北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

道北の産物を輸出するためには

2015-10-05 23:39:21 | Weblog

 

 留萌、旭川、稚内の三開発建設部が合同で主催する地域連携シンポジウムが留萌市で開催されました。

 タイトルは「道北の港から世界へ~道北の農林水産物の輸出を考える」というもので、道北の産物を港経由で輸出しようという取り組みの勉強会です。

 第一部は開発局の前港湾空港部長である川合紀章さんから「北海道の農産品の物流に関する課題」が講演されました。

 川合さんは物を運ぶ「物流」に造詣が深く、かねてより北海道の産物が大都会からの距離が遠いゆえに損をしている実態を憂いている一人です。

 北海道は秋になると農産物が採れるのですが、それをとにかく本州へ運んでしまうために向こうからの荷物がなくても車や貨車を北海道へ来させます。荷物というのは往復で荷物があるから効率的なのに、とにかく運ぼうとするために高上りな輸送賃をかけて運んでいるのです。

 逆に春先は本州からの日用品は運ばれてくるのに帰りに北海道から持ってゆく荷物がありません。いわゆる「片荷」というもので、ここでも北海道へ来る荷物の運賃が高くなり理由があります。

 また最近は本州へ輸送する港が苫小牧に集中し、おまけにドライバーの勤務時間管理が厳しくなったために道東のはずれや道北の遠い地域では一日の認められた勤務時間内に苫小牧まで運びきれないというドライバーの問題も生じ始めています。

 こうしたことを防ぐには、北海道に農産物の貯蔵庫をつくり一年を通じて本州が必要とするときに輸送するようにすることだ、というのですが、関係者の足並みがなかなかそろわないために、こうした活動ができずにいるとのこと。

 そこでかつて北海道開発局が中心となって「皆でやりませんか」という呼びかけを行い、それが道庁や金融機関なども参加する「北海道国際輸送プラットホーム」という活動となって今日静かに進行しています。

 また最近は飛行機も小型化され搭乗客以外の荷物が運びにくくなりました。しかしもしコンテナ一個分だけでも荷物を集められれば、乗客が満員でなくても飛行機輸送代は賄えるという調査結果があります。

 なので、各空港でちゃんと荷物が集荷できるような地域の取り組みが実践されれば飛行機を大型化して荷物を運ぶこともありえるのです。

 関係者が何もしなくても、今と同じビジネスは成り立つのかもしれませんが、オール北海道として地域が連携することで全体として北海道にメリットを生む余地が物流にはあるというわけです。

 自分たちの狭い世界で完結させずに、物事をもっと高い位置から俯瞰して見ることで問題の所在が明らかになることがありますね。

 
 稚内からサハリン向けの交易もフェリー存続問題の先の課題です。ここでもフェリーを活用するためには荷物の量が問題になります。

 稚内経由で道北の産物をサハリンの人たちのもとに安定的に届き双方が喜ぶような日が来ることを祈ります。

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