日本語学校からこんにちは ~水野外語学院~

千葉県市川市行徳にある日本語学校のブログです。日々の出来事、行事、感じたことなどを紹介しています。

「『富士山旅行』の時には燃え上がったのに…『日光旅行』は、いまひとつ…」。

2013-07-30 08:40:16 | 日本語の授業
 曇り。時々薄日が差しています。

 昨日の雨は、結局は、朝の学生達が来る前に止み、それきりになったしまいました。けれども、一日中、今にも降り出しそうな、そんな様子のままでした

 今朝もそうです。いつ降りだしてもおかしくはない…。湿度もかなり高そうですし。

 さて、学校です。
 「日光旅行」に向けて、着々と(?)準備が整っていくような、いないような、そんな状態が続いています。

 「富士山旅行」に比べ、どうも、いまひとつ知名度が足りないような…。「富士山へ行く」の「ふ」の字を聞くや否や、学生達は興奮状態になり、「山の上まで行きますか」という問いかけが直ぐに出てきます(「日光」と「富士山」は隔年毎ですから、「富士山」へは、去年行きました)。ところが、「日光」となりますと、「何ですか、それは…」で終わり。

 というわけで、結局、「DVD」をかなりしつこく、執拗に見せ、それなりに気分を高めさせるようにしていかなければならないのですが、それでも、まだ「ピン」とは来ないようなのです。あの山の空気までは漂わせることは無理ですし…。

 日本人にとっては、お寺や神社は見ずとも、杉並木を歩くというだけで、なにやら昔に戻れるような、ホッとするような、ある種の解放感が得られるのですが、彼らはそうではないようなのです。

 彼らを連れて行く度に、説明してくれるガイドさんにお尻を向けて、あらぬ方を写真に撮ろうと必死になっています。それが、私たちにとっては、どこにでもあるとしか思われないような、大したものではないとしか感じられないような…そんなものであることもしばしばなのですが。

 というわけで、いつも先頭は一番日本語ができるクラスということになっています。これはバスの中でも同じことで、初級の学生が前に座った場合、ガイドさんが何を説明してくれようとも反応のしようがないので、バスガイドさんもやるせなくなってしまうようなのです。

 ところが、これが上級クラスの学生が前に座ると…、違うのです。私たちも、「楽勝」とホッとしてしまうほど。日本語がうまくなっているということは、日本人の気持ちをかなり汲み取れるようになっているということで、場の雰囲気が読めるのです。

 バスガイドさんが、一生懸命説明してくれているなと感じるや否や、自分達の楽しみはあとにして、「(彼女の話を)聞き、(彼女の話に)相づちを打ち、(彼女の)質問に答える」を繰り返してくれます。こうなりますと、バスガイドさんもガイドのしがいがあるというもの。何をいっても反応してくれる人がいるわけですから。

 今年は、スリランカ、モンゴル、中国、ベトナム、バングラデシュ、フィリピン、インド、ミャンマー、タイ、台湾と、国の数も少なく、10カ国程度ですが、多い時には15カ国近くになっていたこともあり、その時はいったい何語で話したらいいのか、ガイドさんも困ったでしょう。もちろん、日本語で話し続けるしかないのですが。

 で、日光へ行く時には、特に「歌の練習」にリキを入れなければなりません。ほっておけば、途端に、海辺の砂状態になり、てんでばらばらに、自国語で話し始めてしまいます。
ところが、いざ探してみると(もちろん、探すのは私ではありません。若い人です)若い人達が好みそうな歌、あるいは今年の忘年会で歌われそうな歌、全国的にヒットしている歌というのが…ないのです。それで、つまりは例年歌っている歌3曲と、それから2曲、若い人に好まれている歌というのを選び、それを練習することになったのですが。

 この歌たるや…速い…のです。一回目の練習の時、それでも歌詞の説明をしたのですが、曲が流れると同時に、ため息が学生達の間から洩れてきました…。しかも、「速い、速い、歌えません」と言いながら私を見る目は、「先生だって、歌えないでしょう」。

 もちろん、歌えません。

 とはいえ、「Dクラス」の、在日タイ人学生が、「知っている、この曲。妹が携帯に使っていた」と言って、一生懸命に歌詞をチェックしようとしているのを見て、「Dクラス」の学生達、「えっ、日本人の若い人は皆知っているのか」と、覚えようとする動機付けになったようです。

 そのことを「Bクラス」でも言いますと、やはり、「えっ」。そして、「皆が、大学や専門学校、あるいは企業に勤めた時、歌を通して、連帯感を味わうことになるだろう。『ああ、あの歌の流行った、あの時代を一緒に過ごしたのだ』という」とか、「大学ではコンパなどで何かの歌を歌わなければならない時がある。その時に皆で歌ってもよし、皆の前で歌ってもよし。何せ、今の若い人が皆知っているのだから」とか説明するなり、急に覚えようという気分になったかのような学生がチラホラ。

 何事も動機付けが肝心なようです。

日々是好日
コメント
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