柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

舶来思想

2008-10-13 09:32:39 | Weblog
文藝春秋の今月号(11月号)に地球温暖化についての論文が載ってます。二酸化炭素悪玉説を嗤う論調です。ここ40年の間で世界平均気温は0.7度も上昇したなんていうNASAの報告のでたらめさ、実は測る場所によっては高々0.1度くらいのこと(そんな微々たる変化を人が関知できるはずもないこと)、当たり前の話だけれど一地域のデータを全世界に敷衍することなどできるはずもないことなど裏事情を剔抉しています。ノーベル賞まで貰っちゃったゴアさんの大パフォーマンスでそこ(エコ)が大金儲け口になってしまっているだけだという論です。世の中がエコに走れば走るだけ余分の二酸化炭素が排出されるという実態を書いています。この人は二酸化炭素は植物の光合成になくてはならぬものであるし、化石燃料が枯渇した後にに次代のエネルギーを担うのは光合成だと見通しています。太陽と植物さえあれば、という楽観です。昨今の食品価格高騰のきっかけにもなったアメリカのトウモロコシによるバイオ燃料開発にも好意的です。そういう人ですからそういうバイアスがかかっていることを差し引いて読まなければならぬのでしょうが、二酸化炭素削減運動のおかげで二酸化炭素の減少は当分なさそうである、なんて皮肉や、地球温暖化は二酸化炭素のせいだという単純な物語から一旦離れてそろそろ冷静に考える時が来ているのではなかろうかという締めの文章にほくそ笑みました。是非ご一読を。
 大きな政府、小さな政府という分類があります。経済学者やら政治家がよく口にします。言葉が平易なぶん意味がよくわからなくて煙に巻かれることが多いのですが、先日意味を知る機会があって、それならそうとちゃんと言えばいいじゃないかと専門家達の衒学趣味をいやらしく思ったことでした。福祉(医療や教育やらも含めてのことでしょう)をはじめとしていわば何から何まで国が面倒みるのが大きな政府、そちらを個々民間に委ねて国は関与しないというのが小さな政府、前者がケインズ主義(ケインズなんてのもよく聞きますね)後者を提唱したのがフリードマンという人だったそうです。小泉さんがさかんに言っていた「民間にできることは民間に」というのがまさに小さい政府指向そのものだったわけです。なるほど。大きい政府にすれば昔の日本のように護送船団方式で誰も彼も豊かになりましょうという国民総中産階級社会が出来上がりますが、これは昔国営企業が多く存在した(国鉄、専売公社、電電公社などなど)のが象徴しますが、国が全て面倒を見ないとならぬのです、大出費です。それを賄うには収入を増やさねばなりませぬ、税金増やすしかないのです。他から(大企業や中小企業からの)の収入で賄える内は、右肩上がりの時期はいいですが、そう行かなくなったら財源がないという理由で切りやすい所(多額であるところ)から切っていく。小泉竹中がそういえばいつも言ってましたね小さな政府にするって。そこで聖域なき改革なんてキャッチフレーズ振り回して、福祉費を削る、規制を次々に取っ払う、国の負担をどんどん減らしていく。そして現状がもたらされています。性急にすぎただけなのか、とんでもない失政だったのか。私は日本人気質にそぐわない、欧米思想にかぶれただけの大失政だと思ってますが、これに対して麻生さんが言ってましたね、高負担高福祉を望むのか(これが大きな政府です、北欧諸国のように)、低負担低福祉でいいのか(小泉路線です、小さな政府)、私は国民はその中間を望んでいるように思うって。答えとしては何のアピール性もないことですが、こういう言い方をしたら私達にもよくわかるんです。国民皆保険制度という国家の保健衛生対策として理想的なものを考案して半世紀近く実際に運用してちゃんと答えを出してきている実績からエッセンスをちゃんと抽出すればいいことなのに(世界に他にない制度なんですから手本は他にないのです)、単純に他国のものと数字だけを比較して云々しているだけ。何年も前から皆保険制度(社会保険も国民保険も)が破綻すると煽っています、その因を保険料の滞納が多すぎることによる収入不足に持っていく論調ばかりです、でも第一因は国庫負担を大幅に減じたことなのです。何のために税金を払っているのか。福祉は使い道の上位に優先されるべき事です。社会のインフラ整備と同価値と思いますがね。医療費、介護保険費、生活保護その他の補助助成金などなど。北欧諸国の真似をしろなんて決して言いません、が日本人は欧米人にない気質を備えています。そこに依拠した方策がきっとあるはずです。欧米人の理論に振り回されることこそが愚であろうと思うのです。もっとも、これも(舶来至上主義)昔からの日本人の性質その一ですが。
コメント (2)
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