駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

吉田秋生『ラヴァーズ・キス』

2020年07月14日 | 愛蔵コミック・コラム/著者名や・ら・わ行
 小学館別コミフラワーコミックス全2巻。

 藤井朋章は鎌倉でも大きな産婦人科のひとり息子で、今はひとり暮らし。何人もの女の子をナンパしてるだの妊娠させて父親の病院でおろさせただのと、悪い噂が多い。だが早朝の海でサーフィンをしていた彼に会った里伽子は、何故か彼に惹かれ…

 久々に再読し、改めて上手さに唸らされました。てか好み…! てか私『BANANA FISH』も感想書いていないんですね、これも近々再読してまとめたく思います。
 それはともかく、男女、男男、女女のみっつの物語、それぞれ前後編で計6本の連作で全2巻、という構成が美しすぎますし、カバーレイアウトもまあ当時の空気を感じはしますがとてもお洒落で素敵です。
 学生時代の恋愛なんて半径数メートルで起きるものだし、美樹の初恋はおそらく朋章でオーサカにもかつて彼女がいたということですから、真性の(という言い方はややアレですが)同性愛者ということでもなく、こんな近距離でこんな複雑な関係が成立するなんて…と依里子は言っていますがわりとリアルかつナチュラルにあるのではないかなと思います。想い想われ、人は学び成長していく…私は「姉妹」というものに妙に憧れを抱いているので、ラストシーンがことに好きです。朋章は少し早く社会に出て行くので、テルさんなど他にも支えとなってくれる人を得ていきます。というか彼は家族を捨てざるを得なかった。でも里伽子や依里子はそうじゃないから、まずは姉妹で、家族の中でより理解し合い優しくなれるなら、その方がずっといいです。
 あと、ピアノの使い方にうっとりします…!
 ところで私も生まれは藤沢、育ちは鎌倉なんですよ。ほぼ横浜で、海は遠い町でしたが、そのまま住んでいたのなら七里ヶ浜の方へ進学したいとか思っていたものだなあ…



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