北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

原料供給基地・北海道

2005-10-07 23:34:02 | Weblog
 平取から朝一番でそのまま出勤。三日開かないと、職場のメールは約100通も届いていて、もう処理し切れません。

 こうなると、もうどれが【大事なメール】で、どれが【とりあえず送っておくメール】なのかが分かりません。こういう状態の時に限って電話が来て、「メールを送っておいたんだけど…」という、送ったメールは読まれているはずと思われていたりするのでした。

 「す、すみません、まだ読めてません…」 メール社会の弊害かも知れないなあ。
 
 さて今日は、
■北海道は原料供給基地 の1本です。

【北海道は原料供給基地】
 夜に道経連(北海道経済連合会)とわが開発局の有志の間で意見交換会と懇親会を行った。

 今までこの手の会議は道経連と開発局との間であまり行われていなかったようなのだが、開発行政と経済は余り関係がないとお互いに思いこんでいたし、また互いに別に会わなくても仕事が出来たということなのだろう。

 しかし、現在平成19年までの北海道総合開発計画の見直し作業を行うにつけても、一つの組織が自分の役割と思っていることだけを行っているようでは、連携による力が発揮できず、これからの北海道の発展性がないように思えるのである。

 そんななか、同僚の一人が道経連との意見交換会をしませんか、という話を持ちかけてきてくれたので、これは幸いとばかりにお願いをしたのである。こちらからは、いわゆる課のナンバー2である官クラスを6名ほど取りそろえて会談に臨みましたよ。

 冒頭、道経連さんの側からは、道経連内の組織としてこれまで8つあった内部委員会を5つに集約して時代の変化に弾力的に対応することとしているという説明があった。

 それによって、これまでの「食料関連産業委員会」と「国際交流委員会」と「観光産業委員会」を「北海道ブランド向上委員会」とすることにしたのだそうだ。「食」や「観光」を中心として北海道ブランドの維持・向上によって経済活性化をめざす役割を担っており、我々とも大いに関係を深めたいものである。

    *   *   *   * 

 会議の中で、北海道の原材料を使った全国各地の人気食品を集めたパンフレット「え!これって北海道なの?」が二種類紹介された。

 北海道の農産物は、原産地表示のいらない加工食品分野で日本中の特産物を支えているというお話である。

 一番有名なところでは伊勢神宮の定番お土産の赤福だろう。単品では日本で一番売れている御菓子の赤福だが、これには十勝の小豆と名寄のもち米が使われているのだ。

 十勝の小豆は別格として、もち米がなぜ名寄なのか?

 実は冷涼な気候の関係で、北海道北部で作られるもち米はついてから固まるまでに暖かい地方のものよりも余分に時間がかかるのだそうだ。内地のもち米と比べると固まるまでに一日余計にかかるのだそうで、そのことはもち米であられをつくる業者からは不評だったのだ。

 ところが固まりにくい、という特徴は裏返せば柔らかさが長持ちするということでもあって、名寄のもち米を使い始めてからはお客さんから「長く柔らかい」と評判なのだそうだ。

 しかしその事には苦労もあって、もち米にうるち米が一粒でも入ると食感が変わって不評なので、うるちを一粒も混じらせないという大変な努力があるのである。

 米には「もち米」と普通に食べる「うるち米」があるが、遺伝的にはうるち米が優先するので、もち米のめしべにうるち米の花粉がつくとたちまち出来るお米はうるち米になってしまうのだ。

 そのためもち米を栽培する田んぼでは、全てもち米を植えてうるち米の花粉が飛ばないようにしてあるのだが、遺伝という奴はやっかいで突然変異で先祖返りで穂の中にうるち米が出ることがまれにあるのだ。

 これはもう機械では除去出来ない作業で、同じような穂をにらみながらうるちになった穂を手作業で抜き穂作業をしているのだとか。

 こうして作られた100%もち米が伊勢の赤福を支えているのである。

    *   *   *   * 

 このほかにも、富山の鱒寿司のサクラマスや岩手名物盛岡冷麺の原料のじゃがいもでんぷんなども北海道産なのだ。

 北海道という島の中での食糧自給率はカロリーベースで192%は我が国ではダントツで、食糧基地の面目躍如なのだが、それにしても原材料供給基地というレッテルは、誇りのようなそうでないような複雑な心境だ。

 それは、それだけの原料があるのに、自分たちで加工食品として付加価値をつけた名物として売り出すだけの才覚がないということを同時に意味しているからだ。

 もちろん名物というのは一朝一夕にできあがるものではないし、最終消費地の地域の歴史などと密接に結びつくことで価値を高めているものだというのは承知の上である。

 品質も味も良いのだから、あとは地域の財産を掘り出してそれと上手に結びつけることで喜ばれる食品になって行くという工夫がもう少し出来ないものかと、つくづく思う。

 私の得意分野では蕎麦だって、国内消費のうちの約8割は中国など海外からの輸入で、2割ほどの国内産のうちの約4割は北海道産なのである。

 それが信州へ行って安曇野で都会人が食べて「おいしー!」と叫ぶ信州蕎麦になっているかと思うと悔しい限りである。

 「北海道ブランドを作ろう!」がスローガンではなく、実践として果たされなければ意味はないのだ。

 自らの手で北海道ブランドづくりに参加しようではありませんか。私の蕎麦打ち2段もそこへ続く長い道のりの一里塚なのですがね。

 
コメント
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