
写真①:まちなみ散策地図「〈津屋崎千軒〉そうつこう」英語・日本語併記版
=「津屋崎千軒 海とまちなみの会」が2009年12月発行
・連載エッセー『一木一草』
第29回:津屋崎物語
NHK福岡放送局制作の「福岡発地域ドラマ」
『ここにある幸せ』で〈津屋崎千軒〉が舞台に
2013年12月2日掲載の連載エッセー『一木一草』で、福津市津屋崎に向かって大きなうねりのような時代の流れが打ち寄せているような気がしました、と記述しました。この流れは、本物のようです。NHK福岡放送局が10月制作する平成26年度「福岡発地域ドラマ」の『ここにある幸せ』で、〈津屋崎千軒〉が撮影の舞台に取り上げられるからです。
松田翔太、宮本信子が主演の
~「津屋崎物語」~
「津屋崎物語」というサブタイトルが付いています。岡田惠和脚本、松田翔太、宮本信子、中村映里子らが出演の予定。ストリーは、〈東京で“うすーい人生”を歩んできた優柔不断な若者(松田翔太)と、福岡の海の町で“こゆーい人生”を生きてきた、ちょっとお茶目なおばあちゃん(宮本信子)。そんな二人が出会ったら…、何と町中のいたる所でデートを始めちゃった??年の離れた仲良しカップル。そして、小さな「幸せ」に気がついた…〉と、NHKでは紹介しています。
NHK福岡放送局では、地域の様々な現実を元にストーリーを組み立て、住む人たちの息づかいやその土地の空気感を伝える「福岡発地域ドラマ」を年度ごとに制作しており、「12作目となる今回の舞台は、福津市津屋崎。古いものと新しいものが共にある町を舞台に、そこで昔から暮らす人々と新たにやってきた人々が互いに関わりあい、絆を深め、人と町が元気になってゆくヒューマンストーリーです」としています。 2015年1月16日(金)午後7時30分から、総合テレビの九州・沖縄管内で放送の予定です。
江戸時代初期、黒田官兵衛・長政親子が筑前に移封され、福岡藩が津屋崎で直営の塩田を開発、藩の製塩量の90%を占めたという藩財政を支え、官兵衛が隠居後に号した如水の隠居領となった津屋崎には、A Quaint Town Tsuyazaki-sengen”(古風な趣のある町・津屋崎千軒)の古い町並みが残っています。私が所属する町興しボランティア団体・「津屋崎千軒 海とまちなみの会」(会員61人)が平成19年(2007年)に発行した津屋崎千軒まちなみ散策地図、『津屋崎千軒そうつこう』=写真①=も、このNHK地域ドラマ『ここにある幸せ』で小道具に使ってもらえたら嬉しいです。
宮本信子演じるお茶目なおばあちゃんは古民家に住んでいるとの設定で、福津市津屋崎4丁目にある国登録有形文化財の「津屋崎千軒民俗館『藍の家』」=写真②=が撮影の中心になる関係で、10月初旬から12日(日)ごろまでロケ中は『藍の家』内に観光客は入場できないという。平成19年2月16日「藍の家保存会」代表の柴田富美子さんらボランティア仲間23人とともに、『藍の家』で「津屋崎千軒 海とまちなみの会」を創立しただけに、この明治34年建築の染物紺屋・旧上妻家住宅がドラマの主舞台になるのは感慨深いものがあります。

写真②:「津屋崎千軒民俗館『藍の家』」
=福津市津屋崎4丁目14-20で撮影
平成25年度の福岡発地域ドラマでは、同年7月の「九州北部豪雨」で大きな被害を受けた日本一の玉露の産地、八女市・星野村八女市を舞台にした『苦くて、甘い~希望の茶~』で、小池徹平、蟹江敬三、武田鉄矢らが出演。過疎・高齢化が進む村を、災害ボランティアで訪れた若者・小池徹平が蟹江敬三ら村の高齢者との温かな交流を通し、成長してゆく姿を躍動的に描き、話題になりました。
『ここにある幸せ』で主演の宮本信子は、平成25年にNHK総合テレビとBSプレミアムで放送された連続テレビ小説『あまちゃん』で、ヒロインの天野アキの祖母・夏役で元気な海女を演じた芸達者。夫の伊丹十三監督(故人)が主役に起用した「お葬式」や、「マルサの女」などでの演技力に定評があります。松田翔太は俳優松田優作の二男で、2008年にNHK大河ドラマ・『篤姫』で第14代将軍徳川家茂役で初出演、2012年の同ドラマ・『平清盛』で後白河天皇役を演じています。
きょう9月27日の放送が最終回となったNHK連続テレビ小説『花子とアン』のおかげで、柳原白蓮と〈津屋崎千軒〉町興しの先駆者・伊藤伝右衛門の写真を展示中=写真③=の「津屋崎千軒 海とまちなみの会」の観光ガイド拠点事務所「貝寄せ館」(福津市津屋崎3丁目)では、入館者が増え、今朝も午前11時の開館前から女性二人が入場を待っておられました。『ここにある幸せ』・津屋崎物語の撮影や放映で、〈津屋崎千軒〉への観光客や移住者が増え、町並みの活性化につながる大きな波となるよう期待したい。

写真③:〈津屋崎千軒〉町興しの先駆者・伊藤伝右衛門と柳原白蓮の写真展示
=福津市津屋崎3丁目18-16の「貝寄せ館」で撮影