駒子の備忘録

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韓流侃々諤々neo 15『スノードロップ』

2024年09月28日 | 日記
 2021年JTBC、全16話。BS Japanextで全32話で見ました。ということはほぼノーカットだったのかしらん…原題はソルガンファ、いわゆる松雪草を韓国では雪降花と呼ぶそうな。スノードロップは英題というかサブタイトルとして添えられています。
 ファーストクレジットはイム・スホを演じるチョン・ヘインとなっていましたが、どちらかというとヒロインのウン・ヨンロ(ジス)視点の物語かな…? 1987年、民主化運動から民主化宣言の激動の時代を背景に、韓国の女子大生ヨンロと北朝鮮のスパイ、スホが繰り広げるせつないロマンス…というか、学生を人質に寮に立てこもり、警察…ではないな、国家安全企画部なる面々と対峙する緊迫した物語で、もうもう毎回ハラハラしながら見てしまいました。序盤は、ワケありっぽい男子学生と合コン…みたいな、あるいは女子大生の寮生活のあれこれ…なんかがほのぼのと描かれていましたが、しかしそのときから不穏な空気は漂っていたのであり…実際にこうした事件があったわけではないようですが、まだ歴史になりきっていない現代の物語をこうしてきっちり作り上げる、韓ドラの骨太さと心意気に脱帽です。
 ドラマ放送序盤では、実際に民主化運動を弾圧したとされる国家安全企画部(現・大韓民国国家情報院)やスパイなどを美化している、という批判が殺到し、スポンサーが降板したり放送打ち切りを求める請願がなされたり、の騒ぎになったそうです。ただ、制作側はドラマ全体を見れば民主化運動を歪曲したり毀損したりしてはいない、と収録分を一気に放送してみせる、といったこともあったそうです。
 実際には軍事政権をもちろん批判的に描いているし、韓国現代史を身をもって知っているわけでは全然ない私が言うことではないでしょうが、とてもよくできているドラマだと思いました。また、『愛の不時着』の二匹目を狙って南北のラブストーリーを作ろうとしたのではないか、というような揶揄もあったそうですが、これまた『愛の不時着』を未見の私が言うことではないですが、おそらく全然テーマもノリも違う作品なのではないかしらん…と思います。
 でも、1987年なんてホント最近のことで、まだ総括しきれていないんだろうし、傷が癒えるどころかちょっと触ったらまだ血が噴き出すような生傷のままなんでしょうね…それを、遠目からせつない、しんどいと言っては萌え萌えで見てしまい、申し訳ない気持ちはあります。でもこういう物語、ドラマを作れる韓国芸能界の底力に本当に感じ入りもするのです…本邦では、残念ながら、まずできない。しようと思う者も現れないでしょう…そのことが一番、しんどいです。そのあたりについたは悔し泣きしながら見ました。とにかくよくできていましたし、おもしろかったです。
 








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