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駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇花組『うたかたの恋/ENCHANTMENT』

2023年03月21日 | 観劇記/タイトルあ行
 宝塚大劇場、2023年1月7日11時。
 東京宝塚劇場、2月19日15時半、3月2日18時半(新公)、18日11時。

 1889年1月26日、ウィーンにあるドイツ大使館では、皇帝一家臨席のもと舞踏会が催されていた。大勢の貴族が一堂に会する中、皇太子ルドルフ(柚香光)が男爵令嬢マリー・ヴェッツェラ(星風まどか)のを手を取り、踊り出す。人々の視線を集め、幸せそのもののように踊るふたり。しかし、うたかたの恋に終止符を打つ時の訪れを悟っていたふたりは、愛を貫くべくこのときある決意をすでに固めていたのだった…
 原作/クロード・アネ、脚本/柴田侑宏、潤色・演出/小柳奈穂子、作曲・編曲/寺田瀧雄、吉田優子。1983年初演、大劇場公演としては30年ぶりの再演。

 過去の星全ツ版記事はこちら、宙全ツはこちら
 マイ初日雑感はこちら
 なんだかんだウダウダ言いましたが、その後何回か観て、満足して楽しく観終えられたのでよかったです。
 やっぱりオケは薄いと思うし、みんなが埋めてきたけどやはり役が少なくて空間が余っている気がしたし、盆を使った新場面「双頭の鷲」のくだりはとてもよかったけれどそれ以外は銀橋もセリもほぼ使わない幕前芝居でのセットチェンジで単調だし、赤絨毯の大階段プロローグをやりたいのはわかったけれど本公演としてはこれでファイナルでいいのでは…とは思いました。なーこたんによる繊細な改変で緊密な芝居に仕立てていて、よかったんですけれどね。でもれいちゃんルドルフはまさに真骨頂な気がしたし、だからこそこれが本公演ファイナルにふさわしいのではないですかねえホント。あとはよほどスターが足りないときの布陣でやるとか…
 しかし東京ではプロローグのルドルフのお衣装をブーツインにしてくるかと思ったのに直っておらず、そこは大変残念でした。何故なんだ…
 それはともかく、麗しのれいちゃんルドルフ、憂愁っぷりも生真面目で神経質そうなところも父親との関係に悩んで足掻いてぶつかってあちこちいろいろ道も探って、それでもダメでついに折れた…という感じの「…けっこうです」、本当によかったです。食い気味に返す回もあったけれど、溜めて噛み締めて応えた回がことさらよかったと思いました。そういう、死出の決心の瞬間でした。
 大劇場ではプロローグでステファニー(春妃うらら)と躍るときに完全に能面顔で、いくら政略結婚で気の合わない夫婦とはいえ、大人げなさすぎだし冷酷すぎて怖いよ…と泣きそうになったものでしたが、東京では気のない薄笑いを浮かべていて、ステファニーの側もあまり気のない感じで、ちょうどいい冷めた夫婦っぷりになっていてよかったと思いました。ステファニーの側には愛情があるのに…とすると、彼女がかわいそうすぎると思うんですよね。彼女としては体面さえ守ってくれればプライドが保たれるので、あとはよそで何をやらかそうと感知しません、ツーン、くらいでいるのが自然なんじゃないかしらん。妻の座は揺るがないのだし、実際はのちにちゃっかり(という言い方もアレですが)再婚するんだそうですし…あまり痛々しくならない方がいいよねと私は考えているので、小うららちゃんの気位の高い皇太子妃っぷりはちょうど良くて、素敵だと思いました。
 ルドルフが初めてマリーを居室に呼んだ場面や、その後マリーとエリザベート(華雅りりか)が遭遇してしまったあとに駆けつけるくだり、そしてもちろんかくれんぼ場面から眠るマリーに最後に銃を向けるときの逡巡まで、れいちゃんのお芝居はそれはそれはマリーへの愛に満ちていて、とても優しいルドルフ像になっていました。だからこそマリーがトリエステに行ってしまい、見捨てられたような気がして自暴自棄になり、自分自身を傷つけるがごとく痛飲して、ボロボロに乱れて崩れたくだりの壮絶なまでの痛々しさと色っぽさが、たまりませんでしたねえ…駆けつけたまどかマリーもいつもボロボロ泣いていて、とても良きでした。そりゃ帰らないよね、それで「おまえを清らかなままでおこうとした誓いを、自ら破ろう」「ルドルフ…!」ってなるよね、うんうん。良き改変でした。ここで殿下呼びから名前呼びに変わるのも、呼称フェチとして萌えポイントでした。そういえばなくなっていた初エッチの日付を指環の内側に刻印したのは、史実なんだそうですね、史実ルドルフよおまえってやつぁ…
 さてまどかマリーも、やはりお化粧がツヤツヤすぎる気はしましたが、熟練された娘役芸でカマトトすぎずトウも立ちすぎていない、若く朗らかでしかしアーパーではない良きマリー像を現出させてくれていました。最初は推しを崇めるギャルで、やがて恋をして、聖母みすら見せる愛に生きる女になっていく…ルドルフの旅立ちの意味をちゃんとわかって、しかしそれこそ若さで、「あなたとご一緒なら、どこへでも」と応える勇気と盲愛に燃える女性。それはもちろん盲目的としか呼べないものだったでしょう、でも当時のこの立場の小娘に他に何ができたというのでしょう。皇帝はまさしく臣民すべての生殺与奪権を持っているようなものなのです(実際には議会とかが一応は機能していたんだとは思いますが、しかし)。プロローグ、最初の舞踏会、再び戻っての舞踏会、そしてフィナーレと、ルドルフとのダンスは全部違った想いで躍られるものだと思うのですが(同じ舞踏会を再現しているに場面すら、むしろ演技としては違ってしているものでしょう)、どれもが美しくはかなくせつなくて、とてもとてもよかったです。こういう寄り添い芸も単なる下級生娘役ではできないと思うので、まどか本当に大きくなって…と私は母のキモチでうるうるでした(笑)。
「小さな青い花」と呼ぶには生気がありすぎる、という意見もあるかもしれませんが、もはやヒロイン像に小さな青い花を求める感覚が古いのだ、とは言い返してもいいのかもしれません。それは古典の破壊だ、と言うならそれはそう、でもありますが…
 ジャン(水美舞斗)のマイティーは、まあこういう役どころはもはやお手のものだと思うんですけれど、やはりはきはきと凜々しく清々しく、好漢でよかったです。ところで彼は史実ではその後ミリー(星空美咲)とともに海難事故で生死不明となるんだそうですね。ルドルフの夢の中で船出して航海云々と語っているのは、それを踏まえてのことなんですねえ。なんという死屍累々なんだハプスブルクよ…ミリーの星空ちゃんもこうしたポジションのお役はもう慣れたものかなと思いますが、本当ならソフィー(美羽愛)との差がもうちょっと出せる場面があるとよかったですよね。
 ルドルフに次ぐ第二皇位継承者のフェルディナンド大公(永久輝せあ)は、番手に合わせてマイヤーリンクの山荘に逮捕に来る役まわりになってポジションアップ。のちに妻になる身分違いの恋人ソフィーが初出となりました。これも史実では、ルドルフの死後に彼が皇太子となって、彼女と結婚し、しかし彼女は身分が低すぎるために(貴族の端くれではあったそうなのですが)王族と認められず別の称号しかもらえず、宮廷の行事などでも常に末席しか与えられなかったそうです。いつか自分が皇帝になったら、妻を皇后にしてやろう…とフェルディナンドは考えていたに違いありません。しかしサラエボで、その妻ともども暗殺されてしまう。そのときソフィーは妊娠中だったといいます。ああ死屍累々ハプスブルクよ…
 ルドルフの悩みも知っていて、彼の初恋を喜んでいて、でもフリードリヒ公爵(羽立光来)たちの期待も思惑もわかるし自分にだって野心がないわけではなし、愛する女との未来のためには…という苦渋の選択でもあったのでしょう。れいちゃん、マイティーとの並びも良き三王子っぷりでした。あわちゃんも可愛らしくて良きでした。
 今回のフランツ・ヨーゼフ(峰果とわ)はルドルフに対してわりと苛烈でしたが、彼にしても本当に政治的にしんどい時期で、長男に期待してもいたのだろうし、その分イラついてもいたのでしょう。シシィもそうそう母性を出すタイプではないだけに、それでも夫よりはまだまろやかに子供を案じている母になって、良きバランスかと思いました。カガリリは本当に集大成という感じで、陰のMVPだったと思います。息子を案じる一方で自らも死を考えるような人だからこそ、舞踏会で踊るふたりに不穏なものを察知して、つい立ち上がってしまう…お見事でした。
 ルドルフの妹マリー(都姫ここ)が新設されていて、少ない出番ながら存在感を発揮していました。ここちゃんはここから(ギャグではなく)まだまだ活躍の場が広がったろうにもったいない…残念ですが仕方がないです、ご卒業後もどうぞお元気で。
 一方、ヴェッツェラ家ではわりとメリー・ウィドウっぽい男爵夫人(凛乃しづか)がいい感じでした。それからするとハンナ(三空凛花)はややカマトトっぽく見えたかもしれません…でもありあまる財で明るくのほほんと営まれた家庭だということなのかもしれません。それは今回初出のマリーの兄ジョルジュ(希波らいと)の鷹揚さにも現れていたと思いました。あんなに簡単に少尉に任官されて、大丈夫なのかオーストリア軍…!(笑)でもらいとは素敵だったからいいか(甘い私…)。
 ラリッシュ伯爵夫人(朝葉ことの)は彼らの金満ぶり、成り上がりぶりを特になんとも思っていないようですが、ツェヴェッカ伯爵夫人(鈴美椰なつ紀)は目の敵にしているんですよね、何故でしょうね? 本当に古く由緒正しい貴族の出で出身国とオーストリアとの平和を願って働いているから目障り…ということなのでしょうか、でも彼女こそいかにも成り上がり者に見える外見なんですよね。同じ穴の狢で、かつ新参の若い女に愛人の座を奪われそうだからイカイカしてるんだと思うんですけど、だとしたらあの台詞はややおかしいんだよねえ…ただ彼女は舞踏会には出席していません。ラリッシュはルドルフの従姉妹だし出席しているので、本当に位の高い貴族なのは彼女なんだと思うのだけれど…はて? いずれにせよルドルフとは男女の仲であった時期があった女性たちなのでしょう。初日雑感でも語りましたが、ことのちゃんはよかったけど鈴美椰さんの演技はもの足りないと私は思いました。でも終盤ではだいぶ拙さが薄れていたかな、やはり場数なんですねえ。
 スパイ・チームは他にマリンカ(咲乃深音)やミッツィ(詩希すみれ)など。みんな歌手で愛人でスバイなんですよね要するに(笑)。歌はみんな尻上がりに良くなっていっていたと思いました。あとは歌手ということでは皇帝の公認の愛人、『IAFA』でも言及のあったカタリーナ・シュラット(糸月雪羽)、こちらも上々の歌声でした。
 ブラットフィッシュ(聖乃あすか)は、やっぱりもうやりようがなくて損だった気がします。ほのかちゃんは軽妙な在り方で良きでした。真面目だけどもしかしてやや愚図?な感じのモーリス大尉(美空真瑠)との対比としてもよかったと思いました。まひろんやはなこも役不足ながら、いいポイントを収めていたとは思いました。
 ステファニーの侍女エヴァ(愛蘭みこ)は、女主人に対してやや思うところがありそうな演技をしていてなかなかおもしろかったですね。しかし見るたびいい感じにムチムチになっていたなー。カワイイからいいし姿勢の良さで上手く見せているんだけれど、そろそろ心配ではあるかもしれません(^^;)。だが好きだー! 次は新公ヒロイン来てー!!
 銃声が響くときにルドルフとマリーが仰け反って両腕を広げる振りは、私は銃弾に散ったことを表す心中イメージのポーズなのかな、とずっと思っていたのですけれど、赤絨毯大階段に双頭の鷲が描かれたり、オールスターで盆グルグルのまさしく「双頭の鷲」と名付けられた場面のバックに双頭の鷲が出ていたり、フランツの執務室のバックにもあったかな?ですごく印象づけられているので、双頭の鷲すなわちハプスブルクの犠牲となった、殉教者のイメージでもあるかもしれないし、逆に死によって翼を得て愛の世界に飛び去った希望の姿…ということなのかもしれないな、とも思うようになりました。やはり名作は何度観ても新しい発見があり、だからこそ名作たりえているのかもしれません。原作があるものとはいえ宝塚歌劇オリジナルの古典として、やはり大事にされていくべき作品かなとも思いました。今後は全ツで70分くらいのものにしてショーを長めにするか、全体で2時間半のコンパクトな公演にするとかでも、時代に即していていいかもしれませんよね…
 ふたりの命日が大劇楽だったりマリーの誕生日が東京大楽だったりしたんでしたっけ? 合縁奇縁、ふたりを始め天国のみなさまがおもしろく感じてくれていたらいいな、などと思ったりもしました。

 残念ながら大劇場の新人公演は中止になってしまいましたが、東京では無事に開催され、ご縁あって観られましたので以下簡単に生徒さんの感想を。
 主演は『バロクロ』以来二度目のらいと。どんなに期待していたことか…しかしてプロローグの赤絨毯大階段でのお衣装が、ズボンだけがれいちゃんのと違っていて、純白の上着とも合わないなんかクリーム色のズボンで、お父さんのパジャマかなみたいな、そして当然着こなしも今ひとつでとにかく野暮ったくて、せめてならもう黒ズボンとかにしてブーツインにしてよ…ともう泣きそうでした、私。しょんぼり…
 前半は緊張が見えたかと思いますが、だんだんほぐれてきて、れいちゃんよりは闊達な感じの、若いルドルフ像で、その分やさぐれ方も乱暴で、幼いマリーを巻き込んでいったんだな感があって、それはそれで筋が通っていたかなと思いました。歌はやっぱりまだまだ課題かなと思いますが、そろそろランボーでもショーでガンガン歌わせて学ばせないとアレかな、とも思いますよね…やはり場数と立場がスターを作ると思うので。スタイルと華は何よりの武器で、劇団も起用する気満々なんだと思うので、上手く育ててほしいしがんばっていただきたいです!
 マリーは初ヒロインの七彩はづきちゃん、本公演ではバレエのオフィーリアですね。私は気づきませんでしたがこれまでダブルトリオにもよく入っていて、注目の存在だった模様。私はお顔がそんなに好みではないのですが、お化粧も可愛くて台詞も歌もしっかりしていて、さすができる娘役は仕上がりが早い…!と感心しました。まどかマリーをよく研究しているようでした。でもより等身大のマリーだったのではないでしょうか。
 ジャンは天城れいんくん。私はこれまであまり注目できてこなかったように思いますが、今回は綺麗で目を惹きました。ミリーはみこたん、ホントーにパツパツでしたが、設定として下町ダンサーみたいなのがあるはずなので本役よりお茶目で元気そうな感じがとてもよかったと思いました。贔屓!
 フェルディナンドは鏡星珠くん、『巡礼』新公で鮮烈デビューという感じでしたが、今回もきっちりいい人な感じを達者に出していたと思いました。ソフィーは初音夢ちゃん、もう顔が好き!(笑)ザッシェルの店の女みたいな役の方が生き生きしていたきらいはありましたが、もっとお芝居観たいなー!
 ステファニーはこれでご卒業の都姫ここちゃん、きりりと気高くよかったです。侍女エヴァは湖華詩ちゃん、そんなに好みの顔じゃなかった気が…顔の話しかしてなくてすみません。
 本公演もよかったけれど朝葉エリザベートもとてもよかった…! そしてだいやのフランツ・ヨーゼフもどっしりと重く、よかった…! マリー・ヴァレリーは美里玲菜ちゃん、いくらもない台詞がホント棒で、ああだからこんなに可愛いのにこれまでろくな役がつかなかったのか…!と残念ながらわかってしまいました。
 鈴美椰ジェシカも今ひとつだった記憶…どうも芝居の人ではないのでは。みくりんヴェッツェラ夫人も感心しなかった…ハンナは琴美くららちゃん、これもうーんだった気が…宇咲くんジョルジュもあまり記憶がない、すみません…
 南音くんロシェックはいい感じでした。ブラットフィッシュは美空くん、いつもホント上手いよね。ホヨスのたおしゅんがまた綺麗でした。
 新公ツェヴェッカは二葉ゆゆちゃん、これももの足りなく感じました。あわちゃんラリッシュはさすがでした、ロシェックからビジネスライクに金を受け取っていくときの粋さよ…!
 ゼップス涼葉まれくん、これまたいつも上手い印象。クロードの夏希真斗くんも好印象でした。フリードリヒ海叶くんやクラウス青騎くんも上手かったなー。
 シュラット夫人は湖春ひめ花ちゃん、歌上手さんなはずですが緊張していたかな…マリンカの詩希すみれちゃんはホント綺麗、ミッツィ星空ちゃんはまあそつないよね、オフィーリアの稀奈ゆいちゃんも可愛かったです。ハムレットの遼くんもバレエですごく魅せてくれました。
 新公もなーこたん担当で、大きな改変はなかったと記憶しています。下級生たちがクラシカルな大芝居をがんばって勉強している、という感じはあったかな。でもなんせ花組は新公が全然やれていない組なので、東京の一回だけでも無事できてよかったです。


 タカラヅカ・スペクタキュラーは作・演出/野口幸作。『ジャガビー』のあとだけに当初はややもの足りなく感じなくもなかったですが、いい意味でのフツーでスタンダードで王道上品クラシカルなレビューで、今回は特に選曲がよかっただけに、やがては非常に楽しく観られるようになりました。
 ただ野口先生も登板が多く、そろそろネタ枯れ気味か?というのがやや心配です。既存作家にゆっくりインプット期間を取ると同時に新しいショー作家を育てるべく、劇団にはがんばっていただきたいです。その意味では、栗田先生の大劇場デビューがショーなのはとても楽しみですね。お若い作家さんにはまずは両刀を目指してもらいたいものです。レビューカンパニーなのですから!
 あとはお衣装(衣装/加藤真美)の色味がどの場面も素敵で、ストレスがなかったなー…
 冒頭のエイトシャルマントはさすがたおしゅんが美人だった気がしました。歌手もプロローグはしーちゃんとことのちゃん、その次のコロンビーヌたち上級生四人、オリエンタル場面の愛乃くんと深音ちゃん、デュエダンのカゲソロと、定番歌手メンツではあるけれど使い分けていて良きでした。
 シトラス・ビューティーAのらいと、ばーんとしていて、白レース柄のストッキングがヤラしくて脚が三メートルあって、ウエストがちゃんと絞れていて(男役のダルマは寸胴になりがちなので)、もうウハウハでした私が。ロケットは娘役ちゃんを観たい派なのに…! でも深音ちゃんやすみれちゃん、みこたん、美里ちゃん、初音ちゃん、真澄ゆかりちゃんと識別できるようになってきたので、楽しくて仕方ありませんでした。
 それはベル・エポック場面もそうで、なんでほのか女装なんやねん、というのは言い続けつつも、周りのカップルの娘役ガン見で楽しい時間でした。あと、こういう濃いめの色味で同デザインの色違いドレスが揃うの、大好き! 髪型とか、ひとりひとりもっとゆっくり観たかった…
 ニューヨーク場面もドールたちに目が足りない! 男役もひとこだいやたおしゅんらいととまぶしい! でもまどどんモンローが出てきちゃうとそこしか観られない! ホントれいちゃんと息ぴったりでお洒落なダンスを見せてくれて、たまらん! お姫様抱っこしながら、まどかのスカートがめくれすぎちゃったときにはそっと直してくれるれいちゃん、紳士すぎて惚れてしまう…!
 オリエンタル中詰めも良き。シーソルトのかわいこちゃんたちホントたまらん! 全員のスタイルブックをくれ! ムスクはトンチキスーツも多かった気もするけれど、それをカッコよく見せてこその花男なのでタイヘン良きでした。そして星の女神エンジェルまどか様降臨…退団者ピックアップには前々楽から拍手が入っていたようでした、良き。
 美男子アイドルグループは今さらマイティーセンターなのかとかこーいうのもう百万回観たとかは言いたいのですが、仕方がない目をつぶろう。フィナーレは、れいちゃんが娘役と踊り男役と踊りそのあとそのままデュエダンで、でもまどかのリフトを本当にゆーっくり優しく下ろすのに毎回泣けました…優しい…体力的にはホントしんどいだろうに…
 エトワールは星空ちゃん。起用されすぎていてこのままでは飽きられてしまってかえってトップ娘役にはなれないのではあるまいか…歌なしでもカガリリをセンターで降ろしていて良き。ダブルトリオもフレッシュでした。

 お芝居とセットで、王道クラシカルな二本立てで、さすが花組、筆頭の組のどストレート勝負よ、という感じで結果的にとても良きでした。初心に返るというか、原点に戻るというか、基本が大事というか。東京公演の完走もおめでとうございました。すぐまたお稽古が始まるようですが、どうぞお疲れの出ませんように…


 最後に、マイティーの専科異動について。このあとDSを経て、でしたっけ? それにしてもホント、なんだかなぁな事案ではあります。
 大羽根騒動(というほどのことではありませんが)なんかもそうでしたが、そもそもは、ひとこの組替えのときに、思い切ってさっさとマイティーの上に据えちゃえばよかったんですよ。そうすれば、あれはそういう異動だったんだと周知できたし、もちろん当時でもファンはショックだし騒いだと思いますが、それでも当時はまだ納得しやすかったでしょう。そもそも組替えが発表されたときにファンは戦々恐々となって覚悟したはずで、それが順当?に学年順の番手扱いをしてみせちゃったので、じゃあ…とファンが安心したところにまたあの大羽根案件で、でもそれもやっと背負わせてもらえて主演別箱東上もあって手札どんどん揃えていって…ってところにまたこれじゃ、正直やってらんないよってそりゃなりますよ。劇団があまりに下手すぎます。
 そもそもここまで、どうする気で育成してきたの…? トップにする気がないなら早めにハシゴを外さないと、傷が広がるばっかりじゃん。トップになることがすべてではないけれど、番手に付けるなら、まして二番手にまでしてスターグッズも作って売って商売しておきながら、トップと学年が逆転しちゃった上級生スターならまだしも、さすがにこれはないんじゃないの…?と特にファンでない私ですら憤りましたし、贔屓がいるファンはみんな明日は我が身と思えて劇団への愛が冷めたと思うんですよね。ホント悪手すぎると思いました。
 もちろん、トップになれなくても番手スターになるだけで嬉しい、大羽根背負った姿が見られて嬉しい、みたいなファンもいるでしょう。でも本来はそういうことじゃないでしょ、と言いたいのです。
 さらには、同じにするなと怒られそうですが、でも星組もわからないじゃん…ってなるじゃん。ホント悪影響ありすぎだと思います。というかホント意味がわからない…89期に続いて95期もコレなら100期だって上手く起用できないんじゃね?ってなりますよ愛想尽かしますよみんな…
 スター人事は水ものとはいえ、ホントもっとちゃんとしてほしい、それに尽きます。意外と人気が出ちゃったんだよとか逆に何かが足りないと判明しちゃったんだよとかいろいろ想定外の事情はあるのかもしれませんし、コロナ禍でいろいろ都合が変わってしんどいのかもしれませんが、しかし生徒とファンあっての劇団でしょう興行でしょう、そういう商売でしょう。商品を大事にしない商売に未来なんかありません。エンタメの芸術のという問題ではなく、これは商売上の道義、誠意の問題でしょう。いつまでも客から無限に金を引っ張れると思うなよ、という話だと思います。劇団は猛反省してほしい。
 そして残ることを選んだ生徒とファンには、より豊かな幸せがもたらされてほしいです。それはそう、ここでないと観られないものがあるので、がんばっていただきたい。そこは応援したいです。他組への特出で新しい化学反応が生まれ、より素敵なものが観られますように…なんならマジで専科公演の企画も生まれますように…せつに祈っています。無用な口出しでしたら本当に申し訳ございません。






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