天気はよいのですが雲行きが怪しい。いや空だけでなく北海道全体も、です。
さて今日は
■雪氷冷熱と農業
■激震! の2本です。
【雪氷冷熱と農業】
雪氷冷熱に大変熱心なHという企業がある。このHの面白いのはビジネスとして熱心と言うよりは、「とにかく雪氷冷熱を世の役に立てたい」という思いが伺えるところである。
昨年の冬から今年にかけても札幌郊外の土地に雪山を作って、シートをかぶせてどれくらいまで融けずに持つものか、といった実験をしたりして、
そのHが経済産業省の補助事業をもらうことになったという。その対象事業は、移動式ドームを利用して雪氷を長期保存してさまざまな冷熱を農業などの分野で利用しようというものである。
この構想のポイントは、幅50m×延長150mの鉄骨製のオートキャンプのテントのようなドームをつくること。冬にはそのドームは貯雪場に隣接するパークゴルフ場にかぶせてパークゴルフ場を冬でも使えるようにしておき、貯雪場のほうは開放して雪をどんどん集めて貯めておくのである。
そして春が来る頃にはドームの屋根を雪を貯めた方に移動して雪が日照や外の暖気で融けないようにして、パークゴルフ場の方は外に開放される、という構想なのだ。
だからドームは端の方にレールがついていて、そこの上を移動するという大仕掛けである。
ドームを覆うのは新しく開発された遮光シートで、従来はある程度の光と熱である赤外線も通してしまったのだが、最近のものは赤外線を通さずに反射してしまうという性能が著しく向上し、したがって室内の気温を上げずにすむのだという。
非常に大きな構想だが真剣みがあって、まさにこれにかける情熱を感じるのである。
この日は経産省補助事業としての委員会が開催されてそれに出席したのだが、周辺自治体や学識経験者などが集まって、現状の説明を受けたり意見交換をした。
雪山を作るためだけにドームを作るのではなく、ついでに冬期にパークゴルフ場を覆うという発想が面白い。「常に、単目的に考えるな」は生涯学習の真髄の一つである。
今年の冬の楽しみがもう一つ増えた。
* * * *
そしてこの冷熱をどう利用するか、という相手として農業は有望なわけで、何人かの農業研究者の方にも参加をしていただいていた。
そこで農業生産面での雪冷熱の利用だが、まずは雪が融ける冷水を活用するという視点がある。その冷水でビニールハウス内の培地を冷やしてやれば、①収穫期を遅くする抑制栽培、②秋季生産のための夏越し、などが期待出来る。
抑制栽培はレタスやブルーベリーなど収穫期の短い小果樹などが有望。また夏越しという事ではトルコキキョウなどの花や夏秋イチゴが有望だという。
* * * *
また別の農業者の方からは、最近の北海道農業の現実として、灯油の高騰でビニールハウスによる暖房が極めて大変な事になっているという危機感が報告された。
いまや農業においてはビニールハウスなしでは生産は出来ないというくらいに頼られる存在なのだが、灯油などによる暖房コントロールが出来なくてはどうにもならないのである。
おまけに農業人口は減少して一人あたり面積は増えたものの、荒廃農地が増えたり効率的管理のために化学肥料や機械化を進めるのでは外国の農業と差別化が出来ない。
信頼は有機や無農薬といったところに集まるのに、である。
動物性の堆肥の利用も、家畜への飼料にホルモン剤などが入れられているようならばその糞尿も安心は出来ず、結局は植物に頼るべきなのかも知れない。
そういう意味で、灯油に変わる燃料材として菜種やひまわりなどの油が抽出できる植物の栽培拡大や、輪作対策の確立などが必要とされる。
イチゴなどの付加価値の高い作物は、出荷時期を調整して他が出せない時期に出荷する事でその付加価値性がさらに増すので、そこに冷熱を上手に利用出来ないか、という視点は大事なのである。
土を大事にしてエネルギーをかけず、そして安心で美味しいものを供給する事しか北海道農業は生きる道がないのではなかろうか。
嫌われ者の雪の、冷たいという「徳」は、明日の北海道の救世主になるかも知れない、いやそうしなくてはならないのだ。
【激震!】
夕方に経済財政諮問会議の議論内容が届けられて、このなかの国の業務の大胆な整理という項目で農林統計分野と食糧管理分やに続いて「北海道開発関係について、直轄事業等の縮減・分権化、民間委託の推進によるスリム化 等」という表現が盛り込まれた。
このことは小泉政権として、北海道開発事業に大胆に切り込んでくるということを事実上意味している。また、あまたある改革の矛先の中で名指しをされてしまったという事は郵政の次のターゲットになったという事だ。
これを激震と言わずしてどうしようか。大変な事になったものである
職員数が多い、という極めて分かりやすい表現が用いられているが、広い管理区域と施設が膨大である事は必ずしもそれらを是認する理由にはならないという時代になったと言う事だ。
わが組織ももっとやれることがあったはずなのに、その障壁を越えて道民に対してもっと大きな期待に応える努力が足りなかったのではあるまいか、という反省も必要だろう。
これまでのことはそれとして、いよいよ待ったなしの自己改革が必要だろう。自分自身の中でも甘えを排除しなくてはならないし、仕事のスピードもさらに上げて行かなくてはならないだろう。
* * * *
激震その2は、ある計画策定に当たって、委員長就任をお願いしたかった実力者の先生にやんわりとお断りされたという情報が入ってきた事。
上記のことと相まって、みんなが北海道から関心を失いつつあるように思えて残念な限りだ。
北海道が、社会から貪ることなく、分限をわきまえて世に貢献出来る幸せな大地になるように何が出来るかを、これからの北海道はどうあるべきかを考えよう。
同じショックを受けた同僚と、「どん底の誓い」をたてに飲み屋さんへ向かった。
まったくこんなときでも、お酒を飲む理由には事欠かないものだ。うーむ…
さて今日は
■雪氷冷熱と農業
■激震! の2本です。
【雪氷冷熱と農業】
雪氷冷熱に大変熱心なHという企業がある。このHの面白いのはビジネスとして熱心と言うよりは、「とにかく雪氷冷熱を世の役に立てたい」という思いが伺えるところである。
昨年の冬から今年にかけても札幌郊外の土地に雪山を作って、シートをかぶせてどれくらいまで融けずに持つものか、といった実験をしたりして、
そのHが経済産業省の補助事業をもらうことになったという。その対象事業は、移動式ドームを利用して雪氷を長期保存してさまざまな冷熱を農業などの分野で利用しようというものである。
この構想のポイントは、幅50m×延長150mの鉄骨製のオートキャンプのテントのようなドームをつくること。冬にはそのドームは貯雪場に隣接するパークゴルフ場にかぶせてパークゴルフ場を冬でも使えるようにしておき、貯雪場のほうは開放して雪をどんどん集めて貯めておくのである。
そして春が来る頃にはドームの屋根を雪を貯めた方に移動して雪が日照や外の暖気で融けないようにして、パークゴルフ場の方は外に開放される、という構想なのだ。
だからドームは端の方にレールがついていて、そこの上を移動するという大仕掛けである。
ドームを覆うのは新しく開発された遮光シートで、従来はある程度の光と熱である赤外線も通してしまったのだが、最近のものは赤外線を通さずに反射してしまうという性能が著しく向上し、したがって室内の気温を上げずにすむのだという。
非常に大きな構想だが真剣みがあって、まさにこれにかける情熱を感じるのである。
この日は経産省補助事業としての委員会が開催されてそれに出席したのだが、周辺自治体や学識経験者などが集まって、現状の説明を受けたり意見交換をした。
雪山を作るためだけにドームを作るのではなく、ついでに冬期にパークゴルフ場を覆うという発想が面白い。「常に、単目的に考えるな」は生涯学習の真髄の一つである。
今年の冬の楽しみがもう一つ増えた。
* * * *
そしてこの冷熱をどう利用するか、という相手として農業は有望なわけで、何人かの農業研究者の方にも参加をしていただいていた。
そこで農業生産面での雪冷熱の利用だが、まずは雪が融ける冷水を活用するという視点がある。その冷水でビニールハウス内の培地を冷やしてやれば、①収穫期を遅くする抑制栽培、②秋季生産のための夏越し、などが期待出来る。
抑制栽培はレタスやブルーベリーなど収穫期の短い小果樹などが有望。また夏越しという事ではトルコキキョウなどの花や夏秋イチゴが有望だという。
* * * *
また別の農業者の方からは、最近の北海道農業の現実として、灯油の高騰でビニールハウスによる暖房が極めて大変な事になっているという危機感が報告された。
いまや農業においてはビニールハウスなしでは生産は出来ないというくらいに頼られる存在なのだが、灯油などによる暖房コントロールが出来なくてはどうにもならないのである。
おまけに農業人口は減少して一人あたり面積は増えたものの、荒廃農地が増えたり効率的管理のために化学肥料や機械化を進めるのでは外国の農業と差別化が出来ない。
信頼は有機や無農薬といったところに集まるのに、である。
動物性の堆肥の利用も、家畜への飼料にホルモン剤などが入れられているようならばその糞尿も安心は出来ず、結局は植物に頼るべきなのかも知れない。
そういう意味で、灯油に変わる燃料材として菜種やひまわりなどの油が抽出できる植物の栽培拡大や、輪作対策の確立などが必要とされる。
イチゴなどの付加価値の高い作物は、出荷時期を調整して他が出せない時期に出荷する事でその付加価値性がさらに増すので、そこに冷熱を上手に利用出来ないか、という視点は大事なのである。
土を大事にしてエネルギーをかけず、そして安心で美味しいものを供給する事しか北海道農業は生きる道がないのではなかろうか。
嫌われ者の雪の、冷たいという「徳」は、明日の北海道の救世主になるかも知れない、いやそうしなくてはならないのだ。
【激震!】
夕方に経済財政諮問会議の議論内容が届けられて、このなかの国の業務の大胆な整理という項目で農林統計分野と食糧管理分やに続いて「北海道開発関係について、直轄事業等の縮減・分権化、民間委託の推進によるスリム化 等」という表現が盛り込まれた。
このことは小泉政権として、北海道開発事業に大胆に切り込んでくるということを事実上意味している。また、あまたある改革の矛先の中で名指しをされてしまったという事は郵政の次のターゲットになったという事だ。
これを激震と言わずしてどうしようか。大変な事になったものである
職員数が多い、という極めて分かりやすい表現が用いられているが、広い管理区域と施設が膨大である事は必ずしもそれらを是認する理由にはならないという時代になったと言う事だ。
わが組織ももっとやれることがあったはずなのに、その障壁を越えて道民に対してもっと大きな期待に応える努力が足りなかったのではあるまいか、という反省も必要だろう。
これまでのことはそれとして、いよいよ待ったなしの自己改革が必要だろう。自分自身の中でも甘えを排除しなくてはならないし、仕事のスピードもさらに上げて行かなくてはならないだろう。
* * * *
激震その2は、ある計画策定に当たって、委員長就任をお願いしたかった実力者の先生にやんわりとお断りされたという情報が入ってきた事。
上記のことと相まって、みんなが北海道から関心を失いつつあるように思えて残念な限りだ。
北海道が、社会から貪ることなく、分限をわきまえて世に貢献出来る幸せな大地になるように何が出来るかを、これからの北海道はどうあるべきかを考えよう。
同じショックを受けた同僚と、「どん底の誓い」をたてに飲み屋さんへ向かった。
まったくこんなときでも、お酒を飲む理由には事欠かないものだ。うーむ…