駒子の備忘録

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『第6回 花詩歌タカラヅカ in YOKOHAMA』

2024年08月03日 | 観劇記/タイトルは行
 横浜にぎわい座芸能ホール、2024年7月28日14時。

 花詩歌=噺家、ということで、主に関西の宝塚歌劇ファンの落語家による催しで、前半は宝塚落語四席(桂あやめ、桂春雨、立川らく次、笑福亭蕎龍)、後半はなりきり宝塚歌劇ショー『ロミオとジュリエット名場面集』。『ロミジュリ』は2014年初演、20年再演だそうで、今回は配役的に新人公演に当たるそうです(笑)。
「宝塚カフェブレイク」でおなじみのらく次さんが神保町でやる宝塚落語の会みたいなのには行ったことがあって、宝塚ネタもおもしろいけど落語自体もおもしろくて、いいもんだなと思ったものでした。寄席自体にも大昔ですが行ったことがあります。
 花詩歌タカラヅカの関西での公演は遠征に絡めて行きたいなとずっと考えていたのですが、なかなか予定が合わず、横浜公演が開催されるようになってもやはりなかなか都合がつかず、今回やっと行けました。
 会場は三越劇場とか紀伊國屋ホールくらい? もう少し小ぶり? とてもちゃんとしているハコで、演芸だけでなく普通のお芝居も出来そうでした。日曜昼でまあまあの入り。歓談を聞いているとリピーターも多いようでした。
 落語は、これも新人公演なのか(イヤ、らく次さんとかあやめさんとかはまあまあ芸歴が長いんだろうけど)、はたまた後半にショーが控えていて気もそぞろだったのかもしれませんが、なんかみんなあんまり出来が良くなくて、ちょっと残念でした。「時そば」はネタとしては知っていたけれど聞くのは初めてで、関西だからかうどんになっていました。
 後半のショーは、「名場面集」となってはいましたが、それこそ新公くらいの、全2幕を上手くカットしつつほぼほぼ通しでやりきったと思います。
 最初は、素人といえど好きでファンで覚えて真似ちゃうくらいなんだからもっと上手いもんなんじゃないんだろうか…と困惑するくらい、要するに下手に見えて、自分がどの立場で何をどう観ていいのかとてもとまどいました。だってそれこそ新公とかは下手でも将来性を観るものだし、ファンならなんでも嬉しいわけですが、私は別に噺家さんたちのファンなわけではないので…音響の問題もあるかもしれないけれど(マイクがほぼ機能していなかったと思います。付けるのにゴソゴソしたり、変な雑音ばかり拾ったり、あげく断線したり…これがさばけるだけでプロってすごいんだなーと思いました)、とにかく歌が下手な人は微妙どころか本当に下手なので、素人のカラオケだってこれよりマシでしょ?と非常に困惑させられたのです。音楽も、カラオケ演奏の音源なんかないから耳コピから起こしたものなのか、とてもたどたどしくて歌唱のサポートにはなっていないので、さらに怪しく…途中からプロンプならぬ歌声の音出しみたいなのが入るようになって、そこが捕まえられるとその後の歌はまあまあ音が取れる、という様子に手に汗握りました。
 そう、なんか、だんだん子供の学芸会を見守る親のキモチになっていくんですね…学芸会といえばレベルが低いものの代名詞であり、親ではない私はケッと見下すのが常なワケですが、手に汗握っているうちについつい親身に寄り添ってしまうというか…それは、噺家さんたちが本当に一生懸命で、真面目に、そして楽しんでやっているのが伝わってきて、照れ隠しに笑ってごまかしたりすることがまったくなかったからなのです。カッコつけたいわけではなく、やりたいからやりたいようにやっているだけで、それがとにかく眩しいのでした。
 そのうちアドリブが入ったり、トラブルがあってもうまくつないだりもしてたいしたものでしたし、ふたりの夫人(キャピュレット夫人/中田まなみ、モンタギュー夫人/ヴァチスト太田)の歌がまあまあ上手くてうっかり感動しましたし、あやめさんとかホントに好きでこの企画を先頭切ってやってるんだろうなというのがこの舞台だけ観てもわかりましたし、ティボルト(桂春雨)も堂に入っていたし、ピーター(沢村さくら)可愛いし、乳母(真山隼人)が浪曲歌うしラストはエトワールだし、なんかもうホント最後は感動しました(笑)。
 本物の音痴って本当に実在するんだな…と思ってしまった(すみません)蕎龍さんのジュリエット、しかし首が長くて美しく、本来の優男ぶりを上手く生かした可憐な演技が胸を打ちました(笑)。ロミオの月亭天使さんは榛名由梨にしか見えませんでしたよ、これも褒めてるのかどうか微妙ですが…(笑)
 私はこういう経験がないのでよくわかりませんが、でも素人の手作りでお芝居をひとつ打つって衣装もセットも照明も音楽も、あたりまえですが全部自分たちでなんとかするのでものすごく大変なことだと思うのです。歌とか演技とかはその最後に乗せるものでほとんどおまけで、そこまでの骨組を作るのがとにかく大変なんだろうと感じたんですよね。でも、超簡略セットでも観る方もファンだから補完できるし、ちゃんと成立しているし、それもまた舞台のすごさだなと思いました。ピンスポが迷子なのもホント愛しかった…人力、大変だよね(笑)。
「フォーエバータカラヅカ」みたいな団歌?があるのもよかった。気持ちよく拍手してしまいました。
 ちゃんとした落語ももっと聞いてみたいし、宝塚落語ももうちょっとちゃんとしたものを聞きたいし、なりきりショーもまた観てみたいと思いました。一回こっきりの上演、お疲れさまでした!





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