ちょっと前に泣けるとして話題となった「最後のパレード」(著者:中村克)という本がありました。結構な勢いで売れて、本屋さんでもコーナーができあがるほどでした。
ところがこの本、『ディズニーランドで本当にあった話』という触れ込みにもかかわらず、どうやらネットなどで流布している「泣けるネタ」を集めて微妙に編集しただけの作品だったという疑惑が渦巻いており、出版社も回収を始めたとか。
まずはその顛末をご紹介しましょう。
---------- 【以下引用】 ----------
パクり本“疑惑”『最後のパレード』
http://www42.atwiki.jp/parede/pages/1.html
このwikiは中村克著『最後のパレード』の盗作疑惑の検証および本問題の情報整理を目的としています。
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トップページ目次
あらまし
転売屋の方へ
「感動を返して!」という方へ
現行スレ
一般書籍板
ニュース速報+板
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あらまし
中村克(2009)『最後のパレード』(サンクチュアリ・パブリッシング)は
ディズニーランドであったとされる感動的なエピソードを紹介する本で、
「発売以来、1ヶ月半で50万部を突破したベストセラー」(サンクチュアリ出版HPより)。
しかし発売直後から、記載されているエピソードが2chの書き込みのパクリではないか?という話が
2ちゃんねる遊園地板の「TDR感動したことをかたれ2(」スレ内でささやかれるようになる。
当初はこの件の世間的な認知度は低かったが、2009年4月20日に事態は一変。
『最後のパレード』内のひとつのエピソードが、同書発行5年前の2004年11月24日に紹介されていた文章と
同一である疑いが強くなり、その文章を掲載した読売新聞が「盗作事件」として、トップニュースで報道したのである。
さらに読売新聞は同記事の中で2chからの盗用についても言及、大ベストセラーの地位は一気に地に落ちることとなる。
経緯詳細は盗作発覚までの流れや時系列まとめをご覧ください。
転売屋の方へ
現在、出版社による自主回収が始まったことを受けて、 オークションサイトなどでプレミア感を煽った販売・転売を行っている方が見受けられますが所収エピソードの95%以上 が他所からの 転載 やそれをもとにした改変であり、
かつごく一部を除き ネットで原文が閲覧可能 ですので、お金を出してまで買う価値があるかは甚だ疑問です。
またAmazonマーケットプレイスでは、「著作権侵害の疑い」を理由に出品が停止されました。
なお、元ネタの出所については盗用元一覧表などをご参照ください。
「感動を返して!」という方へ
『最後のパレード』に掲載されているエピソードの大半が盗作であり、残念ながら中にはディズニーランド以外での出来事や、原文の著作権者の意図に反して改変(改悪)されているエピソードも存在するようです。
不幸にも事件のことをまったく知らずに本を読んだ方は、さぞ不愉快な思いをしたことでしょう。
あなたの感動や涙を返すことはできませんが、やり場のない怒りを少しでも軽減できるのであれば返品という方法もございます。
返品方法のページでその方法を紹介していますのでご参考にしてみてください。
(以下略)
---------- 【引用ここまで】 ----------
この事件の顛末を根気よくまとめて紹介しているサイトは@wiki(アットウィキ)と呼ばれるサイトで、さまざまな事柄を何人もの関心を持った読者が丹念に追い続けて事実を書き連ねてまとめ上げて行くものです。
この本の盗作疑惑は記事の中にもあるように、ネットでは早くから話題になっていたので、私は立ち読みもしませんでした。
「嘘でも何でも泣けるから良いのでは?」という意見があるかもしれませんが、私はそれには与しません。やっぱりオリジナルでないのならば、そういう形の出し方だってあったはずで、それをディズニーランドにかこつけた作品とするのは問題があって、物書きのモラルに反すると思うのです。
※ ※ ※ ※
それにしても、こうした問題に気づいた人がそれを情報として発信し、それをまとめ上げる人が出てくるという集合知の力が@wikiには典型的に見られます。
世の中には自称、他称を含めて、スペシャリスト(specialist)と呼ばれる方がたくさんいますが、specialの語源は、ラテン語のspectare= 良く見るから来ているのだとか。
だから「スペシャリスト」というと「専門家」と訳されますが、元々は「よく見る人」だったわけ。関心を持って良く見続ける人にこそ、その人だけが語れるスペシャルな話題ができあがるのです。
同じような「関心を持って見る」ことは英語のwatchから「ウォッチする」とも言われます。ネット用語では日本語で「ウォ」のつもりで「wo」と入力すると「を」が出てくることから、「ヲチする」ということもあります。
一般庶民でも多くの目が関心を持って「ヲチ」しそれをまとめ上げ発信し続けられるネットの力で、いろいろな物が分かりやすく見えてきます。
もはや既成の『専門家』はアマチュアの集合知にかなわなくなりつつあり、まして嘘や捏造で大衆を誘導してきた様々な事柄の真実も、ネット住民には分かるようになり蒙が啓かれてきました。
問題はいまだに新聞やテレビしか情報ソースがない人たちでしょう。表面に出ないままになっているに多くの情報や事実に気づけないままに、様々な判断や批判をするからです。
ネットで世の中が変わる一つの典型的な例ですね。 ウォッチ!