写真①:正面の長さ39㍍という入母屋造りの「瑞巌寺」本堂
=宮城県松島町で、9月30日午後1時4分撮影
9月30日から10月2日まで、2泊3日の東北旅行に細君と行ってきました。きょうから「奥州紀行」を連載します。みちのくの旅で出合った風物の紹介です。
全日空が募集した「みちのく巡り東北(夏)みちのく緑風紀行3日間(福岡発)」という長たらしいネーミングのツアーに応募したところ、なんと応募客は夫婦4組の8人でした。福岡発30日午前9時50分の全日空機で、同11時35分に仙台空港へ降りましたが、到着口で待っていたのはチャーターされたタクシーの運転手さん1人だけで、拍子抜けしました。
曇り空で、気温17度の涼しい宮城県仙台市から同県松島町の松島までタクシーで走り、昼食会場の「たいかん亭」で他のツアー客と合流。仙台バスのガイド森ひとみさんの案内で、名物料理の牛タンを食べたあと、自由行動で「瑞巌寺」を拝観しました。
「瑞巌寺」は、「松島青龍山瑞巌円福禅寺」の略称で、臨済宗妙心寺派の禅寺。もともとは、平安時代初期の天長5年(828年)、慈覚大師円仁が開創した天台宗延福寺と称していました。円仁は、福岡市にあった古代の迎賓館・「鴻臚館(こうろかん)」から唐へ渡り、『入唐求法巡礼行記』を著した僧で知られ、親近感を覚えました。このツアーで10月2日に訪れた天台宗東北大本山の「中尊寺」(岩手県平泉町)や、俳人松尾芭蕉の〈閑さや岩にしみ入る蝉の声〉の名句で有名な山寺立石寺(山形市)も開基した寺であり、慈覚大師の縁を感じる旅ともなりました。
天台宗延福寺は、鎌倉時代中期の13世紀半ば、執権北条時頼が法身性西和尚を開山として円福寺と改称、建長寺派の禅寺に改めました。妙心寺派に属するようになったのは、戦国時代末期です。
江戸時代の初め、仙台62万石の祖・伊達政宗が熊野産の杉、檜などの良材で建てさせたという国宝の本堂=写真①=は、入母屋造り本瓦葺きで、正面の長さ39㍍、奥行き25㍍の堂々とした建物です。長谷川等胤が描いた襖絵「四季花卉図」をはじめ、欄間の総透かし彫りの彫刻などきらびやかな内部装飾は豪壮かつ重厚でした。
境内を歩いていて、大きなキササゲ(ノウゼンカズラ科)=写真②=があるのに気付きました。中国原産で、日本には古くから渡来した高さ約10㍍になる落葉高木。ササゲ(マメ科)に似た長さ約30㌢の細長い実が、垂れ下がっています。実は利尿作用が強く、腎炎の際の利尿剤などに応用される薬用植物です。
写真②:約30㌢の細長い実を垂れたキササゲ
=「瑞巌寺」で、9月30日午後1時19分撮影
=宮城県松島町で、9月30日午後1時4分撮影
9月30日から10月2日まで、2泊3日の東北旅行に細君と行ってきました。きょうから「奥州紀行」を連載します。みちのくの旅で出合った風物の紹介です。
全日空が募集した「みちのく巡り東北(夏)みちのく緑風紀行3日間(福岡発)」という長たらしいネーミングのツアーに応募したところ、なんと応募客は夫婦4組の8人でした。福岡発30日午前9時50分の全日空機で、同11時35分に仙台空港へ降りましたが、到着口で待っていたのはチャーターされたタクシーの運転手さん1人だけで、拍子抜けしました。
曇り空で、気温17度の涼しい宮城県仙台市から同県松島町の松島までタクシーで走り、昼食会場の「たいかん亭」で他のツアー客と合流。仙台バスのガイド森ひとみさんの案内で、名物料理の牛タンを食べたあと、自由行動で「瑞巌寺」を拝観しました。
「瑞巌寺」は、「松島青龍山瑞巌円福禅寺」の略称で、臨済宗妙心寺派の禅寺。もともとは、平安時代初期の天長5年(828年)、慈覚大師円仁が開創した天台宗延福寺と称していました。円仁は、福岡市にあった古代の迎賓館・「鴻臚館(こうろかん)」から唐へ渡り、『入唐求法巡礼行記』を著した僧で知られ、親近感を覚えました。このツアーで10月2日に訪れた天台宗東北大本山の「中尊寺」(岩手県平泉町)や、俳人松尾芭蕉の〈閑さや岩にしみ入る蝉の声〉の名句で有名な山寺立石寺(山形市)も開基した寺であり、慈覚大師の縁を感じる旅ともなりました。
天台宗延福寺は、鎌倉時代中期の13世紀半ば、執権北条時頼が法身性西和尚を開山として円福寺と改称、建長寺派の禅寺に改めました。妙心寺派に属するようになったのは、戦国時代末期です。
江戸時代の初め、仙台62万石の祖・伊達政宗が熊野産の杉、檜などの良材で建てさせたという国宝の本堂=写真①=は、入母屋造り本瓦葺きで、正面の長さ39㍍、奥行き25㍍の堂々とした建物です。長谷川等胤が描いた襖絵「四季花卉図」をはじめ、欄間の総透かし彫りの彫刻などきらびやかな内部装飾は豪壮かつ重厚でした。
境内を歩いていて、大きなキササゲ(ノウゼンカズラ科)=写真②=があるのに気付きました。中国原産で、日本には古くから渡来した高さ約10㍍になる落葉高木。ササゲ(マメ科)に似た長さ約30㌢の細長い実が、垂れ下がっています。実は利尿作用が強く、腎炎の際の利尿剤などに応用される薬用植物です。
写真②:約30㌢の細長い実を垂れたキササゲ
=「瑞巌寺」で、9月30日午後1時19分撮影