今日も朝から寒い一日。春はまだ遠い、です。
【売れる農業】
今日は経済のお話。
北海道のこれからについて、経済学者のA先生にお越しいただいて、ディスカッションを行いました。
先生は、「北海道は自動車本体の工場などは絶対に来てもらえないのだから、二次産業で食えるとは思えません。それよりは一次と三次産業でしか活路は見いだせないと思います」と論旨は明確です。
しかも「三次産業は観光資源にばらつきがあるので、どこでも成功するという事にはなりませんから、やはり主産業は食と農だと思うのです」とも。
「これまでは『できるのだから買ってもらわなくては』という発想で売り込みや宣伝をしてきましたが、こういう売り手側の感覚で作る事をプロダクト・アウトといいます」
「それに対して、『欲しいから誰か作ってくれないかな』というところに商品を送り込む事をマーケット・インといいます。これからは客の好みに関係なくとにかく作るプロダクト・アウトから、消費者が何を求めているかを探り、求めているものを売るマーケット・インに発想を切り替えなくてはダメです」
「工業製品ではこういう事を当たり前にしています。作ったものが売れなければ消費者のニーズを把握して、それに合致したものを作ろうとします。しかし農業ではこれまでそう言う発想があまりなかったのではありませんか。『美味しければ売れる』という発想は必ずしも消費者に心に触れるものではなく、生産者の自己満足に終わっている事が多いのです」
手厳しい意見ではあるけれど、消費者も目が肥えてしまっているのでただ者があるだけでは売れないのは当然で、プラス・αの何かがほしいところです。
A先生はさらにこうおしえてくれました。
「売れる商品の形として三つの機能を考えてみましょう。商品の三つの機能とは、①実質的機能、②感覚的機能、③意味的機能という三つです」
「その違いは何ですか」
「①の実質的機能というのはあればよい、ということです。食べられるものなら何でも良い、という産物でしょう。美味しいも不味いも関係ありません。食べられれば何でも良い、という価値です」
「なるほど」
「②が感覚的機能です。これはその産物や商品を買う事に何か今ひとつの意味が加わって、価値を増すという事です。蕎麦が信州で食べると『信州蕎麦は美味しいね』ということです。その蕎麦粉の原産が北海道であるかどうかは問いません。安曇野で食べる蕎麦ならば一枚800円くらいはだしますよ、という価値観です。食べられれば何でも良いわけではありません」
「それもよく分かりますね」
「③が意味的機能です。もうこうなると値段ではなく、そこで何かを買う事その事に意味が出てきます。銀座の高級レストランで食事をするためには値段が安いとか、美味しいとか言う事以上の意味がでてくるでしょう。そうなるともう値段が高いなどと文句を言う事はなくなります。食べる事、そこで消費する事その事に意味があるのですから」
先生によると、実質的機能と感覚的機能の間の価格弾性値の値頃感は、だいたい1.3~1.4倍の範囲だという。
安売りショップで飲めればよい牛乳が百円だとすると、北海道の十勝産というブランドが好きであれば130円くらいの牛乳ならお金を出してくれるだろう、という相場感です。
意味的機能がこれに負荷すると、彼女と一緒にビルの最上階のレストランで彼女が飲みたいとねだるミルクには、一杯千円でも全く高い感じはしないのです。
まあ全ての農産品が意味的機能を持つという事はあり得ませんので、ブランドを構築するなどして、感覚的機能を持たせるくらいの事は出来そうです。
ブランド戦略というのはそう言う事なのですね。
外国産の安ければ何でも良いという食べ物意識から脱して、安心出来るものを食卓に並べたいものですね。
【売れる農業】
今日は経済のお話。
北海道のこれからについて、経済学者のA先生にお越しいただいて、ディスカッションを行いました。
先生は、「北海道は自動車本体の工場などは絶対に来てもらえないのだから、二次産業で食えるとは思えません。それよりは一次と三次産業でしか活路は見いだせないと思います」と論旨は明確です。
しかも「三次産業は観光資源にばらつきがあるので、どこでも成功するという事にはなりませんから、やはり主産業は食と農だと思うのです」とも。
「これまでは『できるのだから買ってもらわなくては』という発想で売り込みや宣伝をしてきましたが、こういう売り手側の感覚で作る事をプロダクト・アウトといいます」
「それに対して、『欲しいから誰か作ってくれないかな』というところに商品を送り込む事をマーケット・インといいます。これからは客の好みに関係なくとにかく作るプロダクト・アウトから、消費者が何を求めているかを探り、求めているものを売るマーケット・インに発想を切り替えなくてはダメです」
「工業製品ではこういう事を当たり前にしています。作ったものが売れなければ消費者のニーズを把握して、それに合致したものを作ろうとします。しかし農業ではこれまでそう言う発想があまりなかったのではありませんか。『美味しければ売れる』という発想は必ずしも消費者に心に触れるものではなく、生産者の自己満足に終わっている事が多いのです」
手厳しい意見ではあるけれど、消費者も目が肥えてしまっているのでただ者があるだけでは売れないのは当然で、プラス・αの何かがほしいところです。
A先生はさらにこうおしえてくれました。
「売れる商品の形として三つの機能を考えてみましょう。商品の三つの機能とは、①実質的機能、②感覚的機能、③意味的機能という三つです」
「その違いは何ですか」
「①の実質的機能というのはあればよい、ということです。食べられるものなら何でも良い、という産物でしょう。美味しいも不味いも関係ありません。食べられれば何でも良い、という価値です」
「なるほど」
「②が感覚的機能です。これはその産物や商品を買う事に何か今ひとつの意味が加わって、価値を増すという事です。蕎麦が信州で食べると『信州蕎麦は美味しいね』ということです。その蕎麦粉の原産が北海道であるかどうかは問いません。安曇野で食べる蕎麦ならば一枚800円くらいはだしますよ、という価値観です。食べられれば何でも良いわけではありません」
「それもよく分かりますね」
「③が意味的機能です。もうこうなると値段ではなく、そこで何かを買う事その事に意味が出てきます。銀座の高級レストランで食事をするためには値段が安いとか、美味しいとか言う事以上の意味がでてくるでしょう。そうなるともう値段が高いなどと文句を言う事はなくなります。食べる事、そこで消費する事その事に意味があるのですから」
先生によると、実質的機能と感覚的機能の間の価格弾性値の値頃感は、だいたい1.3~1.4倍の範囲だという。
安売りショップで飲めればよい牛乳が百円だとすると、北海道の十勝産というブランドが好きであれば130円くらいの牛乳ならお金を出してくれるだろう、という相場感です。
意味的機能がこれに負荷すると、彼女と一緒にビルの最上階のレストランで彼女が飲みたいとねだるミルクには、一杯千円でも全く高い感じはしないのです。
まあ全ての農産品が意味的機能を持つという事はあり得ませんので、ブランドを構築するなどして、感覚的機能を持たせるくらいの事は出来そうです。
ブランド戦略というのはそう言う事なのですね。
外国産の安ければ何でも良いという食べ物意識から脱して、安心出来るものを食卓に並べたいものですね。
