最近、車を走らせているときの風景を撮りたくなることが増えて、Goproで車のフロントグラス越しに撮影できるようなアクセサリーを買いました。
左の吸盤がついたものは、フロントグラスに吸盤で固定してカメラの土台を取り付けられる「吸盤付きベースマウント」。
真ん中は、カメラの向きや角度を自在に変えられる「関節ジョイント」。
一番右はGoproのカメラで、上記の二つを駆使してフロントグラスにカメラを取り付けられるようになりました。
興味深いのは、これらのアクセサリーがGopro社が提供しているものではなく、いわゆるサードパーティと呼ばれるメーカーが作って売っていること。
電池や充電池など緻密な相性が求められる部品は純正品を用いた方が安心ですが、それ以外に「こんな風に便利な使い方ができる」という周辺アクセサリーはまさにアイディア勝負。
アイディアがユーザーから受ければ売れて、立派なビジネスになります。
Goproの側でも、何でもかんでも全てのアイディアを自分たちからひねり出す必要はなくて、カメラをより楽しく生かすような便利なグッズを勝手に作ってもらえれば、カメラの可能性が広がってさらに売れることでしょう。
それに作っても売れるかどうかわからないリスクを自分で抱え込む必要がないというのもメリットです。
双方が持ちつ持たれつでビジネス領域が広がるのはWin-Winと言えるでしょう。
物事が自分の手を離れて勝手に動き出すことを感じたら、それは世間がそれを受け入れてくれて、流行になりつつあるということです。
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若い頃にごく初期の「道の駅」に関する仕事をしていました。
北海道では最初に11しかなかった道の駅をどうやったらドライバーの皆さんに知ってもらって便利に使ってもらうかを考え、スタンプラリーを始め、いろいろと試行錯誤していました。
そうして道の駅も14→16→17→22と増えてゆくうちに、某旅行雑誌が「三泊四日で道の駅全制覇ルート」という企画を作って紙面にしてくれました。
さらにインターネットでも、ユーザーのアイディアが次々と登場するようになり、アイディアを競うような動きが出てきました。
また道の駅をめぐるグッズなども販売されるようになり、まさにもう自分たちの手を離れて、勝手にビジネスが回り始めたことを感じたものでした。
全てを自分で考えて作るのではなく、様々な人たちの自由な発想を生かすコアだけを提供してあとは周りがそれを取り巻く上昇気流を作ってくれる、という役割分担ができれば理想に違いありません。
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アメリカの鉄鋼王と言われたアンドリュー・カーネギーの墓にはこんな言葉が刻まれているそうです。
「おのれよりも優れたものに働いてもらう方法を知る男、ここに眠る」
ある種のマネジメントの走りですが、不完全な人による不完全な組織を動かして一人の人間の限界を超える。
現代の知識社会ではそんな知恵が求められています。