北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

湯沢の教育をスパイせよ

2011-02-07 23:50:10 | Weblog
 秋田県の湯沢市は釧路市の姉妹都市ならぬ友好都市のひとつです。

 湯沢市との友好都市関係の締結は昭和38年のことで、市内に湯沢市からの入植者が多かったことから結ばれた縁だったとのこと。

 こうした友好都市関係を活かすために両市では職員を派遣しあっています。釧路の職員が湯沢市の教育委員会へ、そして湯沢市の職員が釧路市の観光振興室へという人事交流が行われているのです。

 湯沢市の教育委員会へ派遣した重要な目的の一つが、「全国学力・学習状況調査」で全国一を誇る秋田県の教育の実情をその目で見てその本質に迫ること。

 釧路の子供たちの学力はお世辞にも高いとは言えず、大きな行政課題の一つであり、どういう対処をするかが問題なのです。

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 そんなわけで、これらのミッションを背負って昨年4月から湯沢市に派遣されているA君が一時帰省して、市役所に現地の教育状況について報告をしてくれました。

 A君が感じた、湯沢市における学力・点数向上の背景にあるものとしては①「早寝」「早起き」「朝ごはん」が身についていること、②家族と一緒に食事をとり、温かい家庭で安心した生活ができていること、を上げました。

 温かい家庭を象徴するものとしては、祖父母と同居している家庭が多いことがあげられます。人口で比較すると釧路は湯沢の3.5倍ながら、世帯数は5.1倍と言うことで、五割増しの世帯数の多さが目立ちます。

 そういう家庭は両親が共働きでも安全な環境であり、また田植え・収穫などの農作業の度に家族のコミュニケーションが図られるという地域事情もあるとのこと。

 地域イベントへの住民の協力体制や豪雪に耐える忍耐力などの感想を聞いて感じるのは、古くからの地方都市にいまだに強く残る農村コミュニティの連帯の強さです。

 しかし地域性だけであれば、日本にはまだそうした農村コミュニティが数多くあり、秋田だけの特徴とは言えません。学力向上の秘訣は何か?

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 A君が学校を視察して感心したのは、学校に「ランチルーム」があり、すべての学年の子らが同じ部屋で昼食を取っていたこと。これにより上級生と下級生の縦のつながりが強まり、中学校へ進学しても知っているお兄さんお姉さんがいるという学習環境が作られているのだそう。

 同じ年回りの横の関係だけではなく、昼食事を利用して縦の関係にも心を配るというのは面白い取り組みです。

 小学校低学年では、先生の指示に対する反応が早く、子供たちの意識を高められていて、先生のクラスコントロールもうまくいっているよう。

 図書室も部屋ではなく、玄関横のメディアスペースとして開放的に設置されていて登下校時に立ち寄りやすいところにあると言った校舎の工夫も印象的だったのだそうです。
 
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 また中学校の視察では、生徒の習熟度・理解度を確認するために「一問テスト」という取り組みがされていて、工夫を感じたとのこと。

 さらに、各授業において「今日のめあて」「本日のgoal」などと言う形で、授業が何を理解し、どういう理由で行われているかがあらかじめ生徒に示されていて、生徒自らが達成の度合いを確かめることができるような授業展開になっていることに感心。

 生徒たちも目標がはっきりすることで達成感を感じることができ、自己肯定感の育成にもつながっているという印象を強く受けたそうです。

  湯沢の教育行政の良いところをどれだけ取り入れて学力向上に繋げられるでしょうか。単騎で乗り込んだ異国の地ですが、与えられているミッションはスパイにも似て重要です。

 健康に気を付けてミッション遂行を期待しています。
コメント (1)
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