柳蔭書翰

徒然なるままに、音楽関連の話題に拘らず、常ならんこの世の事々書き散らし諸兄のお耳汚しに供したく思います。

人の力

2007-03-14 08:41:59 | Weblog
タミフルの副作用検討会(厚労省委託)の座長教授の教室に当の中外製薬が5年で一千万円の寄付をしていたという話です。会見の模様をTVが流していました、寄付を貰ったからといって結果に手心を加えるなんてケチなまねはしない、なんて言い放ってましたよ。こういうのを語るに落ちると言います。そういう意図の金をたっぷり貰っています、と言っているわけです。記事には検討会が05年から始まっている、寄付はそれ以前の4年と06年に為されたとあります。結局こうやって学と業とは癒着しているんです。学者なんて金握らせたらそれで終わりです。国立大学の教授の給料、皆さん聞いたらびっくりしますよ、少なくて。その分、記載されない金が薬屋(製薬会社)からどーんと行くわけです。学会なんてのは顎足枕付きの大接待です(今はどうか知りませんが、昔は夜の接待ももちろん込みです)。こういうところ欧米では、少なくともアメリカでは仰天ものなんでしょうね、製造元からたっぷり金を受け取っておいてその薬の評価するなんて、中学生の学活でも全員一致で否決するような無茶が平然と慣習化されている学会ですわ。専門家というのはこんなもんです。誰が信用しますか?でも、厚労省が専門家の正式見解として公表しますからね、考えようとしない末端の馬鹿医者達は使い続けます。そして被害者が出続ける。何人死んでもまずは企業を守る。この姿勢は今までの公害対策と全く同様です。金がものを言うのです。いえ、金だけです要は。情けないことです。
 徳山高専の卒業式で、殺された女子学生の卒業証書が授与されたとの記事です。私はこういう芝居がかった「善行」に嫌悪する方で、どうぞ御勝手になんですが、殺した方の男子学生の身分はどうなるんでしょうか。死亡退学ですね。中退。それとも刑事犯(殺人犯)ですから、在学していた事実まで抹消されたりするんでしょうか。じゃぁ、女学生は中退ではなく卒業扱いでしょうか。それとも証書はあくまで形式的なものですか?つまり儀式におけるパフォーマンス。わたしはこういう行為こそが偽善と思います。すみません、砂をかけるようなことを言いました。
 昨日の高知空港の胴体着陸、見事でしたね。素人が見ていても、非常に綺麗な着陸です。専門家がコメントしていましたが、連中が見てもそうらしいです。綺麗に降りて、ゆっくり機首が下がって滑走路を擦る、火花が散る。ここで大爆発したら、それはそれで別の大スペクタクルでしたが(多分に皆、特に報道関係者達は期待していたんでしょうが)、あれだけ見事な処理を見せつけられると信頼感やプロへの畏敬が湧きいずることでした。新聞でパイロットが36歳と知って、またまたびっくり。ああ、こんな奴がちゃんと居るんだという思いです。頼もしく思いました。降りてきた乗客達も、乗務員の冷静さ、的確な誘導判断を褒めるコメントでしたよね。TVではスチュワーデスと言っているのに、テロップでは客室乗務員と書き直しているのがお笑いでしたが。でも、昨日のTVは機長を褒める言葉は一切なく、この機体の不備や製造元を咎める論調ばかり。例によって大事が起こってからの掘り返し、いわばタミフル状態です。遡るばかり、今目の前の事態に対応しようとしない。今日の朝刊ではそれぞれコラムで、読売、朝日、毎日が機長の的確さを褒めてはいますが、論調はどれも環境論です。あの機長がいたからあれだけのことですんだんですよ。機長が慌ててしまっていたら、今時多い辛抱の足らぬ頭でっかちだったら・・でしょう?どれかのコラムでも書いていましたが、やはり最後は人の力なんです。人の技なんです。人の格なんです。こんなトラブルに遭ったことは不幸でしたが、この機長に乗り合わせたのは文字通り不幸中の幸いであったわけです、当の乗客達は。私は機長をもっと褒めるべきと思います。立派な処置でしたと讃えるべきでしょう。ぼんやりした責任を咎めるだけでは改善しないでしょう。こういう事例こそを奇貨に、個人の、プロとしての意気技量への賛辞励行の方向も必要と思いますが、いかがですか。
コメント
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