駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

萩尾望都『ウは宇宙船のウ』

2009年11月16日 | 愛蔵コミック・コラム/著者名は行
 小学館プチコミックス萩尾望都選集Ⅱ6
 原作はレイ・ブラッドベリの同名の短編集。原作も読みましたが、どちらも実にいいですね。センス・オブ・ワンダー、という言葉がぴったりです。
 ところで、『集会』は『ポーチで少女が小犬と』を、『みずうみ』は『花と光の中』『マリーン』を思い起こさせませんか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

萩尾望都『ばらの花びん』

2009年11月16日 | 愛蔵コミック・コラム/著者名は行
 小学館プチコミックス萩尾望都選集Ⅱ5
 表題作は19世紀末のロンドンを舞台にした、ちょっとオスカー・ワイルドの戯曲にでもありそうなコメディ。美少年ミシェルが年上の未亡人にひとめぼれして大騒ぎ…というお話。
 併録は名作『ゴールデンライラック』。20世紀初頭のロンドンを舞台にした、こちらはジョン・アーヴィングがねちねち小説にしたら素敵かもしれない年代記。らくだのお水の挿話が泣かせます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

萩尾望都『スター・レッド』

2009年11月16日 | 愛蔵コミック・コラム/著者名は行
 小学館プチコミックス萩尾望都選集Ⅱ3、4全2巻
 赤い瞳と白い髪を持つ火星人の星は、その生まれを隠して地球で生きている。だが不思議な若者エルグと出会って、夢にまで見た故郷へ…
 もっと評価されていい傑作SFだと思います。6千年もの間生きてきたエルグが、ついに星を得て、そして失い、愛のために狂って死んで、それがひとつの星を再生させる。愛の奇跡が星をも救う、というのは『マージナル』と同じモチーフですね。
「…じゃ…火星を好きになったら? あなたも…火星人になればいいわ」
 と故郷をくれた、故郷そのものになってくれた少女への、愛。美しく悲しく、感動的です。
 でも火星が壊れてしまったのは、アミに負けたということだろうから、正義が勝つべき物語としてはちょっと変ですね。それとも、宇宙には正義も悪もない、ふたつの相反するエネルギーがあるだけだ、ということなのでしょうか。
 真実はそうしたものかもしれないけれど、一介の人間である読者にはちょっとつらいかもしれません。主人公が人格は引き継がずに生まれ変わるというのも、救いになっているようないないような…ううむ、この下手な甘さのなさが、名作たらしめているのかもしれません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする