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北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

「ウルトラ・ダラー」の著者、手嶋さんにお会いしました

2006-04-24 23:10:51 | Weblog
 そろそろいろいろな会合が目白押しです。4月の札幌の気温は平均の年から2~3℃も低かったのだとか。そうでしょう、なんせ寒いですもの。

【手嶋龍一さんにお会いする】
 手嶋龍一さんにお会いしました。

 名前だけだと「誰だっけ?」と思われるかも知れませんが、かつてNHKのワシントン支局長を9年も続けられ、あのニューヨークでの9.11テロの際には連日アメリカからテロ直後の政情を冷静に報道し続けた事で一躍有名になった方です。

 手嶋さんは実は芦別生まれで岩見沢東高校から慶応大学へ進まれたという経歴の持ち主で、純粋な道産子です。昨年の2005年6月にNHKを離れて独立され、現在は外交ジャーナリスト兼作家としてご活躍中で、ワシントンと東京に半々でお住まいだとか。す。

 すでにいくつもの著書をお持ちですが、今回は今年3月に発行された「ウルトラ・ダラー」という近未来小説のキャンペーンで来道されたところを、知人を介してお会い出来たのです。

 ウルトラ・ダラーとは偽札の相性です。以前世界中で非常に精巧なニセドル札が出回ったときに「スーパー・ダラー」と名付けられたことがあったのだそうです。

 アメリカ政府はそこで二度とニセ札が作れないように多くの仕掛けを施しました。例えば「100という数字の中に超微細なマイクロ文字がびっしりと並び、このマイクロ文字はどんなに高性能の複写機を使っても、文字が潰れて再現出来ない。そのうえ、肖像画の背景部分にも、複製を阻む兆候ドナ印刷技術が施されている。こうしてみると造幣当局の自身にもそれなりの裏付けはあると言っていい…」とセリフを語らせて、アメリカ政府のニセ札防止技術を持ち上げます。

 しかしそうやって持ち上げておきながら、「…だが、ダブリンで見つかったウルトラ・ダラーは、この札が持つ新しい機能をことごとく備えている。大胆に言えば本物だ。それが北朝鮮の造幣工場で刷られたというにすぎない…」と言い、もうほとんど本物といって良いニセ札が作られているという事実に驚愕するのです。

 そしてこのスーパー・ダラーを遙かに超える精緻なニセ札をウルトラ・ダラーと名付けているのです。

 手嶋さん自身は「これは小説ですよ」と言っているのですが、小説を書き終えてから後に、次々にこれらの元になったような事実が明らかになってきているのです。

 北朝鮮が日本人を三十数年間に拉致した人たちはどのような人たちだったか、そしてその目的がこのニセ札づくりに関係するのではないか、といった国際政治上の謎解きがここから始まるのです。

 実際アメリカではこのウルトラ・ダラーのために、市場では100ドル札はほとんど使えないのだそうで、アメリカへ旅行する際にも銀行で「アメリカでは100ドル札はよほどしっかりしたところでなくては使えませんよ」と注意をされるそうです。

 そのために旅行者もやりとり出来る最大の金額は20ドル札だそうで、笑えない状態なのだとか。

 実際の流通にあたっては、本物の紙幣100枚に対して2~3枚を混ぜて使うという手口のため、まず見分けがつかないのと、使っている本人にも、ニセ札を使っているという自覚がないために捕まっても罪には問われないということになるのだそうです。

 手嶋さんがおっしゃるには「実際アメリカでも、調査機関やマニアがこのウルトラ・ダラーを手に入れようと奔走していて、『今度こそこれが本物の(?)ウルトラ・ダラーですぜ』といわれる代物に対して500ドルや1000ドルを支払って入手するのだそうです。ところがよくよく調べてみるとこれがやはり嘘で(?)『しまったー、これは本物の100ドル紙幣だ!くそ!だまされた』ということが横行しているのだそうです」

 なんだか変な話ですが、ニセ札に翻弄されるアメリカ社会とそこで利益を上げようとする裏社会とのせめぎ合いが大変面白く描かれています。

 手嶋さんは明日夜に、市内の旭屋書店でサイン会を行うのだそうで、より多くの人に読んでいただきたいものです。

 本の帯には「現実は、物語に予言されていた! これを小説だといっているのは著者だけだ!」と書かれています。

 こういうちょっとしたコピーも読ませますね。もちろん著者のサインもいただきましたよ、へへへ。

 ウルトラ・ダラー:手嶋龍一著、新潮社から定価1500円(税別)です。 
コメント (4)
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