評価 (3点/5点満点)
日本の喪服は、江戸時代までは黒ではなく白だった。
手入れのしやすさや、欧米諸国の影響もあり、戦後は急速に黒い喪服が広まっていく。
誰もが信じていた「喪服は黒」という常識でさえ、歴史を調べてみると、そうとは限らない。
常識は、すべて疑うくらいでちょうどいい。
たとえば、白から黒にして大ヒットしたものに綿棒がある。
黒いトイレットペーパーも通販で売っている。ホテルのような高級感がある場所のトイレだと、壁も黒やこげ茶で、かつダウンライトで暗めにしているため、黒いトイレットペーパーが似合い、高級感が出る。
(序章より)
とにかく1つの正解を出すだけなら「情報処理力」を高めればいい。しかし、今のような成熟社会でビジネスの問題を解いていくには、課題設定も含めて「情報編集力」が大事です。
この本ではそんな情報編集力を発揮して変革を起こした実際のケースがいくつか登場します。
イノベーションを組織で起こす場合でも、私は、あくまで個人の行動が鍵になると考えている。個人がどう考えるか、その思考法が大事なのだ。
「コロナのせいでダメなんだ」という思考法を全従業員が取るなら、会社も組織もそのようになるだろう。
革命はいつも、たった一人から始まる。これが基本だ。
だから、破壊的に現状を打破して、突破していく個人を育てなければならない。
(P.39より)
本書では、目の前の「当たり前」を疑い、常識や前例をそのまま採用する「コトなかれ主義」を排し、「コトあれ主義」で「ちょっとした狂気」を発揮して、どんな振る舞いをし続けたかを、著者の体験を中心に話しています。
たいがいの「当たり前」への疑問は、話してみると同じ疑問を持つ仲間を引き寄せることになります。
また、「情報編集力」を鍛えると、「頭の中で複眼思考しながら問いを立てる力=旗を立てる力」は増しますが、いったん実行に移したら、それを無限に修正する行動力も必要となります。
本書を読むと、仕事をする人生を歩むビジネスパーソンにとって、人生の後半戦にも通用する「幸福」のタネはなんだろう?と考えさせられます。
・なんでもいいから「現役」であること。
・自分が「成長」いている実感があること。
・勤め先の組織とは別の「コミュニティ」における居場所が確保されていること。
さらに、現代のネット社会は、個人を出版社や新聞社やTV局のようにメディア化しただけでなく、私たちが工場を持つことなくメーカーになれるチャンスをも与えてくれたという事実を、本書から読み取ることもできます。
【my pick-up】
・スマホを猛烈に利用しつつつ、意識のどこかではスマホとの距離を保たないとあなたも皆と似てきてしまう。
・単純作業は自動化・無人化して、社員の脳をできるだけ情報編集の側に切り替える。
・最初の段階で相手から敵だと判断されるのは単純に損である。自分のキャラの中からどこかを切り出して相手に渡す。著者の場合は「教育界のさだまさしです」というキャッチフレーズからいつも講演を始めている。
・遊び心を持って、自分のキャラを編集してみる。上か下の名前がすごく複雑または読みにくい人も有利だ。少しネタがあるなら盛ってよい。演出して名前をうまく利用して語ることで共感を得よう。
・赤ちゃんが母親から出てくる瞬間は、見ているこちらも頭が真っ白になる。どんな大きなチャレンジでも、生まれてくる以上に怖いことは絶対にないし、これ以上危ないこともない。
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