北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

その20分の価値~道路を安全・安心に

2015-10-13 22:14:13 | Weblog

 昨年度で完了した国道40号線の更喜苫内地区での防雪事業について、春から夏にかけての道路利用状況をまとめてマスコミに公表し、いくつかの新聞が取り上げてくれました。


      【日刊宗谷10月9日版】

 更喜苫内地区は稚内から真南に進路を取って豊富町へと向かう間の延長18.7キロ区間のこと。ここでは平成17年から地吹雪の際に前が見えなくなる視程障害(していしょうがい)や吹き溜まりで動けなくなる交通傷害などを防止しようと、大規模な防災事業が行われていました。

 代表的な対策は、広い幅を持った防雪林の設置や「ゆずり車線」の設置、夜間の吹雪などで道路の幅が分からにくいときに視線を誘導するハイパワーLEDによる誘導表示などですが、それぞれが相乗効果を発揮する形となりました。
 必ずしもそれらの対策が良かったということでもないのかもしれませんが、昨年の冬はこの国道40号線で一度も通行止めを出さずにすみました。

 稚内はまるで半島の突端のような北海道の最北端の位置にあるので、広範囲に雪を舞い上げる強風が吹き荒れて地吹雪になると、かつては稚内へ向かう全ての道路が通行止めになることも珍しくありませんでした。

 道路が開通しているということは雪の降らない本州では当たり前のことかもしれませんが、人の流れもモノの流れも支えているのは道路です。これが通れなくなると物資は不足するし急病でも人を運ぶことができません。
 なにより一大酪農地帯の宗谷地域では、毎日できる生乳を工場まで毎日運ばなくてはなりません。一日くらいならなんとか耐えられますが、二日以上の通行止めともなるとせっかく作った生乳も廃棄せざるを得ない状況に追い込まれます。

 このように道路は安定した生活も、人の健康も産業も支える重要なインフラなのでできるだけ通行止めにしたくないのが道路舞台の信念なのですが、それでも悪天候はあります。

 その悪天候のなかでもいかに通行を確保する強靭なインフラとなれるかという命題に日夜取り組むのが我々の存在意義というわけです。

 
 また、通れることは最低限として、それが果たせた次にはより便利で豊かな社会を築くための向上の精神が欠かせません。

 この更喜苫内区間では、一部を二車線にして遅い車が左によけることで後ろを走る車が安全に追い抜きができる区間が三カ所用意されています。そのおかげで稚内から名寄や旭川へ救急車が到着する時間が20分も短くなったという調査結果が出ました。たった20分かもしれませんが、この20分の短縮はどれくらいの経済性や便利やありがたみを生み出しているでしょうか。

 このようなインフラが整備されることで生じる新たな効果を「ストック効果」と呼んでいます。

 昔を思うと、多くの先達が営々とインフラ設備を築いてきたおかげで今の私たちの生活があります。私たちも次の世代、後の世代のために、より安全で安心できる便利な生活を残してあげたいと思います。

 いよいよ北海道には雪の便りが聞かれるようになりました。

 今年の冬にもその整備効果の真価が問われます。

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