合理性を超えた先にイノベーションは生まれる 価格:¥ 1,659(税込) 発売日:2013-07-16 |
評価 (3点/5点満点)
ビジネスは合理性だけでは成功しない。特にイノベーションを引き起こしている企業は、合理性を超えていることこそが成功の理由にさえなっています。
合理的な考え方は合理的であるがゆえに、常識を打ち破るような非連続的な変化はなかなか生み出せません。
もちろん、合理性を無視していいわけではなく、また、非合理的なことをしたからといって即イノベーションを起こせるわけでもありません。
本書では、直近の様々な会社の実態をもとに、イノベーションを生み出す「合理性を超えること」について解き明かします。
著者の金子智朗さんは、公認会計士・税理士で、合理的に物事を考える最たる仕事の1つかと思いますが、その金子さんが最近、「何でも合理的に説明できるわけではない」と思い始めたそうです。
日本企業の閉塞感を打ち破るヒントになる1冊です。
【my pick-up】
◎合理的検討は言い訳づくり-内部統制もこの傾向を加速
監査対象になったことで、内部統制が形式的なものになってしまった面がある。
不正やミスが最大の関心事である監査法人という第三者に、間接的とはいえ意思決定プロセスまでも監査されることになったため、意思決定はどんどん形式的になり、本来優先されるべき経営判断の自由が奪われてしまっている気がする。
◎利益が出ない事業を許容する
事業部別損益管理であれば、事業部長は事業部の利益責任を負わされている。十分な利益を上げられなければ、事業部長の評価が下がるだけでなく、場合によってはその事業そのものをやめることにもなる。だから当然、みんな利益を出そうと考える。会社としても利益が出ていない事業はダメだと考える。
しかし、これはオール5の発想だ。全ての科目で十分な合格点を取りに行く発想である。もちろんそれができるなら、それに越したことはない。しかし、それが難しいからこそ、いろいろな事業をやっているはずだ。それがそもそもの多角化の目的である。
グーグルもアップルも、利益が出ない事業や組織を許容している。利益に縛られない事業や組織を許容するから、部分最適に陥らず全体最適を考えることができる。そして、その先にイノベーションも生まれる。