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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

ヤケクソの書店

2007-01-19 23:09:37 | Weblog
 今日は少し風邪気味なので早く帰ることにしました。読みたい本もたまっていますし。

【なぜだ!】
 滅多にないくらいに早く帰ることになったので、バス停を降りたところにある「くすみ書房」さんがまだ店を開けているのに気づきました。 
 こちら → http://www.kusumishobou.jp/home.html

 こちらでは以前売れない文庫フェアというのをやっていたのと、おやじの会の「おやじの一言」のときにお話しさせて頂いたことを思い出して、ちょっとだけと思い立ち寄ってみました。

 すると店内の天井から下げられている看板類にいやでも目が行きます。  

『なぜだ!?売れない文庫フェア』『何と 岩波文庫全点』『これが売れない 中公文庫ほぼ全点』という大きな看板です。

 店内には所狭しと文庫が並んでいます。しかも本当に岩波文庫が全点ならんでいるのです。

 札幌駅の近くにある超大手の書店ですらこれだけの岩波の品揃えはないのではあるまいか、と思えるのに、売り上げに悩む個人書店でここまでやるというのは実に素晴らしいことです。

 岩波文庫の品揃えに感心しながら眺めていると、おお!なんとなく読みたいなと思っていた『南州公遺訓』があるではありませんか!それに『孟子』の上下巻も!

 嬉しくなってついついどっさりと買い込んでしまいましたが、まあ宴会に出たのと同じような出費ですから、これもまた縁なり、です。

 レジに行ったらご主人の久住さんがいらっしゃったのでご挨拶ができました。

「こんにちは。品揃えが面白くて、つい買い込んでしまいました」
「ありがとうございます。いいでしょ、このヤケクソの本屋のフェアも」

「ヤケクソの本屋ですか、確かに、このヤケクソぶりがいいですね。岩波が全点あるなんて始めて見ました。でも岩波も良いのですが、本の訳がいささか固いので、最近は講談社の…うーんと…」
「講談社学術文庫でしょ。あれも今揃えたくて、出版社と打ち合わせをしているんです。でもスペースがねえ…」

 思わず良書について話し込んでしまいました。

    *   *   *   * 

 本を買った後にさらに店内をウロチョロしていると、さらに話しかけてくれました。
「ここに教養文庫をおいてあるんですけど、教養文庫ってつぶれちゃったんですよ。で、それを大量に持っていた書店から譲り受けて揃えてみているんですけど、結構買ってくださるんですよ」

 ひたすら品揃えで売ろうとする、大手の書店の向こうを張って、お客さんとの関係性の中で良書を売ろうと頑張る個人書店を応援したいものです。


 しかし、折角早く帰った日には本を読もうと思ったのに、また溜まってしまいました。うーむ…

<K書店として初出>
http://blog.goo.ne.jp/komamasa24goo/e/83b465aa6f23b2d800f323071c2dec7a
コメント (3)
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