北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

2.0から3.0へ~自分の価値を社会の価値と統合するべき

2015-10-07 23:00:06 | Weblog

 札幌から某飲料メーカーに勤める知人がやってきて、企業の社会貢献の話になりました。

 彼は三年ほど前から札幌の大通公園で毎週土曜日にゴミ拾いを始めたのだそう。

「朝八時に集合して一時間半から二時間ほどで、わが社の誰が参加しても良いということにしました。『最少催行人数は三人』と決めて始めたのですが、やがてそれを他の企業にも声掛けをして今では十社ほどの企業が毎回何人かを出してくれるようになりました」

「すごいですね。社会貢献の輪が広がっているではないですか」
「はい、今では各社が自分たちの社名の入ったビブスを着て、社名を売り込んではいるんです。それは半分は照れ隠しで、われわれは"集団的売名行為"だと言っています(笑)。でも企業同士が連携するということがいろいろな力強さに繋がるんじゃないかと期待が膨らんでいます」

「やりがいもありますか」
「やっているうちに、とうきび売りのおばちゃんとか背筋の伸びたお年寄りなどと顔見知りになって、『本当にいつもありがとう』と深々とお辞儀をされたりしたらもう止められなくなりますよ(笑)」

 一人だけでなにかをするのではなく、他の人たちを巻き込んで皆が参加するという姿が良いですね。

「企業がCSRなどといって単独で百万円を出すとします。それはそれで立派なんですが、その企業が出さなくなると途端に事業は止まってしまいます。一方、百社が一万円ずつ出してCSRとして事業を支えるとします。そうすると出てくるお金は同じ百万円ですが、たくさんの企業が関わっていることでお金が出なくなるリスクは減りますし、逆にシンパシーが増大する可能性が広がります。ですからたくさんの連携が生まれるということには大きな未来への期待が高まるんです」

 社会貢献に熱心な企業には頭が下がります。


       ◆ 


 でもそうやって社会貢献しても、それがどうやったら企業へのシンパシーや信頼に直接つながるでしょうか。私にはそこに課題が潜んでいるように思います。

「私(小松)はそこに広報や宣伝、情報発信の仕方があるように思うんです。広報の仕事って、まずは自分たちの組織がマスコミなどでどう扱われているかという情報収集をしますが、私はこれを"広報1.0"と呼んでいます。まあ最低限の広報活動です」
「ほほう」

「この上にある"広報2.0"が有用な情報を自ら作り集めて発信するというあり方です。受け身の広報が攻めの広報になるんです」
「なるほど」

「で、私はさらにその上位に"広報3.0"というのがあるのじゃないかと思っていて、それは『情報を発信することで相手のシンパシーや評価を得る様な広報』だと思っていて、ただ出すだけからその意味や受け手側の心にまで浸みる様な広報をするというかなり高度な広報なんですが、これこそが広報を行うことの究極のゴールのはずなんです」

 すると相手は「いやあ、役人の人から"3.0"という単語が出て来るとは思いませんでした(笑)。実はマーケティングの世界ではフィリップ・コトラーという人が『マーケティング3.0』で『共有価値』という概念を打ち出していますし、マイケル・ポーターは『CSR3.0』と言っています。CSR1.0はただお金を出すだけ、CSR2.0は企業の本業を通じた社会貢献、そしてCSR3.0は社会貢献と本業が統合される形のことです。企業の社会貢献もこういう形で進化していて、今では"CSV(=Creating Shared Value:共通価値の創造)"などとも言われています」と畳みかけるように熱く語ってくれました。

 企業の活動が社会が認める価値をもつような活動になれば、社会もきっと支持してくれることでしょう。

 社会から果実をむさぼるのではなく、共に成長するようなところにゴールを設定できると良いですが、実際のビジネスは「とにかくどれだけいかに儲かるか」だけを追求しているところも多いでしょう。

 企業の社会的価値というものをここまで真剣に考えて企業の儲けたいという企業活動が社会の改善につながるようなことになればまさに理想です。こういう高い理念をもってくれている企業かどうか、を消費者も厳しい目で見て選別するような社会になってくれると良いのですが。


 さて、企業のみならず我々のような組織や個人でも、存在と活動の方向が社会と価値を共有しシンパシーを得られるかどうかを考えるべきでしょう。

 久しぶりにじっくり語り合って、実り多い意見交換ができました。毎日の飲み会がこういうものだったら幸せなんですけどね。

 「広報3.0」ってオリジナルのつもりだったのですが、残念ながら3.0はもう使われていましたわ(笑)

【参考:企業価値と社会価値を同時に実現する~Diamond online】

http://diamond.jp/articles/-/37714

コメント
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