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評価 

(3点/5点満点)
この本は、専門性を身につけることの大切さと、その方法について書いています。
・これからの時代に活躍するビジネスパーソンは、個性的な「専門性」が決め手になる。専門性という武器をもっていないビジネスパーソンは、会社での居場所や存在価値がどんどんなくなっていく。
・日々の業務のなかだけで、ビジネスの競争に勝つ専門性を身につけるのは難しいため、自ら学ぶことが大切である。しかし「○時間で学べる△△」といったすぐに役立ちそうな自己啓発本を読んでも、ライバルと差がつくような専門性はなかなか身につかない。
・テクノロジーの発展とともに、仕事で求められる専門性の移り変わりは加速しており、時代の変化に応じて自分の専門性を進化させられるビジネスパーソンになるために、「専門性の身につけ方」自体を知ることが、替えがきかない人材になる近道である。
専門性とは、すでに存在する専門知識を「インプット」することではなく、新たな専門知識を「アウトプット」できることを意味します。
自分の専門性を差別化することで、専門性で戦えるビジネスパーソンになろう!というのが、本書の目標です。
また、専門性の身につけ方は、長い歴史を積み重ねて「型化」されています。
専門性を身につける方法は「研究」にヒントがあります。研究とは「新しい知識を生み出す技法」です。
専門性につなげるためには「我が道を行く」くらいでいいのかもしれません。
【my pick-up】
◎ChatGPTはビジネスパーソンにとってはかなりの強敵
今から3年後、5年後のビジネスにおいて、ビジネスパーソンの最大のライバルとなるのは、競合する他社や他業種から入ってくる企業のビジネスパーソン以上に、おそらくAIだと考えられます。そして、ChatGPTの登場によってパンドラの箱が開けられた感がかなり漂っていますので、こうなってくると自分が想定しているよりはるかに速い進化が、あっという間に目の前に迫ってくると心づもりしておくことが重要です。
◎多くの組織には革新ではなく前例踏襲を重んじる体質が残っている
これからは、組織に同化して協調性と前例踏襲を重んじるようなタイプの人間が和を乱さないように仕事をする会社よりも、多様な個性と才能がぶつかりあってチームとして創造性を発揮できるような企業が輝きを放ちます。コスパやタイパを追求して、遊びがなくなったような企業やビジネスパーソンから、クリエイティビティあふれるアイデアは生まれてきません。そういった「標準化から個性化への価値転換」がソサイエティ5.0における最大のポイントです。それはつまり、「標準化された専門性」ではなく「個性的な専門性」の価値が高まっていくことを意味しています。
◎専門性とは専門知識のインプットではなく、専門知識のアウトプット
まずしっかりと認識しなければならないのは「専門性とは新しい知識を生み出すことである」というポイントです。すなわち、専門知識の「消費者」ではなく、専門知識の「生産者」になることを目指す必要があります。そのためには、「どうすれば専門知識を効率的に得ることができるか?」といった消費の仕方ではなく、「専門知識はどうやって生み出すことができるか?」という生産の仕方を理解することが重要です。そして、その答えは「研究」にあります。
◎「何か発言してやろう」と最初から意識的に心がける
学びを効果的なものにするためには、能動的に発言することは非常に重要です。自分の意見や考えというのは、自然と出てくるものではなく、意識してつくるものだといえますので、自分自身の中に問題意識や自分ならではの視点がないと、発言しようと思っても発言する内容がないということになってしまいます。すなわち「不同意の度胸」がまったくない状態です。はっきりとした自分の意見がないため、他人の意見を聞いたときに、異論も反論もなく、議論を発展させるような貢献をまったくできないまま、無言で同意した感じになります。
◎「ケースバイケース」という名の思考停止
専門性を身につけるうえでは、具体的な現象を「抽象化」して認識することが鍵になります。「ケースバイケース」の具体的な事象でしか考えられないビジネスパーソンは思っている以上に多いかもしれませんが、もっと抽象的な視座から「概念レベル」で問題を考えていくということが、まだ答えのない問いを掘り下げるためには不可欠だといえます。ケースバイケースの事象を俯瞰することによって「○○化」として問題を捉えれば、個々の事情に左右されない形で問題を考えることができます。