駒子の備忘録

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ラスト珠城日記まであといくつ?~『桜嵐ドリチェ』大劇場ラスト遠征

2021年06月22日 | 日記
 6月20日11時の前々楽から一泊二日三公演、がっつり堪能して参りました。
 前々楽は友会で当てたことをしばらく忘れていたくらいだったんですけど、よく見たらSS席、しかも二列目、ということは今は実質最前列ということで、どセンターよりはちょっと上手にズレたお席でしたが、ホントにオペラグラスいらずでありがたかったです…! あ、スパニッシュ場面で奥の娘役ちゃんまで全員チェックするために使いましたすまんさくさく!(笑)いやあ、『ダル湖』まではホント声がいいよな、としか思っていなかったおはねちゃんが今回めっちゃツボで、なんか表情の作り方とか目の利かせ方が好みで、識別できるようになるとどの場面でも目が行くんですよー! 私は丸顔で薄い顔立ちの娘役が好みなので、おはねちゃんはどちらかというと面長だし今までそんなには気にならなかったのに…さくさくなきあとはゆーゆとおはねちゃんを愛でていきたいと思います。ミロンガとっぱしのゆうきとともにありちゃんを挟む銀橋のゆーゆ、ホント色気ヤバい。男役にはよく「孕む」とか言うけれど、娘役にはなんて言ったらいいの!?(笑) あと最近気になるのはじゅりちゃんで、これまたどちらかというと面長で好み枠ではなかったはずなのに、今回ダンスがホントに良くてこれまた目が吸い寄せられました。でも芝居の中宮も、冒頭の光明天皇もよかったなー…!
 すみません早々に脱線しました。ともあれ実質最前列ほぼセンターからの視界は圧巻で、お芝居ラスト銀橋、珠城さんのあんよが黒の毛足の長いモフモフで、履いて歩けばそのままお掃除になるスリッパみたい…とか思って涙をこらえるという、貴重な体験もできました(笑)。あとは下から見上げる形になるんで、つけまつげの裏側というか下側すら見える感じとかね。あとショーのプロローグで娘役ちゃんの翻るスカートの中が見えて、そうかオレンジのスパッツ履いてるのかいやスポーティーでいいけどちょっと残念、とか思ったりね…(笑)デュエダンのラストふたりはさくさくが涙腺崩壊しそうなのをぐっと耐えて笑顔を作っているのが手に取るようにわかって、泣けました…
 前楽は二階二列センターよりちょっと下手でこれまた観やすく、照明効果なども堪能できて最高でした。さらに千秋楽はB席でほぼてっぺんの上手サブセンブロックでしたが、この劇場は本当にどこからでも観やすいですよね…! いつもより強い、千秋楽仕様のピンスポットもバッチリ堪能できて、楽しゅうございました。
 千秋楽ではとっぱしのるうさんの「南北朝ってご存じですか?」のあとに客席の反応を拾うアドリブがあって、そうだよね今日の観客はプロだもんねみんな知ってるよね…!とほっこりしました。
 あと、万感の「おまえがやれ!」ね…! サヨナラ公演にトップスターのお役が次期トップスターのお役にかける台詞っていろいろなことが重ねられるものですが、初日は「すごい言い様キタな!?」とか思ったんですよね実は。でもなんかことここに至って、こうとしか言いようないやん、と思うようになりました。トップスターは就任を打診されて、受けるか断るかしかできなくて(みんな悩みつつもさすがに断った人はいないのだろうな、とは思いますが)、もうちょっとあとで、とかは言えなくて、そして引き受けたからにはがんばるしかない。さらに、次期の人選には別に関与させてもらえるわけでもない(二人目以降の相手役とか、全ツの演目とかはある程度の候補の中から選択する余地があることもある、とは聞きますが…)。だかられいこの次期就任に関しても、そうなったからには死ぬ気でがんばれ!としか珠城さんとしては言いようがないわけですよね。自分が就任したときもそうだったろうし、それこそまさおには「泣くな!」と叱られ続けてその座を継いできたのですから…そしてそれを受けてのれいこの「なんでや」だったんだな、とも思いました。何故邪魔だなどと言われなくてはならないのか、という意味から、何故兄ふたりを死なせてしまう羽目になったのか、自分が一族の長を継ぐ羽目になったのか、というところまで全部含めて、けれど「こと問うても答えなく」な問いなのでした…
 ホント、いろいろなことが重ねられた、座付き作家とはこうあるべし、サヨナラ公演とはこうあるべし、という演目に仕上がったと思います。わりかしシンプルだなーとか思った初日の自分に猛省を促したい。千秋楽公演は特に、よく集中し研ぎ澄まされた、熱い舞台でした。
 というわけで以下、ありがたくも2回観られたサヨナラショーの感想を。平日だったし、配信やライビュでご覧になった方はまだ少ないのかな? ネタバレになります、ご容赦ください。

 サヨナラショー開演前の、珠城さんのコメントも織り交ぜたるうさんの紹介トークが素敵で、白い緞帳に映写された映像もどれも懐かしく、それだけでもううるうるでした。
 幕が上がると大階段のセンターに板付きで浮かび上がるシルエット、ライトがつくと黒と白のレース模様のロングコートみたいなお衣装で、まああるあるのお衣装ではありますが、大空さんも黒ベルベット地がメインだったけど似たシルエットのお衣装があったな、とじーんときました。
 まずはプレお披露目だった『アーサー王伝説』から。そうなのよこの演目がまた、上演当時もホントみんなちょっと珠城さんにいろいろ押しつけ背負わせすぎでは!?と思ったものでしたが、王座に就かざるをえない者の苦悩を描いた作品で、みんなちょっと珠城さんに頼りすぎよ珠城さんはそりゃ王の器でみんなを幸せにできるけど珠城さんのことも幸せにしてあげてよ…!とか思って泣いたものでした。「♪畏れられる王よりも愛される王に」というのはまさしくそのとおりで、珠城さんは畏怖で人を従わせるようなタイプではなくて、さりとてみんなに可愛がられるようなアイドルタイプでももちろんないんですけれど、みんなが心から慕い心から支えたいと思うような、あたたかく真面目で誠実な、そういう意味で愛すべき王者になりましたよね。御曹司、というのとはちょっと違うけれど(その言葉が思わせる、大事にされ甘やかされた感はこの人にはなかった)、早くから抜擢されガンガン場を与えられ鍛えられてきたことは確かで、当人はあっぷあっぷしながらも懸命に応えてきたのでしょう。苦しくて前を向きづらかったときもあった、みたいな言葉もご挨拶でありました。私は足りないと思ったことは一度もなかったけれど(イヤ純粋にテクニック的な意味でとか、芸の幅として思うところはなかったわけではないですが)、楽々やっているともまったく思いませんでした。その一歩一歩の懸命かつ着実な歩みが、もちろん相手役の交代という要因もあったかとは思いますが、この5年もの近年では長きにわたるトップスター歴に結実したのだと思います。実にめでたい。ドリチェプロローグのお衣装に着替えた組子が本舞台に整列し、珠城アーサーが階段から降りてくるのを順に膝をついて迎え入れる…胸アツでした。
 二曲目は『カンパニー』。青柳さんはけっして組織の王様ではなかったけれど、この仲間想いのフツーの人のお役がこれまた珠城さんにとても似合っていたことも、今となっては思い出深いです。亡き妻、そして先に卒業してしまった相手役ちゃぴを想うようにも今は聞こえる前半の歌詞、仲間とともに生きていく喜びを歌った後半の歌詞…沁みました。
 三曲目はお披露目本公演『グラホ』のフェリックス・フォン・ガイゲルン男爵。上手スッポンにセリ上がってきて置かれた赤い薔薇の花束を手に、銀橋を渡ります。権利関係もあって難しいかな?とも思っていたのですが、選んでくれて嬉しかったです。難しい歌だけどね。そして銃声、絶命して下手スッポンでセリ下がる…というのもサヨナラショーでは珍しいな!?と思ったのですが、これはのちに回収されるのでした。
 四曲目は退団者7人による『カルーセル輪舞曲』。前楽のサヨナラショーから手拍子が完璧で、客席はさすが組ファンばかり…!と震えました。
 次は下手花道からさくさくが走り出してきて、エマだ!優勝!!ってなりました。『IAFA』の「アデーレの履歴書」で、さくさくはエマのあの印象的だった白と黒のワンピをかたどった、銀のオーバースカートもつけたシャープでモダンなドレスで、くるくるブロンドの鬘もゴージャスで、ホントにキュートでチャーミング! 美園さくらここにあり!と思わせてくれました。
 銀橋を渡ったさくさくが上手花道にはけると、本舞台ではなんと『エリザ』フィナーレの男役群舞「闇広」…! このときちなつはいなかったんですよね? 男役たちの列を割って降りてくるれいこ、ちなつ、ありちゃん。ゾクゾクしました。
 珠城さんが赤と黒の軍服モチーフのお衣装なので、続いて再度出てきたさくさくも赤と黒のドレス。で、「コレなんの曲だっけ? 聞き覚えはあるんだけど…」としばらく思い出せなかったのですが、なんとまさかの『夢現無双』でしたね。そうよね一応(オイ)たまさくお披露目演目でしたもんね…! 美しいデュエダンになっていて感涙…
 さくさくは赤い髪飾りも美しく、毛先だけカールさせたストレートのロングヘアの鬘も美しく、千秋楽では珍しく珠城さんが髪を撫で下ろして…と思ったら次の瞬間カフスか指輪に髪が絡まって、すぐには取れず離れて振りを続けることができなくなり、ちょっと動揺しつつも笑いながら歌い続け悪戦苦闘し続け、その間数秒だったんでしょうがわりと長く感じられて、無事取れてからは何事もなく振りを続けていて、いいハプニングを見た!という気になる一幕もありました。
 上手花道に赤い燕尾、白と紺のベストのトリコロールカラーのありおだが現れて、珠城さんがさくさくをわりとランボーに送り出す(笑)と、3人で『ピガール狂騒曲』に。これまた手拍子が綺麗に入って楽しかった! 一瞬スローになるところもそのまま打ってていいアレンジだったのがまた素晴らしかったです。しかしこれはボリスは無事ダンサーに転職したということなのでしょうか(笑)。
 3人がハケると本舞台には青い燕尾の珠城さんとちなつ。この珠城さんの燕尾と胸元フリフリの白ブラウス、『クライマックス』のデュエダンでスミカの胸に顔を埋めてセリ下がった大空さんが来ていたヤツーーー!!!(ToT) そしてまさかの『幽霊刑事』大劇場デビュー(笑)、死んだ男爵は幽霊刑事になって戻ってきたのでした。「ふたりが組めばシティーハンターもシャーロック・ホームズも怖くない!」みたいな台詞も入って、全組観劇派としてはニヤリとさせられました。
 で、ここまですべてトップ時代の楽曲で来ているので、そういうまとめ方なのかな、ないかな…と思っていたのですが、たまちなが揃ったことだし…とちょっと期待したら、芝居で使った桜の飾りが降りてきて、「来る!」と確信しました。そして珠城さんの明るい「穴穂」、ちなつの「兄上! 私はあなたを助けて、この国を良いものにします!」みたいなあの台詞、そして『月雲』より「花の歌」…! 私はあのバウホールでこの演目を観た日から、「これサヨナラショーでやってペンラ振るヤツ…!」とずっと信じてきましたよ。『エテルニタ』でやっちゃったからサヨナラショーではもうないのかなとも思いつつ、それでもずっとあると信じてきたものですよ。まさかの楽、座席に貼られたペンライトに、振れと指定されていたのはこのあとの曲でしたが…心の中ではめっちゃ振ったね! 青の燕尾に振る袖が見えました。感涙…!
 ところでれいこの出番がないぞ、と思っていたら紫のお衣装で現れて、『クルンテープ』を退団者とともに。退団者は藤色のお衣装。並びが『カルーセル』と上下入れ替わっていて、こういうとこホント気が回るよねと思うなどしました。しかしれいこはもっと飾りが多いのを着てもよかったと思うぞ! これからいくらでも着るんだとしても!!
 『幽霊~』で大階段を隠していた幕が上がると、白と金の変わり燕尾の珠城さんと、「Ryo Tamaki」のロゴ電飾と三日月マーク。私はサイン電飾が好きなので、それでなかったのは残念ですが、お月様マークがあったのは嬉しかったな。そして『AfO』より「この地上の何処かに」。いい歌ですよね、ペンライトの指定はこの曲でした。黄色の、ごくシンプルなペンシルタイプのライトで、とても映えましたよね。それがよもや王蟲の触手を想起させて、珠城さんに「〇ウシカ」(笑)気分をさせていたとはカテコまで思いもよりませんでした(笑)。さすが直前まで青き衣をまとっていたお方よ…! というか『AfO』再演してほしいなあ、いいイケコいいミュージカルだと思うんだよなあ。そしてもう1曲、タイトルなんだっけ、1幕ラストの全員大合唱の歌で白燕尾とドレスの組子も全員出てきて、綺麗に締めて…
 でも、これで終わりじゃないよね…?と思っていたら、「天国? ジョーダンじゃねえ!」の台詞とともに内ポケットからサングラスを取り出す珠城さん! みんな待ってた『BADDY』!! 「♪邪魔だ、どけ!」で専科異動するゆりちゃんまゆぽんを蹴散らし尻餅つかせるヒドい振り、最高!(笑) 大盛り上がりで幕。前楽は再度幕が上がって簡単なご挨拶のカテコがあり、千秋楽ではこの場面のとっぱしは「千秋楽? ジョーダンじゃねえ!」でした。東京大楽は「退団? ジョーダンじゃねえ!」はどうでしょう(笑)。そしてれいこにはぜひここで水色縁の眼鏡をかけてほしいなー!!!
 最後の階段降りは、袴姿でしたね。組子たちが持っていたブーケに横抱きのものがなかったので、ああ黒燕尾じゃないんだな、と思いました。確かに赤い薔薇とか白い百合とかカラーとかの横抱きのブーケを持つタイプではない人だったかもしれません。れいこが持っているのが組からの珠城さんへのお花かな、と類推できましたが、とても大ぶりの白の胡蝶蘭で、シンプルだけど本当に立派なもので、珠城さんらしいなと惚れ惚れしました。
 組からのお花を渡すれいこが何か耳打ちしていて、珠城さん大ウケでしたね。のちにマスコミによる囲み取材で、何か一言くれと事前にねだっておいたら「宇宙一カッコいいです」と言ってくれた、と暴露してくれました。ソレふたりきりのとき言った方がいいヤツ…というかふたりきりのときに言ったのにバラされちゃうれいこたん…愛しい…(笑)同期からのお花は雪組のあすくん。集合日だったのですね、こちらも退団者発表があって寂しかったです。てかこういう日にこういう発表やめてメンタル忙しいから!(><)
 ご挨拶も、自分の卒業の挨拶ではなく通常の、公演の主演としてのトップスターとしてのご挨拶の定型文で始めるもんだから客席からさざ波のように笑い声が沸いたわけですが、当人は笑われたことが意外で不満だったんですかね(笑)。そういうところも本当に愛しい人です。相手役への言及が特になかったのも、さくさくには表面的には基本塩な珠城さんらしかったですね。次期トップれいこのご紹介はありましたが(「お見知りおきを」って、みんな知ってるよ大丈夫だよ珠城さん!(笑))くらげちゃんへの言及もナシ。このあたりは東京大楽では変わってくるかもしれません。
 同期のりさちゃんや組替えするゆりちゃん、まゆぽんの話題で泣きかけちゃうところがまた珠城さんっぽかったです。下級生時代からずっと一緒にやってきた、近い学年の上級生と一個下。本当に仲良しなんでしょうね。珠城さんの愛はそういう近いところから始まって、今は大きく組そのものを包み込んでいるんだと思います。本当に慈愛の王な人なのでした。
 13時開演ですべて終演したのは18時少しすぎでしたかね? 私は19時半くらいののぞみにしていたので、いい読みだったなと自画自賛しました。入り出のイベントができなかったのは本当に寂しかったでしょうが、引き続き東京公演も無事に開幕、そして完走するべく、引き続きみんなで感染予防に気をつけてがんばっていくしかないですね。
 いいお天気で、すがすがしい日和だったのもよかったです。東京公演のお稽古まで、しばらくはゆっくりできるといいですね。
 そういえばりさちゃんへの同期からのお花は宙組のさおが渡していましたが、彼女の退団公演である次の宙組公演もすぐこの土曜から始まるわけで、このところずっとこの月と宙のコンボで私はずっと忙しいのでした…引き続き万全の対策をして、シュッとロンドンそしてパリに行ってきたいと思います!!!





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