評価 (4点/5点満点)
経営戦略論をはじめとした経営学のさまざまな知見を、個人の「人生というプロジェクト」に活用するためのガイドを提供します。
・競争戦略論のポジショニング理論を用いて「自分の居場所」を見定める
・マーケティングのライフ・サイクル・カーブの理論によって「人生の順番とタイミング」を考察する
・ゲーム理論の「絶対優位の戦略」に基づいて「他者とは異なる逆バリ」を選択する
・財務理論の正味現在価値の観点から「長期リターンの大きい選択肢」を選ぶ
経営学に馴染みのないままにキャリアの中盤に差し掛かっているビジネスパーソンにとっても十分に理解でき、自分の人生の経営戦略=ライフ・マネジメント・ストラテジーの考察・実行に活用できる内容になっています。
マネジメントには「思い通りにならないものを、とにかくなんとかする」という意味もあるそうです。
経営戦略論をはじめとした経営学が教えるさまざまなコンセプトやフレームワークは、私たち一人ひとりの人生を考えていく上で、有用な示唆や洞察を与えてくれるでしょう。
【my pick-up】
◎「長く続けてきたこと」に着目する(リソース・ベースド・ビュー)
重要なのは「強み」ではなく「特徴」を抽出する、ということですが、ではどこに着眼すれば、私たちは自分の「特徴」を捉えることができるのでしょうか?「調達困難な資源や能力」とは「時間資本を大量に投下しないと獲得できない資源や能力」のことですから、ひとつの考え方として、着眼するべきなのは「長く続けてきたこと」だということになります。競争優位の形成の貢献する調達困難な知識やスキルが「身につけるのに長い時間がかかる」のであれば、自分の人生を棚卸してみて、他人と比較して際立って長い時間を投下した活動に、その知識やスキルは関連しているはずです。
◎他人のモノサシを鵜呑みにするエリート(バランス・スコア・カード)
エリートは全般に「他者から与えられたモノサシを鵜呑みにする」傾向が強い。課されたテストに意味や目的を問うこともなく、ただ一番を目指して一心不乱に取り組める、そのような性格特性が、彼らの成績を押し上げ、エリートたらしめるのです。エリートは「与えられたテストで一番になること」ばかりを考えるだけで、最も重要な「私の人生で最も重要な指標は何か?」「何を一番にしたら私は幸福になれるのか」という問いについては考えたことがないのでしょう。
◎とりあえず真似てみる(ベンチマーキング)
私たちは一般に「意識を変え、そのあとで行動が変わる」と考えてしまいがちです。しかし、私たちの脳は非常に保守的にできていて、なかなか「意識を変える」ことができません。意識が変わらなければ、当然に行動は変わりません。行動が変わらなければ、結果も変わらず、そして人生も変わりません。この「意識の保守性」を乗り越えるために、難しい「意識を変える」ことをせずに、まず「行動を変える」ことからやってみる。行動が適切に変われば、結果も変わります。結果が変わることで、最終的に「意識が変わる」ことを目指すのが、ベンチマーキングのアプローチだと言えるでしょう。
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