評価 (3点/5点満点)
経営やマネジメントの問題は、その大半がモチベーションの問題だと言ってもいい。
この本は、モチベーションについて論じた通常の研究書やビジネス書とは違って、「現実の会社や職場の中で人間が何を考え、どのように行動するか」というところからモチベーションを説明します。そのうえで経営者や管理職、そして働く人々自身が抱えている問題について、答えを示していきます。
・成果につながるモチベーションを最大限に引き出すには、1人ひとりの仕事の分担と責任を明確にすることが望ましい。(P.132)
・チーム力を高めるモチベーションを発揮するには、「異質なチーム」を取り入れること。(P.136)
・自分のモチベーションを上げるには、(1)大きな夢や目標を持つ、(2)自ら主観的な環境を変える、(3)仕事以外に生きがいを見つける、の3つが効果的である。(P.148)
本書全体を通して訴えれらているのは「モチベーションには理由がある」ということ。背後にある理由さえ見抜けば、人を動機づけたり方向づけたりできることでしょう。
世間に流布している常識的なモチベーションの話に物足りなさを感じている方に役立つ1冊です。
【my pick-up】
◎相手の成長に応じてほめ所、ほめ方を変える
就職したての新人には、些細なことでもほめてやるだけで自信につながる。しばらく経って仕事に慣れてくると、仕事の成果をほめるようにする。さらに人格や人間性をほめるとよい。要するに相手の成長に応じて、細かいところから徐々に人間の中心部分へと「ほめ所」を移していくことがポイントである。「ほめるタイミング」も慣れてきたら2回に一度、3回に一度というように少しずつ回数を減らしていく。そうすれば行動の基準が内面化され、ほめられなくても何がよいことかがわかるようになる。