小学館プチコミックス萩尾望都選集Ⅱ3、4全2巻
赤い瞳と白い髪を持つ火星人の星は、その生まれを隠して地球で生きている。だが不思議な若者エルグと出会って、夢にまで見た故郷へ…
もっと評価されていい傑作SFだと思います。6千年もの間生きてきたエルグが、ついに星を得て、そして失い、愛のために狂って死んで、それがひとつの星を再生させる。愛の奇跡が星をも救う、というのは『マージナル』と同じモチーフですね。
「…じゃ…火星を好きになったら? あなたも…火星人になればいいわ」
と故郷をくれた、故郷そのものになってくれた少女への、愛。美しく悲しく、感動的です。
でも火星が壊れてしまったのは、アミに負けたということだろうから、正義が勝つべき物語としてはちょっと変ですね。それとも、宇宙には正義も悪もない、ふたつの相反するエネルギーがあるだけだ、ということなのでしょうか。
真実はそうしたものかもしれないけれど、一介の人間である読者にはちょっとつらいかもしれません。主人公が人格は引き継がずに生まれ変わるというのも、救いになっているようないないような…ううむ、この下手な甘さのなさが、名作たらしめているのかもしれません。
赤い瞳と白い髪を持つ火星人の星は、その生まれを隠して地球で生きている。だが不思議な若者エルグと出会って、夢にまで見た故郷へ…
もっと評価されていい傑作SFだと思います。6千年もの間生きてきたエルグが、ついに星を得て、そして失い、愛のために狂って死んで、それがひとつの星を再生させる。愛の奇跡が星をも救う、というのは『マージナル』と同じモチーフですね。
「…じゃ…火星を好きになったら? あなたも…火星人になればいいわ」
と故郷をくれた、故郷そのものになってくれた少女への、愛。美しく悲しく、感動的です。
でも火星が壊れてしまったのは、アミに負けたということだろうから、正義が勝つべき物語としてはちょっと変ですね。それとも、宇宙には正義も悪もない、ふたつの相反するエネルギーがあるだけだ、ということなのでしょうか。
真実はそうしたものかもしれないけれど、一介の人間である読者にはちょっとつらいかもしれません。主人公が人格は引き継がずに生まれ変わるというのも、救いになっているようないないような…ううむ、この下手な甘さのなさが、名作たらしめているのかもしれません。
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