評価 (4点/5点満点)
「老いを受け入れ、できることを大事にする」
幸せな晩年と不満足な晩年の境目は、この考え方にあるというのが本書で言いたいことです。
いくら長生きになっても「健康寿命」が延びなければ、介護されたり、ベッドで過ごしたりする時間が長くなります。その期間が現在、男性が9年、女性が12年となっています。
80代は70代とは違い、今は元気でも、この先どうなるかはわからない。
そこで提案されているのが「80歳を過ぎたら我慢をしない」という生き方です。
85歳を過ぎた方のご遺体を解剖すると、ほとんどの人の体にガンが見つかりますが、年を取るとガンの進行は遅くなるため、放っておいても大丈夫なケースは意外と多くあるとのこと。
好きなものを食べたり飲んだりして、ストレスが少ないほうが健康には良いと言います。
80歳の壁を超え、あと20年、新たに挑戦する日々を楽しむ。
老親を持つ40・50・60代の人も含め、幅広い世代に読まれているように思います。
【my pick-up】
◎子どもにはお金を残さない。お金があるなら使ってしまう
もしもあなたが残せるほどのお金を持っているのなら、思い出にお金を使う、あるいは自分の幸せのためにお金を使うのがよいと思います。子どもに残してもろくなことはありません。自分で稼いだお金、配偶者と貯めたお金なのですから、当人が使うのは当たり前です。
◎残っている残存機能を使わないと、またたく間に衰えてしまうところが幸齢者の怖いところ
82~83歳で急激に衰える人が目立ちますが、その人たちは大概、80歳になったのを機に、いろいろなことをやめてしまう人です。病気やケガなど、やむを得ぬ理由でやめてしまう人もいますが、なんとなく家に引きこもっているうちに動けなくなってしまう人も結構多いのです。
◎眠れなかったら寝なくていい
眠るために薬なんて飲む必要はありません。体を横たえていたら、本人は寝ていないと思っても入眠しているものです。夜眠れないのなら、昼寝をすればいいわけです。就寝や起床時間に縛られず、疲れたら眠る、眠くなったら眠るというスタイルが幸齢者には合っています。