35歳までに身につけておくべき プロの経理力 価格:¥ 1,575(税込) 発売日:2009-06-23 |
評価 (4点/5点満点)
この本は、若手経理社員に向け、「仕事の効率をもっと上げて、少人数でできる体制にしてほしい」「経営の意思決定に役立つ情報をタイムリーに提供してもらいたい」という経営者の期待に応えるためのスキル、具体的には改善力・分析力・報告力・予測力を向上させることを目的に書かれています。
コンピュータやアウトソーシングではできない、考える仕事とコミュニケーションにもっと注力しなければなりません。
また、若手だけに限らず、経理社員全般に言えることは、正しく事務処理をこなしマジメなんだけどアピールも付加価値も足りないということ。本書はその点を鋭く指摘し、対処策も分かりやすくかつ実践的に教えてくれます。
【my pick-up】
◎貸借対照表で目に見えない信用度を見る
貸借対照表の右側(資金調達の原因-負債と蓄積)は目に見えないものなので、経理が注意して見なければ、誰も自分の会社の状態がわからなくなってしまう。
◎フィードバックは経理の重要な役割
経理社員が最も苦手なのが、「伝える」能力です。実はここが、キャリアアップできるかどうかの分かれ道になってきます。
◎会社がうまく回っているかを表わす3要素
利益の額のほかに、利益が企業規模に対して適正であるかを見る必要があります。
会社の経営状態を見るときに、最もよく使われるのが、総資本利益率(ROA)です。これは、会社が所有している財産をいかに効率よく使って利益を稼いだのか、会社が調達した資本(負債と自己資本)をいかに効率よく運用したかを表わしています。
「売上高」と「利益」と「総資本(または総資産)」の3つのバランスを見れば、会社がきちんと機能しているかどうかがわかる。
◎経営者に見てもらうための工夫をする
経理に一番不足しているのが、見てもらうための努力です。なぜこれまで、経理が見てもらうための努力をしてこなかったかというと、会計のアウトプットの形式が制度的に決まっていたからです。
経営者にとって、わかりやすい経理資料を作るには、次のような工夫が必要です。
・表形式より、図を使う(できればカラーで)
・何ページにもわたる資料より、1枚にまとめる
・細かい数字より、記憶できる程度の丸めた数字を使う
貸借対照表と損益計算書が1枚の図になっていれば、売上高、利益、総資本(総資産)の大きさが、誰にでも一目でわかります。
◎フィードバックの基本は「鏡」になること
経営者や現場部門は、自分たちの活動が会社全体にどのような影響を与えているのかはわかりにくいものです。活動結果を反映して、さまざまな角度から本人にフィードバックできるのは経理だけなのです。特に本人からは見えにくい部分を見せてあげるのは、経理の重要な役割です。
◎「バネの法則」で予測する
先のことを考えるときには、一度同じ期間だけ遡って行動を振り返ってみると予測がつく。来年度の予算を組むときは、今期1年間のデータを参考にし、2~3年の中期予算を考えるときは、やはり2~3年分の過去データを基準にする。
◎左右の脳と、耳と口と、手と足を効果的に使う
経理社員の傾向としては、数字に強く計算能力が高いので、「分析力」と「予測力」が高い人が多いようです。このタイプの人は、プラスアルファのスキルとして「報告力」と「改善力」を身につけると、社内からの評価が驚くほど高まります。
◎今の仕事から脱皮して次のステップへ
約3年の周期で仕事を後進に譲って、自分は上のレベルの仕事へ移ってゆく。このときにやらなければならないのが、仕事の標準化です。これは、作業を単純化し、手順化し、ルール化していくことです。