やっとのことで引っ越しを終えました。
引っ越し業者さんの来るのが夕方6時近くなり、暗い中での荷物の積み込みとなり、大丈夫なのか心配でしたが、なんとか荷物を積み込むことができました。
引っ越し単身パックというのがあって、決まったサイズの籠の中に荷物を詰め込んでいくら、という値段設定で、せいぜい二つあれば済むかなと思ったのが全く甘くて、よくぞ3つで済んだなあという量の荷物になっておりました。
それでもなんとか荷物を積み込んでくれて一安心。あとは1日に荷物が届くのを待つばかりです。
部屋を引き払うときには一抹の寂しさを感じましたが、これもまた人生。
次の入居者が無事に入るとよいですね。今のアパートを借りたことで、職場にも末広にも、駅にも近い過ごしやすいまちでした。本当にありがとう。
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引っ越しを終えた後で、妻と一緒に最後の釧路の歓楽街めぐりをしてきました。
まずは赤ちょうちん横丁の馴染みのお店「みかさ」に行ってみました。
ご店主には赤ちょうちん横丁には珍しく、目の前でつくる料理を出してもらいましたが、簡単な割にはおいしくて目を見張りました。
ウズラのゆで卵の串焼きなんて、ちょっと食べられませんよね。
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赤ちょうちん横丁で一杯ひっかけて、次には釧路でも老舗となったカクテルバー、「笑の館」へ行きました。
久々に立ち寄りましたが、すぐにマスターの森野友夫さんから「これはこれは、昨日の新聞でご退任の記事を読みました。お別れするのは残念ですね」と話しかけられました。
「お別れなので別れにふさわしいカクテルをお願いできますか?」と突然のオーダーを出すと、「なるほど、お別れですか…ならば、
”X・Y・Z”で参りましょう!」
すっと客から振られたテーマに答えが出るあたりはさすがです。
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このバーにはこれまでも、釧路に大事な友達が来た時に利用させてもらっていたのですが、今日は特に、「バー文化とは何か」という話になりました。
森野さんは、社団法人日本バーテンダー協会の常務理事で、北海道統括本部の本部長という肩書も持っています。
「バーテンダーって、全道で2000人くらいいますが、一番いるのは札幌じゃなくて以外にも旭川なんですよ」とのこと。
札幌はバーやバーテンダーの力が落ちてきたので、業界を挙げてテコ入れをしなくていけない、ということになっているのだそう。
案外知らないものですね。
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私はこれまで、バーテンダーというのはレシピが頭に入っていて、美味しいカクテルを作るのが仕事だ、と思っていたのですが、実はそうではなく、まさにホストとしてお客さんを楽しませることが一番の仕事なのです。
「ですからそんなこともあって、ちょっとしたカードマジックくらいはできますしね」
「ええ?それは初めて聞きました。せっかくだからちょっと見せてくださいよ」
「それじゃあちょっとだけ」
そんなことから、森野さんによるカードマジックが始まりました。客が引いたカードを元に戻して当てるなど朝飯前、という感じで目の前で見ると本当に驚きです。
「ダイスなんかもよくやりましたね」
今度は6個のサイコロをテーブルに置いて、これをダイスカップで次々にすくい取ったかと思うと、止めたカップを持ち上げると6個のサイコロが全部重なって立っています。
「おー!」カウンターにいた客全員が歓声をあげました。
「バーテンダーは皆手品ができるものなのですか?」と訊いてみると、「昔はそういう文化がありましたね。手品に限らず、いろいろな面白い技でお客さんをもてなすということはやれるように練習したものですが、今はどうでしょう、半分くらいでしょうかねえ」とのこと。
札幌のお勧めのバーも教えていただき、バー文化について初めて知ることができました。
釧路のレベルの高い文化の一つに最後に触れることができてよかったです。
釧路へ帰って来る楽しみがまた一つ増えました。
皆さんも、釧路の夜の大人の文化にもっと触れてみてはいかがでしょうか。