かねがね、「自分たちの価値を情報発信することが大切だ」と言い続けていた私。
いよいよ釧路を離れることになったという報道に接して、私のブログを読んでいた、生活保護を担当する若手職員が、「自分たちも情報発信をした」と言ってきたので話を聞くことにしました。
部屋にやってきたのは採用数年の若手の職員で、釧路の生活保護の取り組みを分かりやすく紹介するレポートを作成したと言います。
レポートのタイトルは、「くしろの自立支援プログラムのススメ」というもの。
釧路では平成16~17年度にかけて生活保護受給中の母子世帯を対象とした、厚労省の補助事業による自立支援モデル事業を実施しましたが、それを皮切りに、次々と様々な形の自立支援プログラムを実施してきました。
これまでもこうした先駆的な取り組みを全国に情報発信してきたこともあって、生活保護における"釧路モデル"と呼ばれるほど、関係者の注目を受けてきたのです。
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最近世間では、生活保護水準の引き下げ議論がかまびすしくなっていますが、保護受給者には保護受給前から自立に至るまで様々な要因が複雑に絡み合っています。
決して単純に扶助費を渡してそれまで、ということはなく、自立に向けた多面的な取り組みが必要という事が分かってきて、それも新しい発見になりました。
こうしたことなど、釧路が持っている生活保護に関する情報を取りまとめたものとして、この報告書は出来上がっています。
中心になって取りまとめたのは若手職員のチームで、初めは「そんなことをして何になる?」という雰囲気だったのが、上司や周辺の理解もあってなんとか発刊にこぎつけたそう。
釧路は生活保護率が高く、社会問題になっていますが、そうした課題先進都市は多くのケースを抱えていて、そのことが逆に課題解決への多くのアプローチに繋がるとも言えます。
問題は内に貯めたノウハウを外に出す実践がなかなかできないということで、それを乗り越えた一冊は立派なものです。
残念なことは、紙での印刷でしかなくてネットへのアップはまだ行われていないこと。
まだいろいろなハードルがありそうで、それらを一つ一つクリアしながら、こうした情報発信をこれからも続けてください。
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印刷中の本の中に、「情報発信のための『意志と能力』」という一節を掲げてあります。
これなども若手にはぜひ読んでほしいものです。
これもまた、遅すぎず速すぎず会えた出会いかもしれません。