法の技巧を凝らした音楽だとのことですが、素人音楽愛好家には技術的なことはわかりませんで、活発な良いフィナーレだなあと感じます。何度も繰り返して聴いて、聴き馴染んだ状態で接するときには、屹立する個性とか時代を画する独自性などという面は薄いのかもしれないけれど、なかなか良い曲ではないかと感じます。

参考までに、演奏データは次のとおり。
■Carpe Diem String Quartet,(NAXOS, 2010)
I~12'56" II=9'56" III=5'16" IV=9'56" total=38'04"

セルゲイ・タネーエフ、今まで接点がなく過ごしてきた作曲家でしたが、弦楽四重奏曲や同五重奏曲、ピアノ四重奏曲など、興味深い室内楽作品もまだまだあるようです。楽しみが増えたような気がします。

YouTube では、第7番の適当なものが見つからず、参考までに第1番の弦楽四重奏曲を見つけました。
Taneyev-String Quartet nº1 in B flat minor, op.4-Taneyev Quartet


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ブラームス「ピアノ三重奏曲第1番」を聴く

2017年09月06日 06時03分32秒 | -室内楽
最近の通勤の音楽は、スーク・トリオによるブラームスのピアノ三重奏曲集を聴いております。2枚組のCD(DENON:COCO-70798-9)の中で、今回はとくに第1番が心に残りました。

添付のリーフレットの解説(大木正興さん)によれば、この曲の初稿は1854年に完成したのだそうで、このときブラームスはまだ20歳、シューマンが「新音楽時報」に「新しい道」として紹介した頃です。その後、クララ・シューマンのもとで非公開初演され、楽譜が出版され、ニューヨークで公開初演されるといった時期に、シューマンの病状が進み、ライン川に投身自殺未遂を起こした後にデュッセルドルフの精神病院に入院してしまいます。このあと数年間は、ヨアヒムとともにシューマン家を支える献身の時期となり、さらに長い時間が流れます。1890年、ブラームス57歳の年に、彼はこの曲を大幅に改訂・改作します。豊富な楽想を整理して古典的様式美へと転換するものでした。スケルツォ以外は大きな変更を受け、同年、改作初演されます。

第1楽章:アレグロ・コン・ブリオ
第2楽章:スケルツォ、アレグロ・モルト
第3楽章:アダージョ
第4楽章:アレグロ

ふーむ。60歳も近くなって、20歳ころの作品を目にしたら、自分でも恥ずかしくなる気持ちはよくわかります。実にまったく、穴があったら入りたいほどでしょう。当時のはやりの衣装はすっかり野暮ったくなり、付け焼き刃は剥がれ落ちます。しかし、にもかかわらず、根本のところであまり変わっていないところもあったりします。おそらく自分自身の核となる部分に近いからなのでしょう。ブラームスの場合は、第2楽章:スケルツォの部分あたりがこれに相当したのかな、と思います。たぶん、ブラームスの青春の刻印。

円熟した面も、若さへの憧憬も、どちらも感じられる音楽。じっくりと聴き、繰り返し聴くほどに、味わいがあります。晩夏の、強さを失いつつある陽光の中に涼しさを感じる車中で、あるいは週末の夜の室内で、耳を澄ませるのに絶好の音楽と感じます。

1976年9月7日〜11日、プラハのルドルフィヌム(芸術家の家)で収録されたアナログ録音で、スプラフォン原盤。偶然にも、40年ほど前の今頃に、この録音が行われていたのですね。この当時、私は何をしていたのだろう? たしか、父に胃がんが見つかり、就職希望に転換して、まだ面接を受けられる企業を必死に探していた頃ではなかろうか。思わず遠い目になってしまいます。

参考までに、演奏時間を記します。
■スーク・トリオ
I=13'20" II=6'05" III=8'15" IV=6'40" total=30'20"

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アンコールで聴いた武満徹編「枯葉」を探して

2017年07月17日 09時19分15秒 | -室内楽
世間は三連休ですが、当方はスケジュールいっぱいで、とても三連休どころではありません。土曜日は勤務後に老母退院と演奏会、日曜日は早朝から草刈りをしてご近所の親族の一周忌、午後は少し休めましたが、月曜の今日は、朝の涼しいうちにと思って桃の防除作業を簡単に済ませ、初めての休日らしい休日となりました。

そういえば、先日の山形弦楽四重奏団の第64回定期のアンコールで聴いたジョゼフ・コスマのシャンソンで、武満徹編曲による「枯葉」は良かったなあ。YouTube あたりで出ていないのだろうか?と思って探してみたら、ありました。

Ebene Quartet - Autumn Leaves 枯葉


うーむ、これは朝の雰囲気ではないけれど、まあいいでしょう。思い出した時にぱっと聴けるように、これも備忘メモの一つです(^o^)/

ついでに、他の「枯葉」演奏も探してみました。まずはギター・ソロで。

Autumn Leaves - Yenne Lee plays 2004 Pepe Romero Jr.


もう一つ、チック・コリアとボビー・マクファーリンの即興による掛け合いが楽しい。

Chick Corea acoustic band & Bobby McFerrin "Autumn Leaves"


ほんとに、休日を実感しますです(^o^)/

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山形弦楽四重奏団第64回定期演奏会でシューベルト、ハイドン、メンデルスゾーンを聴く

2017年07月16日 21時22分04秒 | -室内楽
蒸し暑い夏の土曜日は、出勤して仕事をこなした後で、老母が退院して自宅で一服しているのを確認し、とんぼ返りして夕方からは文翔館議場ホールに出かけ、山形弦楽四重奏団の第64回定期演奏会を聴きました。

プレコンサートは、山形大学の2年生、松井陽菜代(Vn)、平山燎(Vla)の二人によるハイドンの「ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第3番」でした。出演する若い学生さんも、卒業などで少しずつ交代しているようですが、演奏のほうは着実に進歩しているようで、こういう定期的な演奏機会があるのは良いことなのかもしれません。

開演前のプレコンサートトークは、1st-Vnの中島光之さん。相変わらず流暢かつ明快な解説です。古典派とロマン派について軽く触れた後で、本日の曲目を紹介します。

  1. シューベルト 弦楽四重奏曲第5番変ロ長調D.68
  2. ハイドン 弦楽四重奏曲ヘ長調Op.77-2
  3. メンデルスゾーン 弦楽四重奏曲第5番変ホ長調Op.44-3

シューベルト家の合奏でヴァイオリンを二人の兄、チェロを父、ヴィオラをシューベルトが担当し、10代のシューベルトが作曲した曲を演奏していたのだそうな。ハイドンは功成り名遂げた後の作品で、音楽を分かち合う喜び、幸福感が感じられるとのこと。メンデルスゾーンも、29歳、指揮するライプツィヒのオーケストラも立派なもので、充実の時期です。そうか、今回のテーマは「音楽を共有する喜び」でしょうか。

1曲め:シューベルト「弦楽四重奏曲第5番変ロ長調D.68」。第1楽章:アレグロ・マエストーゾ、第2楽章:アレグロ、という二楽章の曲です。16歳のシューベルトが家族のために作った曲だそうですが、けっこう力の入った音楽です。

第2曲め:ハイドンの「弦楽四重奏曲ヘ長調Op.77-2」、「雲が行くまで待とう」という別名のある曲だそうですが、良い曲だ〜! 第1楽章:アレグロ・モデラート、第2楽章:メヌエット、プレスト、第3楽章:アンダンテ、第4楽章:フィナーレ、ヴィヴァーチェ・アッサイ。たしかに、演奏の喜びを感じます。



15分の休憩の後は、メンデルスゾーンの「弦楽四重奏曲第5番変ホ長調Op.44-3」。第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ。手持ちのCDで通勤の音楽として聴いていたときは、なんだかくぐもった響きの地味な曲だな〜と思っていたのでしたが、実際に演奏を聴いてみたら全然ちがいました。第2楽章:はやいスケルツォ、ピツィカートで終わります。第3楽章:アダージョ・ノン・トロッポ。優しい緩徐楽章には、憂愁の表情も加わります。第4楽章:モルト・アレグロ・コン・フォーコ。思わず身を乗り出して聴いてしまうような音楽、演奏でした。

聴衆の拍手に応えて、アンコールはシャンソンの名曲を武満徹の編曲で、と紹介されました。何の曲だろうと興味津々で聴いてみたら、途中から「枯葉」のメロディが出てきて、ああ、なるほど〜。現代の響きを含みながらも濃厚なロマンティシズムをたたえた名編曲、演奏でした。忙しい一日のおわりに、退院したばかりの老母を置いて一人だけ出てきたのでしたが、無理に出向いた価値のある演奏会でした。

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メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲の作曲順序は

2017年07月12日 06時02分44秒 | -室内楽
メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲は、すでに第1番、第2番、第3番の3曲を実演で聴いております。「夏はメンデルスゾーン」という例にもれず、この週末の7月15日には、山形弦楽四重奏団の定期演奏会で第5番を聴く予定。当日は仕事で出勤予定となっていますが、演奏会には充分に間に合う見通しで、今から楽しみです。

ところで、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲の作曲順序はどうなっているのか? ここでも、番号と作曲順には食い違いがあるのだろうか?



メロス弦楽四重奏団による3枚組み全集CD(G:UCCG-4333/5)に添付のリーフレットによれば、次のようになるのだそうです。

======================================
曲名と作品番号等    作曲年代 作曲者年齢
======================================
弦楽四重奏曲変ホ長調   1823年  14歳
同第2番イ短調 Op.13    1827年  18歳
同第1番変ホ長調Op.12   1829年  20歳
同第4番ホ短調Op.44-2   1837年  28歳
同第5番変ホ長調Op.44-3  1838年  29歳
同第3番ニ長調Op.44-1   1838年  29歳
同第6番ヘ短調Op.80    1847年  38歳
弦楽四重奏のための4つの小品Op.81  不詳
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たしかに、Wikipedia の作品一覧でも同様の記述があり、おそらくはほぼ確定した年代なのでしょう。今回、定期演奏会で取り上げられる第5番は、3曲セットになる作品44のうちの真ん中の曲です。キャッチーな要素は薄いけれど、繰り返し聴いているうちにじわりと親しみが感じられるようになる、どちらかというと思索的な面の強い作品みたいです。

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ボッケリーニ「ギター五重奏曲第7番G.451」を聴く

2017年07月04日 06時03分32秒 | -室内楽
クラシック・ギターと弦楽四重奏では、撥弦楽器と擦弦楽器のせいか、音量にだいぶ差があります。ともすると、音の小さなギターが隠れてしまい、うっかりすると弦楽四重奏曲と間違えるほどです。とくに、通勤の音楽として選んだ時など、ロードノイズの中で聞いている時にはその傾向が強く感じられます。今回、選んだCD(NAXOS:8.550731)に収録されたボッケリーニ作の三曲の中では、第7番ホ短調、G.451というギター五重奏曲が、比較的はじめからギターの出番をちゃんと作ってくれているようで、繊細なギターの音色を楽しむことができます。

もちろん、ギター・ソロのCDを選べば、クラシック・ギターの音色は楽しめるわけですが、ギターと弦楽四重奏という組み合わせも、室内楽としてなかなか興味深いものがあります。本当は、「ボッケリーニのメヌエット」を含む「弦楽五重奏曲 ホ長調、G.275」を取り上げるつもりでいたのでしたが、何度も繰り返し聴いているうちに、抑制気味のカルテットとギターとのバランスの良さなどから、ギター五重奏曲第7番のほうを取り上げてみようと考えました。

第1楽章:アレグロ・モデラート。
第2楽章:アダージョ。
第3楽章:メヌエット。
第4楽章:アレグレット。

ちょいと感傷的なところもある、優しくチャーミングな曲、演奏です。

演奏はゾルターン・トコシュ(guit.)、ダニュビウス・カルテットで、1992年の8月17日〜21日に、ハンガリーのブダペストにあるユニタリアン教会で収録されたデジタル録音です。
参考までに、演奏データを示します。
■トコシュ(guit.),ダニュビウス・カルテット盤
I=7'48" II=3'09" III=4'08" IV=5'28" total=20'33"

YouTube にも、この曲がありました。権利処理が怪しいCDのものは避けて、たぶん学生さんが自分たちで撮影したものであろう、映像付きのものから、第1楽章。カメラワークは、まあご愛嬌でしょう(^o^;)>poripori
Boccherini Quintet No. 7 in E minor - I - Allegro Moderato (G.451)

次は第2楽章です。
Boccherini Quintet No. 7 in E minor - II - Adagio (G.451)

こんな感じで、第3楽章も第4楽章もアップされています。ちょいとたどたどしい感じもありますが、私には馴染みの薄いギターとカルテットの関係なども、映像のおかげでわりにわかりやすいです。

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ヤンネ舘野リサイタルでドビュッシー他のフランス音楽等を聴く

2017年05月08日 06時00分09秒 | -室内楽
朝、早起きしてサクランボの満開10日後の防除作業に従事、ゆっくり休憩して、午後からは山形市の文翔館議場ホールに出かけました。今回はヤンネ舘野ヴァイオリン・リサイタルで、山響のヤンネ舘野さん(Vn)と白田佳子さん(Pf)の二人によるフランス音楽を中心としたプログラムです。曲目は、

  1. ドビュッシー 美しい夕暮れ
  2. 同 ゴリウォーグのケークウォーク
  3. 同 ヴァイオリン・ソナタ ト短調
  4. ラヴェル ツィガーヌ
        ~休憩~
  5. W.A.モーツァルト ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 K.302
  6. セヴラク ロマンティックなワルツ
  7. ショーソン 詩曲

案の定、駐車場はすでに満車で、今回は時間も迫っており、あきらめて別の所に駐車しました。



ほどなくして開演、ドビュッシー「美しい夕暮れ」、「ゴリウォーグのケークウォーク」です。はじめのうちは少し不安定なところもありましたが、じきに本来の調子に戻り、「ヴァイオリン・ソナタ」では美しい音楽を、ラヴェルの「ツィガーヌ」では激しい情熱的な音楽を堪能しました。



休憩後は、ピアノの白田さんの出番を意識した構成でしょうか。パリつながりで選ばれたモーツァルトのヴァイオリン・ソナタは、どちらかといえばピアノが主役で、ヴァイオリンがそっと脇役を演じる場面が多いようです。次のセヴラクの「ロマンティックなワルツ」は白田さんの独奏で、とても素敵な音楽を聴きました。
プログラム最後のショーソン「詩曲」は、ロシアの作家ツルゲーネフの小説をもとに作曲されたのだそうです。ヤンネさん、男女の三角関係を描いた原作の解説を白田さんに振り、白田さんが簡潔に説明してくれました。なるほど! そういうお話だったのか! 音楽のほうは、オーケストラで聴くのとはまた違い、曲の構造というか音楽の姿がよくわかり、しかも作品と演奏者の情熱を伝えるものでした。

満席の聴衆から大きな拍手と、かわいらしい男の子から花束を受け取り、アンコールです。

  • ドビュッシー 月の光
  • ブラームス、ヨアヒム編 ハンガリー舞曲第5番
  • カザルス 鳥の歌
  • フォーレ Mai

ブラームスは、ちょうどこの日、5月7日が誕生日だったそうです。ハンガリー舞曲が、もとはいわゆるジプシーの音楽に由来することを感じさせる、情熱的な演奏でした。今回も、良い演奏会でした。

帰り際に、関西から遠征の某さんにお会いして、少し立ち話をしました。当ブログがきっかけで山形ファンになっていただいたとのこと、まことにうれしい限りです。良い一日でした。

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山形弦楽四重奏団第63回定期演奏会でハイドン、黛、ブラームスを聴く

2017年04月24日 20時29分09秒 | -室内楽
実に良い天気で、雲一つない日曜の夕方、山形市の文翔館議場ホールにて、山形弦楽四重奏団の第63回定期演奏会を聴きました。プログラムは、

  1. ハイドン 弦楽四重奏曲ト長調Op.64-4
  2. 黛敏郎 弦楽四重奏のためのプレリュード
  3. ブラームス 弦楽四重奏曲第1番ハ短調Op.51-1

というものです。

第1曲:ハイドンのOp.64-4は、私的にはよ~くおなじみの曲です。快活な音楽・演奏に、なぜか単身赴任・夜間勤務の頃を懐かしく思い出します。山形Qにはこの曲が合っているのではないかと思えるほど、最近のハイドン演奏の中で、すごく良かったと感じました。

第2曲:黛敏郎の弦楽四重奏のためのプレリュード。互いの間隔をぐっと広げて、ステージ台をいっぱいに使っての演奏となりました。ああ、雅楽の音だ。笙だったりひちりきだったり、あるいは鼓だったり、四人の持つ弦楽器から多彩な響きが生み出されます。鋭い緊張感があるけれど、響きは幽玄の世界です。客席から、「ブラーヴォ!」の声がかかりました。



ここで、15分の休憩です。なんと、時々コメントをいただいていた某さんにお会いしてしまいました! わざわざ関西から来県とのこと、ありがたいことです。山形Qになりかわり、お礼を申し上げます(^o^)/ メガネをかけて細身で長身で、黒い服を着たら「ひょっこりひょうたん島」のダンディさんみたいでした(^o^)/

第3曲:ブラームスの第1番。Op.51-1という作品番号にふさわしい、隙のない緊密な音楽です。ハ短調らしく、劇的な要素もあります。一方で、例えばロマンツェは、ドヴォルザークなどのロマンツェとはだいぶ違う、ブラームスらしい瞑想的なというか、含羞の音楽です。地味だけれど、目のつんだ上質な生地を連想します。終曲のアレグロは、陰影に富む悲劇性を持つ音楽となっています。

アンコールは、ハイドンの「ひばり」から第1楽章を。やっぱりハイドンはいいなあ。この開放感は、格別です。

土曜・日曜とも晴天に恵まれ、果樹園の草刈り作業と開花前の防除作業に従事した疲れもあって、帰宅後はバタンキューの状態でした。

次回の定期は、7月15日(土)、18:45~と決まったようです。曲目は、メンデルスゾーンの第5番とハイドンのOp.77-2、それにシューベルトの、やはり第5番。今から楽しみです(^o^)/

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「イギリスのヴィオラ作品集」を聴く

2017年02月21日 06時00分59秒 | -室内楽
ここしばらく、通勤の音楽で聴いていたのは、過日ワゴンセールで入手(*1)したばかりのナクソスのCDから、「イギリスのヴィオラ作品集」でした。英国音楽については、これまであまり聴いてこなかったのに加えて、地味なヴィオラ作品集というのですから、これはもう、いたってレアな音盤と言えるかも。収録された作曲家と作品は、次のとおり。

  1. ブリス ヴィオラ・ソナタ (1933)
  2. ディーリアス ヴァイオリン・ソナタ第3番 (1930)、ヴィオラ編曲:Tertis (1932)
  3. ブリッジ ヴィオラとピアノのための小品集
      エニコ・マジャール(Vla)、今井正(Pf)
      NAXOS 8.572407

Wikipedia によれば、アーサー・ブリス(1891-1975)は、王立音楽大学で学び、第一次世界大戦に従軍後に復員して作曲活動に入った作曲家だそうで、ストラヴィンスキーやドビュッシーの影響を受けつつ、エルガーとも親交を結び、その影響も受けているのだそうです。
二人目のディーリアスについては、これまでロ長調のヴァイオリン・ソナタ同第1番など、ヴァイオリン・ソナタを何曲か記事にしており、この三人の中では最も親しみがある作曲家です。しかも、ヴァイオリン・ソナタ第3番をヴィオラに編曲したものだそうで、「どーりで聴いたことがあると思った!」 第3番のソナタは、不思議な雰囲気を持った佳曲で、ヴィオラの音色にもよく合うようです。
三人目のブリッジは、ヤンネ舘野さんのヴァイオリン・リサイタルや、プレシャス・カルテットの演奏会などで、「メロディ」や「ロンドンブリッジ・エアー」などを聴いていますが、たぶんCDは初めてだろうと思います。チャーミングな小品集です。

当方にとっては、ヴァイオリン・ソナタ集で聴いたことがあるディーリアスの印象がどうしても強くなってしまいますが、イギリス音楽のヴィオラ作品集という企画はなかなか楽しめるものでした。

(*1):某日、音楽CDのワゴンセールに遭遇~「電網郊外散歩道」2017年2月

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山形弦楽四重奏団第62回定期演奏会でハイドン、バルトーク、ドヴォルザークを聴く

2017年02月01日 19時05分49秒 | -室内楽
厳冬期の山形市ですが、珍しく大雪には見舞われず、演奏会にはありがたい天候となった月末31日(火)、文翔館議場ホールで、山形弦楽四重奏団の第62回定期演奏会を聴きました。余裕を持って会場に入り、プレコンサートを聴きます。今回は、珍しく山形大学の地域教育文化学部でヴィオラを専攻している二人の学生さんによるヴィオラ二重奏でした。演奏会のパンフレットにスタッフとして名前が記載されてもいる三浦奈々さんは現在四年生だそうで、卒業を前にして記念の意味とこれまでの協力に対する慰労も兼ねているのでしょうか。もう一人、平山燎さんは一年生だそうです。曲目は聞き漏らしてしまいましたが、フランスの作曲家でD.F.ナントカさんの「ヴィオラ二重奏曲」とのことです。プロの演奏家と比べてしまうと、音程やらいろいろと不満も出てきますが、でもけっこう頑張っていました。とくに、後半は落ち着いて伸びやかに演奏できていたと思います。平山さん、一年生なのに音色がきれいです。高校時代にも部活動などで演奏していたのかな、と思いました。

いつものように、ステージ左から1st-Vn(中島光之さん)、2nd-Vn(今井東子さん)、Vla(倉田譲さん)、Vc(茂木明人さん)です。そして本日の曲目は、

  1. ハイドン 弦楽四重奏曲ヘ短調Op.55-2「剃刀」
  2. バルトーク 弦楽四重奏曲第3番Sz95
  3. ドヴォルザーク 弦楽四重奏曲第12番ヘ長調Op.86「アメリカ」

というものです。

ハイドンは、1st-Vnが伸びやかに歌い、メンバーがそれに合わせる形の、いつもの明るくウィットに富む長調の曲想ではなくて、短調で少し異色の曲調です。ハイドンの実験的な作品? もしかしたらこの曲は、演奏者の楽しみのための曲、という面もあるのかもしれないと思います。

次のバルトーク。演奏前の四人のメンバーに、なんとなく緊張感が感じられます。Vcから静かに始まりますが、次第に活力とヴァイタリティを増して、濃密な音楽に変わっていきます。CDではわからないこととして、2nd-Vnが刻むリズムの上に乗って進行する面があるのだ、と初めて気づきました。Vcの音が良いなあ。ほんとに良い生の音楽体験でした。

休憩後は、ドヴォルザークの「アメリカ」です。出だしのところで、Vlaの旋律を奏する倉田さんが、なんだかとても嬉しそうで楽しそうだと思ったら、メンバーがみなさん真剣でかつ楽しそうな表情です。この曲、私も大好きな音楽ですが、多くの演奏家に愛される→しばしば演奏される→聴衆に親しまれる→後世に残る、ということなのでしょう。名曲の由来とはこういうところか! と思わず納得してしまいました(^o^)/

アンコールは、ドヴォルザーク「糸杉」より。静かなしっとりした雰囲気の音楽で、弦楽四重奏の響きを堪能しました。

公私ともに超多忙な中での演奏会参加とそのレポートとなりました。次回の第63回定期演奏会は、4月23日(日)、18時30分より、ハイドンのOp.64-4、黛敏郎「弦楽四重奏のためのプレリュード」、ブラームス「弦楽四重奏曲第1番ハ短調Op.51-1」だそうです。今からしっかり予定を調整しておかなければなりません(^o^)/

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