とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

金星探査機「あかつき」明日打ち上げ

2010-05-17 21:30:33 | サイエンス

(金星を目指す「あかつき」の想像図)

最近、日本の宇宙開発が積極的に行なわれている。先日、日本人二人目の女性宇宙飛行士、山崎直子さんがスペースシャトル「ディスカバリー」号で無事帰還したばかりだが、今度は、金星探査機「あかつき」を載せるH-IIAロケット17号機の打ち上げが、明日5月18日6時44分14秒に設定されたという。

時速400キロで金星をめぐる硫酸の雲の下に、灼熱の大地が広がる金星。地球の兄弟星の謎に挑む世界初の惑星気象衛星が、ついに打ち上げられるというのだ。昔から、火星と並びロマンを搔きたてる星として金星は知られている。また、明けの明星、宵の明星と呼ばれ、夜空を眺めた時一際明るく光る惑星である。過去にもアメリカやソ連が競い合うように探査機が送り込んだが、その後はしばらく探査が途絶えていた。長い空白期間を置いて、再び日本から金星探査のミッションが開始されたというわけだ

金星は、太陽から約1億820kmの距離(地球-太陽間の0.72倍)のところを公転する地球型惑星で、大きさや密度が地球と同じくらいであるため、地球と似た過程で作られた双子のような惑星であると考えられているが、その環境は地球とはかなり違っているという。大気は主に二酸化炭素からなり、その量がとても多いために地表気圧は90気圧にもなる。高度60kmあたりには硫酸の雲があり、この雲は地球の雲と違って惑星全体をすき間なく覆い時速400kmという速さで東から西へと流れているそうだ。地表気温は460℃にも達するが、この高温は金星が太陽に近いことが直接的な原因ではなく、大気中の大量の二酸化炭素が温室効果によって熱を閉じ込めるために、わずかな太陽光エネルギーをもとにして効果的に暖まっているという。金星は温暖化の究極の姿を見せていると言えるのである。

今回の金星探査の主な目的は、地球の常識では考えられない不思議な風が吹いている金星の気象の解明を目指す、世界的にもユニークなプロジェクトということだ。惑星ごとに異なる多様な気象や異なる時代の気象を統一的に理解することが最終目標で、最低2年(地球年)の観測を行なうそうである。この観測データが解明されるのは、まだまだ先のことだろうが新しい発見や面白い現象が公表されることを期待したい。


(「イカロス」の宇宙での推進イメージ)

また、H-IIAロケットには「あかつき」以外に、小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」も搭載される。イカロスは「宇宙ヨット」に例えられ、太陽光のわずかな圧力を推進力に、半年かけて金星を目指すというユニークな衛星だ。「帆」に当たる一辺約14mの正方形の樹脂製の膜を宇宙空間で広げる。膜の厚さは食品ラップの十数分の1程度の0.0075ミリ。太陽光の粒子が反射する時に生じる微弱な圧力で進む。地球上ではほぼゼロに等しくても、無重力の宇宙では大きな力になるという。このアイデアは、昔からSF小説にも取り上げられたりしていたものだが、宇宙で航行に成功すれば世界初の快挙になるそうだ。イカロスが、無事宇宙空間で帆を広げ、進んでいく様子を想像するのも面白い。

「あかつき」と「イカロス」等を搭載したH-IIAロケット、無事打ち上げ成功して欲しいものだ。