とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

限界集落株式会社/黒野伸一著

2015-01-21 22:12:29 | 読書
限界集落株式会社 (小学館文庫)
クリエーター情報なし
小学館


《内容》
「限界集落」、「市町村合併」、「食糧危機」、「ワーキングプア」、「格差社会」などなど日本に山積する様々な問題を一掃する、前代未聞! 逆転満塁ホームランの地域活性エンタテインメント!!起業のためにIT企業を辞めた多岐川優が、人生の休息で訪れた故郷は、限界集落と言われる過疎・高齢化のため社会的な共同生活の維持が困難な土地だった。優は、村の人たちと交流するうちに、集落の農業経営を担うことになる。現代の農業や地方集落が抱える様々な課題、抵抗勢力と格闘し、限界集落を再生しようとするのだが……。老人、フリーター、ホステスに犯罪者? かつての負け組たちが立ち上がる!!ベストセラー『万寿子さんの庭』の黒野伸一が、真正面からエンタテインメントに挑んだ最高傑作! 新しい公共がここにある。


たまたま、本屋で目についた作品で、現代の日本が抱える問題をテーマにしているという点に興味を持った。早速図書館の予約を入れたところ意外と早く借りられ、面白くて一気に読み終えることができた。祖父の故郷に戻ってのんびりしようと訪れた男が、過疎化が進む村の実態を知り、企業コンサルタントのノウハウを使って、農業法人組織を立ちあげ、村を再生させるというお話である。

限界集落と呼ばれる地域では、住民の老齢化が進み、人口も減少して集落が消滅しかねない。しかし、個人個人で行っていた農業をビジネスとして行う事で、生産性の向上、流通ルートの新規開拓、インターネットでの販売、ブランドを認識してもらうためのキャラクター作り等、一般企業では当たり前の事を過疎の村で始めた事で、村が活気を取り戻し、次第に人も集まってくる。その間には、危機的な状況に陥ることもあったが、その危機も乗り越えていく様子がとても良く、日本の将来に希望を与える内容だったといえる。小説なので、あまりにも話がうまく行きすぎるという点はあるが、このような試みを過疎地での農業や林業に取り入れることで、都会への人口集中を抑え、過疎地の活性化を図ることが出来るのはないかといえる。

以前読んだ有川浩の「県庁おもてなし課」も似たような内容だったが、実際このような事を行っている地域もあるに違いない。国の政策においても、地方で衰退している農業や林業に対して新しい視点から援助していくような事がもっとあってもいい。都会だけでなく、地方にも、もっと夢や希望が与えられるような時代になっていくといいなとこの作品を読んで改めて思った。

因みに、この作品は既にテレビドラマ化が決まっていて、NHK総合テレビで1月31日(土)午後9時からスタートするそうだ。主演は、反町隆司で、反町演じる主人公・大内正登の娘・美穂役が若手女優の松岡茉優、謎の経営コンサルタント・多岐川役で谷原章介が共演する。テレビ放送もどんな味付けになるか、ちょっと楽しみである。