平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
「竹下村誌稿」を読む 394 古文書 7
ムサシが逝って四日目、ダイニングキッチンの広さが目立つ。女房、冷蔵庫に一時保存した、ムサシのエサを見付けて処分する。
午后、金谷宿大学の理事会前の打ち合わせ。
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「竹下村誌稿」の解読を続ける。
而して、(沢庵)和尚が経歴は、人名辞書を引きてこれを照会すべし。
沢庵禅僧なり。名は宗彭(しょうほう)。沢庵はその号。天正元年(1573)を以って、但州出石邑に生る。姓は平氏、三浦介義明の後秋庭の族なり。沢庵甫(はじ)めて、十歳、(但)州の唱念寺に投じ、髪を剃りて浄土宗の僧となる。年十四、勝福寺に入り、禅を希先西堂に学ぶ。先ず、便(すなわ)ち帰戒を授け、且つ法諱を与えて、秀喜と云う。沢庵常に先の道話を聞きて、心に遊徧方参の志を抱く。先順世の後、董甫(宗)仲、偶々宗鏡丈室に居す。沢庵則ち仲に学び、参禅して倦(う)むことなし。
※ 帰戒(きかい)- 三帰戒のこと。仏・法・僧の三宝に帰依することであり、インド以来授戒やその他の儀式に際して唱えられえる。(南無帰依仏、南無帰依法、南無帰依僧)
※ 法諱(ほうき)- 出家後の諱のこと。宗派によって命名方法などが異なるが法名とほぼ同じ。
※ 遊徧方参(ゆうへんほうさん)- 「遊方」は行脚すること。「徧参」は、禅僧が諸国を歩きまわり、各地の優れた高僧から、広く教えを受けること。
※ 順世(じゅんせ)- 高僧が死ぬこと。示寂(じじゃく)。遷化(せんげ)。
※ 丈室(じょうしつ)- 寺の住職の部屋。方丈。
仲、洛(京)に帰るに及びて、沢庵随いて大徳寺に扺(うつ)り、錫を掛けて留まり、名を改めて宗彭と云う。ここに真如文正公仁公、泉南の大安寺に寓す。仁は文字に長ずるものなり。沢庵これを聞き、一朝錫を飛ばし、泉南に到り、仁に依り、書牎に研覃す。
※ 錫を掛ける(しゃくをかける)- 掛錫(かしゃく)。行脚の禅僧が、僧堂に滞在し修行すること。
※ 錫を飛ばす(しゃくをとばす)- 飛錫(ひしゃく)。僧が諸国を遍歴修行すること。
※ 書牎(しょそう)- 書窓。書斎のこと。
※ 研覃(けんたん)- 深くきわめること。
一衲冬を凌ぎ、一葛夏を度(わた)りたる。一日海会寺に祭あり。沢庵またこれに預かる時に、一葛甚だ垢汚(あかよご)せるを以って、沢庵躬(みずか)らこれを井水に濯(すす)ぎ、朝日に晒して、その乾くを待つ。同行の僧、戸を叩きて曰く、共に斎に赴くべしと。沢庵その葛衣の更(さら)に被すべきものなし。即ち裸体なるを以っての故に、戸を閉じて面せず。彼をして先ず赴かしむ。
※ 衲(のう)- 人が捨てたぼろを縫って作った袈裟のこと。
※ 葛(くず)- かたびら。くずで作った布。
※ 海会寺(かいえじ)- 堺市堺区にある臨済宗東福寺派寺院。夏の陣で焼失後再建された本堂・庫裏・門廊は国の重要文化財。
※ 斎(さい)- 仏事のときの食事。
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