厳選!ビジネス書 今年の200冊

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今年198冊目『成功は一日で捨て去れ』

2009-12-13 01:03:37 | おすすめビジネス書
成功は一日で捨て去れ 成功は一日で捨て去れ
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2009-10-15

評価  (3点/5点満点)

ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さんによる、ユニクロの復活を踏まえた成功哲学の集大成です。

成功はそう呼ばれた瞬間から陳腐化していくものであり、小さな成功だけで満足してはいけない。また、「増収減益」は安定成長志向という病にかかり、会社の将来を決する最大の危機であると強調しています。

なぜ社長に復帰したのか、なぜ野菜事業は失敗したのか等々、当時のマスコミでは語られなかった真実が柳井さんの言葉で明かされています。

【my pick-up】

◎3年ぶりの社長復帰

彼(玉塚前社長)の人柄や育ちの良さのせいか意外と安定成長志向である。突っ込んで行かなければいけないようなチャンス時に、思い切って挑戦しなかったりした。

◎おいしいトマト、エフアール・フーズの失敗

結果は大失敗だった。農業では、我々が今まで培ってきたユニクロのノウハウや人材が活きない。「そんなの最初から分かっていたことだろう」との批判を甘んじて受けよう。革新的過ぎて失敗した、ということなのだろう。

◎なぜ再度、社長をやろうと思ったか

今回の社長への復帰は、緊急避難的措置だ。経営幹部クラスの人たちが自分の経営水準に満足している様子が見えて、これではもう我が社は成長しないのではないか、と危惧したからだ。

◎日本企業最大の弱点は経営者

日本の普通の会社では、人は職位が上がれば上がるほど仕事をしなくなる。せいぜい課長クラスまでが仕事をしていて、部長以上の上司はその報告を受けるだけなのではないだろうか。

経営者が頼りなくても、現場がしっかりしている会社はなんとかやっていけるのだ。ただし、現場が頑張っているということは強みであると同時に、弱みでもある。

◎経営の管理監督と執行は分離可能か

何年か経ったら、ユニクロの社長は後進に譲る必要があるだろう。しかし、それが今に至ってもできていないのが現実だ。

言い訳になるかもしれないが、これから本格的にグローバル展開していかなければならないし、グループ企業もそれぞれ独立性を強くしなければならないときに、中核企業であるユニクロ自体を徹底的に変えていく必要があり、それをやるためにはやはりユニクロの社長をやらなくてはならない。グループ全体のDNAを創り出すのはユニクロをおいて他にない。ぼくがガバナンスだけを仕事にしていたら何も変えられないのだ。まったくのジレンマである。

◎週4日のノー残業デー

「ノー残業デー」の実施もCSR活動の1つと言っていいだろう。現在、東京本部では火曜日から金曜日まではノー残業デーとなっている。

本来、朝早く出社して夜の10時とか11時まで詰めて仕事をしていたら、もうその次の日は疲れて仕事に集中できないはずだ。ぼくは過去の経験から言うと、1日12時間以上仕事をしたら集中はできない。それも何か月も何年も続けるなんてあり得ないし、もしやっていたら仕事に集中していないはずだ。

本当は早く帰れるのに上司がいるうちは帰れないとかいう人もいる。時間の無駄である。上司が率先して仕事を効率的にこなして、毎日早く帰る。そうすべきだ。

◎ユニクロは「一人勝ち」ではない

一人勝ちと言えるほど売れてはいない。昨年より売上が5割増したとか、2倍とか3倍に増えたのであれば一人勝ちと言えるだろうが、昨年対比でせいぜい十数%アップである・正確に言えば、「ユニクロだけがこの不況に負けていない」ということなのだろう。

◎世界最高水準の経営者養成機関をつくる

新聞や雑誌の報道も「ユニクロ一人勝ち、最高益更新」の陰で、「後継者育成が急務」とか「後継者問題がリスク要因」などと後継者問題が取りざたされている。確かに仰る通り重要な課題だ。今後5年間で次世代の経営者を育成するのが、これからのぼくの最大の仕事になるだろう。できれば65歳までに会長職に専念できるようにしていたい。

◎次世代の経営者、起業家たちに向けて

ぼくが尊敬して止まない人物が二人いる。一人は主観的な目で独自の理論をつくり出し経営を実践されてきた松下幸之助さん、もう一人は客観的な目で企業や組織を見続け、そこから経営とは何かを発見したピーター・F・ドラッカーさんだ。お二人とも、経営に対する考え方はとても似ているように感じられる。おこがましいが、お二人ともに著作を通じて大きな影響を与えていただいた、いわばぼくの大恩人である。

ドラッカーは、仕事の節目や壁に当たったときに何度も何度も著作を読み返し、そのたびに感銘を受け「よし、頑張ろう!」と発奮させられてきた。

ユニクロは、良い商品をつくって、あらゆる人に買っていただきたいという思いが強い。価格を安く設定しているのは、そのための手段と位置づけている。

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