写真①:貝殻に載せて展示されているカブトガニの子
=福津市津屋崎3丁目の「貝寄せ館」で、2012年3月31日撮影
貝寄せの浜・「貝寄せ館」物語 33
:カブトガニ
小さく可愛い
カブトガニの子を展示しています
――〈貝寄せ館〉
「海とまちなみの会」の事務所・〈貝寄せ館〉(福津市津屋崎3丁目)の陳列ガラスケースの上に、小さな可愛いカブトガニ(体長約6㌢、甲羅の幅約5.5㌢、尻尾の長さ約5㌢)=写真①=が貝殻に載せて展示されています。
湯浅美子さん(「海とまちなみの会」会員)が津屋崎の海で生まれた個体を保管されていたもので、「日本でも7、8か所しか生息場所がない絶滅危惧種のカブトガニの子」との説明文が添えられています。九州では、佐賀県伊万里市の伊万里湾が繁殖地として知られ、津屋崎の方言と同じく「ハチガメ」と呼ばれています。
カブトガニ(カブトガニ科)は、無脊椎動物の 剣尾目の動物。2億年前からこの形で、〝生きている化石〟とも呼ばれています。日本近海では、瀬戸内海や九州北部に生息していて、60㌢ほどに成長します=写真②=。「津屋崎干潟」での産卵は、7月から8月の大潮に3回くらい確認されていますが、この1~2年に産卵しているカブトガニの数は激減しています。大きくなるまで脱皮を繰り返しますが、雄か雌かは最後の脱皮をするまで分かりません。
写真②:成長したカブトガニの標本
=福津市立津屋崎小で、2009年3月13日撮影
カブトガニが生息する干潟は豊かな沿岸環境を持っているシンボルだと言われています。カブトガニの保護には、産卵するための砂地と、生息する干潟の泥地が必要で、成長したら遠浅の海へ出て行きます。入海(「津屋崎干潟」)=写真③=の水質汚染や「津屋崎漁港」出口に「津屋崎ヨットハーバー」が開設されるなどカブトガニの生息環境の悪化が懸念されます。
写真③:カブトガニが産卵する「津屋崎干潟」(向こうの入海)と「津屋崎ヨットハーバー」(手前)=福岡県設置の津屋崎漁港整備事業の看板から
=「津屋崎ヨットハーバー」岸壁で、2006年9月25日撮影